
【弁護士監修】バツイチ男性との再婚、気をつけるべきことは? 離婚理由別の注意点と離婚に伴う法的な責任
気になっている男性に離婚歴があるみたい。離婚理由は? 子どもはいるのかな? お金はあるの……? 気になることでいっぱい。バツイチ男性と再婚した実例を紹介するとともに、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の代表弁護士、中里妃沙子先生に取材し、バツイチ男性との再婚について、お金や子どものことなど、法的なポイントをお聞きしまし
バツイチ男性との再婚……実例に学ぶ成功と失敗の境界

好きになった人に離婚歴があった。それがわかったとき、自分が初めての結婚だとしても、自分もバツイチだったとしても「なんで離婚したのかな」「わたしとはうまくやっていけるのかな」と不安になるかもしれません。
バツイチ男性と再婚した女性たちに、お話を聞いてみました。
好きな人の過去は関係ない! 幸せをつかんだわたし
10歳年上の夫と、結婚して3年が経ったユミコさん(35歳)。
「付き合ってすぐに、バツイチだと彼から告白されました。真剣な顔の彼とは対照的に、わたしは『ふ~ん』って感じ。まだ20代でしたしね。
でも、付き合って3年ほど過ぎ、結婚を意識するようになったら、彼のバツが気になるようになってしまって。友人に相談したら『もう昔のことだし、それに1回失敗していると、いろいろ気を遣えるって聞くよ』と背中を押してくれたんです。わたしは初婚で年齢も離れていることから、両親からはとにかく心配されましたが、そこは彼が誠意をもって説明してくれました。
今は結婚して5年が経ちますが、彼を選んでよかったと心から思っています」
彼がバツイチの理由がわかったけど、これでわたしもバツイチに……。
マサミさん(28歳)は、バツイチ男性と結婚し、先日離婚をしたばかり。
「夫はバツイチでした。『前の妻とはお互いに忙しくてすれ違った』と言うし、それが理由なら、わたしは大丈夫だと思ったんです。でも結婚してみたら、想像とはちがっていました。
わたしに仕事を続けていいと言ったくせに、サポートは一切ナシ。休日も自分の予定が優先。でも、一番許せなかったのは、『浮気』です。オンナ癖の悪さが原因で、前の奥さんとすれ違ったんじゃないかな。
こういう言い方したくないけど、やっぱりバツがつくにはそれなりの理由があるんだなって。……そんな風に言っているわたしも、今やバツイチになったんですけどね」
失敗があるからこそ、お互いを思いやれる
小学生の息子をもつシングルマザーのアサコさん(38歳)は、バツイチ同士の再婚で幸せをつかみました。
「子どもがいたので、再婚にはすごく慎重でした。でもシンママで生きていくのって結構しんどくて……。夫と出会ったのは友人の紹介です。『お互いバツイチだから、わかり合えるでしょう』って、余計なお世話ですよね(笑)。最初はふたりで、そのうち息子も一緒にデートを重ねました。
再婚を決めたのは、息子のあと押しがあってのこと。『パパって呼んでいい?』って自分から夫に言ってきたんですって! 彼がそれをうれしそうに話す様子を見て、うまくやっていけるって思って。お互いの離婚理由については、もちろん包み隠さず話しました。もう失敗はしたくないですから。
今は、前の結婚より会話が多い家庭生活で、毎日幸せだなぁって思っています」
いろいろむずかしかった、バツイチ同士の再婚
バツイチ子持ち同士で再婚したヨウコさん(43歳)は、「再婚は早まったかも」とこぼします。
「連れ子あり同士の再婚ですから、すごく気を遣いました。わたしたちは十分に話し合ったのですが、やっぱりむずかしい面も。今、悩んでいるのは子どものことです。
互いの連れ子同士の年が近く、思春期を迎えたせいもあり、仲良くなるどころか、日に日にぎこちなくなっています。成長過程のことなので、ある程度は仕方がないとは思っていますが、子どもの様子をみると、本当にこの再婚が正解だったのかと、不安になってしまいます。
彼とは交際だけ続けておいて、再婚は『子どもが自立してから』という選択肢もあったかもしれませんね。今は、時間が解決してくれることを祈るばかりです」
バツイチ男と結婚するメリット・デメリット ウワサを徹底検証
厚生労働省の人口動態統計[*1]によると、年間の離婚件数は約20万組。ということは、単純計算で、世の中にバツイチ以上の男性は、毎年約20万人ずつ増えているってことです。
これは、恋愛や結婚の対象から外すには、もったいない人数ですよね。でも、バツイチ男性にはさまざまなウワサがつきもの。検証してみましょう。
バツイチ男性のウワサ①「理解があってやさしい?」
もちろん、人にもよりますが、バツイチ男性と結婚した女性に確認したところ、このウワサはどうやら「〇」。
男性自身にも「2度と失敗したくない」という思いがあるせいか、多くの女性が「バツイチ男性はやさしいと感じる」と答えてくれました。また、「家事に協力的」「子持ちだったので、子どもがいる生活に慣れている」という声も。一度、家庭生活を経験しているだけあり、独身男性より経験値が高いということですね。
とにかく「理解がある」「やさしい」はプラスポイント!
バツイチ男性のウワサ②「お金を持っていない?」
残念ながら、このウワサも「〇」のことが多いよう。離婚の際に財産分与などをしており、手持ちのお金があまりない人が多いからです。
また、前妻との間に子どもがいる場合、養育費を支払っているケースも。「年上だし、大手勤務だし、お金は結構持っているだろうな」と表面上のステータスだけで過度に期待すると、がっかりしてしまうかも。
もちろん離婚をしたときに、金銭のやりとりが発生していない人もいます。結婚を考えるほどの相手ならば「大事なことだから」と、前妻への支払いがどの程度あるのかについては確認しておいたほうが無難かも。
バツイチ男性のウワサ③「子づくりに消極的?」
このウワサに関しては「ケースバイケース」。
離婚している前妻との間に子どもがいる場合など、新しい家庭での子づくりに消極的な人はいるようです。逆に、離婚理由が「子どもがほしいのに、元妻が要らないといった」という場合は、「今度こそ、子どもがほしい!」と、かなり積極的にな場合も。
結婚生活において、子どもをもつか否かは重要な問題です。結婚前に、必ず意志確認を!
バツイチ男性のウワサ④バツイチ男性は「再婚を急ぐ!」
これは多くがそうというわけでもないのですが、バツイチ男性と交際を始めたら、やたらと入籍を急がされたという女性は確かにいます。
実際に急がされた経験のある女性によると「彼が離婚の寂しさに耐えられなくなって、誰でもいいから早く結婚したかったらしい」「海外赴任が決まりそうで、パートナーが欲しかったみたい」など、男性側の都合を優先した事情ばかり……。結婚をしたあとも、夫の都合に振り回されそうな予感がします。
再婚を急ぐバツイチ男性に出会った場合は「要注意」かもしれません。
離婚理由で多いものと注意すべきポイントは?
司法統計[*2]によると、夫婦関係に関する裁判所への申し立て理由ベスト5は……
第1位 性格が合わない
第2位 精神的に虐待する
第3位 生活費を渡さない
第4位 暴力をふるう
第5位 異性関係
※男女の合計数から算定
ここには離婚申し立てだけでなく、婚姻費用分担や同居、協力扶助の申し立ても含まれていますが、離婚理由で多いものを推測する手がかりになりそうです。
DV男、モラハラ男は絶対に避けて!
離婚理由としてとくに注意したいのは、第3位の「精神的な虐待」。そして第4位の「暴力をふるう」の2つ。
モラハラ男やDV男に、それを止めさせるのはすごくむずかしいこと。さらに被害を受けた妻は精神を病んでしまったり、元夫の陰に怯えながら生きていかねばならなかったり。不幸な未来が頭をよぎります。
やっぱり知りたい。どうして離婚したの?
とはいえ、モラハラ男やDV男が、正直に離婚理由を教えてくれるとは限りません。
そもそも、「なんで離婚したの?」って、ストレートには聞きにくいですよね。
ただ、彼はもしかすると、あなたを不快にさせないように、聞かれるまで黙っているだけかもしれません。デリケートな問題なので、聞き方には十分な配慮が必要ですが、自分自身の不安な気持ちを打ち明けたうえで、尋ねてみるのは、結婚を考えるほどの真剣な交際であれば、むしろ当然といえます。
もし、彼がかたくなに理由を隠すとしたら、よほどうしろめたい内容なのか、思い出したくないのかのどちらかでしょう。
では、離婚理由を尋ねたとき、こう返事が返ってたら、どうする? 注意したいポイントをまとめました。
離婚理由① 「俺の浮気が原因で離婚した」
男性側の浮気が原因で離婚した人と再婚を考える場合、彼に「浮気癖」があるかどうかを見きわめて。
「釣った魚に興味がなくなり、外に刺激を求める」タイプの男性や、「秘密の恋をしている背徳感がたまらない」タイプの男性は、あなたと再婚しても、同じこと繰り返す恐れアリ! さらに厄介なのが「、浮気をすることで、妻の愛を確かめる」というトンデモ男。謎の理論を展開し、浮気し続けることでしょう。
一方、「セックスレスで」「性の不一致が原因で」など、夫婦の営みにまつわる理由で不倫に走った男性の場合は、あなたとの相性が重要になります。「大のセックス好きで不特定多数と関係を持ちたい」という男性の場合はまた別ですが……。
性的嗜好は、親しい間柄でも打ち明けにくいものなので、早めに確認しておきましょう!
離婚理由②「元妻が僕の理想の姿からかけ離れていって……」
彼がこんなふうに言ったときに注意したいのが、「外面がいい」「プライドが高い」「彼女の服装や持ち物への注文が多い」「彼女のスマホ履歴をチェックする」といった、相手を支配しようとする傾向のみられるお相手。
この手の男性は、一見、元妻の側に離婚の原因があるように見せかけていても、実際には「男性側に難あり」という場合が。よくよく聞いてみると、男性側の都合の押しつけや束縛がつらくなって、元妻が逃げ出したんだろうなと思えるパターンが多いんです。このタイプは、モラハラ夫に変身する可能性アリ。
見きわめ方は難しいですが、結婚相談所やマッチングアプリで出会った相手が、つきあい始めてすぐに「退会して!」とあなたに迫ってきた場合は、このタイプの人が多いとか。注意して。
離婚理由③「前の嫁は、俺の実家とうまくいかなかったんだ」
妻と実家の間で板挟みになったとき、はたして彼はご実家よりもあなたの味方になってくれるでしょうか。
単に前妻とお姑さんの相性が悪かっただけならいいのですが「お姑さんの過度な干渉」や「彼がマザコンだった!」などが離婚の理由だとしたら……? これから先、互いの両親の介護問題が表面化することだって考えられます。夫とその実家との距離感は、結婚生活では重要なポイントです。
嫁ぎ先の「家」の様子は、結婚前にはわかりにくいものですが、彼と一緒に実家に行って様子を見てみたり、彼の友人に話を聞けるチャンスがあれば、前妻と実家の間にトラブルがなかったか探ってみてもよさそう。
また、自分でも「帰省は年に1回まで」「2世帯同居はNG」など条件を考えて、落としどころを検討しておくといいかもしれません。
離婚理由④「妻に浪費癖があって、家計が大変だったんだ」
彼は「元妻の浪費癖」といっても、真実は夫が生活費を十分に渡していなかったかもしれない、などと思ってしまいそうですよね。
トラブルを防ぐために「家計の負担割合について、あらかじめ決めておきたい」などと相談をもちかけて、お金に関するルールを決めておきましょう。生活費各種の支払い、ボーナスの取り扱い、臨時の支出はどう捻出するか。合わせて、前妻との間で養育費や慰謝料の支払いが発生していないかも確認します。
なお、男性側に「浪費癖」や「ギャンブル癖」がある場合、「浮気癖」と同じく、直すのはむずかしいです。よくよく考えて、決断してください。
離婚理由⑤「仕事が忙しくて、家庭を省みなかったら離婚された」
彼が離婚を経験したのち、家庭や仕事についてどんな考えをもったかによるでしょう。今後どうしたいと思っているのか、確認してみましょう。「次に家庭を築くチャンスがあれば、今度こそ大事にしたい」と彼が思ってくれているようであれば、幸せな結婚につながる可能性も。
長い人生、どうしても仕事が忙しくなることもあるでしょうし、それは彼だけでなく、あなたにも同じことがいえます。お互いの状況や考えについては結婚後も継続的にしっかりと話し合い、忙しいときには、互いを支え合える家庭をふたりでつくっていきたいものですね。
離婚理由⑥「俺の借金が原因だったんだ……」
借金と聞くと不安になる人も多いでしょうが、若いころ、1度くらいの失敗なら、許してあげたいもの。彼が「お金の管理が得意でない」というなら、あなたが家計をしっかりと管理すればいいだけの話です。
ただし、今後のふたりの人生にも関わることなので「なぜ借金をしてしまったのか」また「その借金はしっかり返し終わっているのか」を確認して。もし残債に困っているようであれば、弁護士に債務整理の相談をすることをすすめましょう。
また「借金は完済した」という場合、そのお金の出どころも重要。ご自身でコツコツと返済していれば安心ですが、両親など身内に頼って解決した場合「いつでも返す当てはある」と、金銭感覚がルーズになっているかもしれません。
バツイチ再婚について法律上知っておきたいこと
一度、結婚をしている以上、さまざまな法的責任を背負っていることがあります。バツイチ男性と結婚するとき、また、あなた自身もバツイチだったときに、知っておきたいポイントを、中里弁護士に法律上の観点から解説していただきます。
お金のこと/離婚時の財産分与では、どのくらい元妻にとられてるの?
バツイチ男性って「お金がない」とよく聞きますが、バツイチの人と再婚したら、お金に苦労する日々が始まるのでしょうか。
お金のこと/慰謝料や養育費はどのくらい背負うもの?
バツイチと聞くと、頭をよぎるのが、離婚で発生する「慰謝料」や「養育費」。どのくらい払っているものなんでしょう?
子どものこと/元妻との間の子との面会交流をやめさせたい
元妻が親権をとった子どもと彼との面会交流。子どもに罪はないとわかっていても、彼と子どもと会うタイミングで、前の奥さんと顔を合わせるということに……? やめさせることはできないのでしょうか?
子どものお金こと/別れた夫からもらっている養育費はどうなる?
女性自身もバツイチで、子どもがいて、元夫から養育費を受け取っている場合。別れた夫からは父親として、子どものためにも、絶対に養育費を払わせたいというケースはどうでしょう。
別の男性と再婚しても、養育費を受け取り続けることは可能でしょうか?
子どもの戸籍は再婚してもついてこない
あなた自身のこと/離婚したその足で、再婚の入籍届けも出しちゃいたい
出会ったときはふたりとも既婚で、離婚成立までのつらい日々を支えてくれた彼。晴れてお互い離婚できたので、すぐにでも彼と再婚したい! こんな場合、即入籍してOKでしょうか?
彼のこと/本当に離婚しているのかしら……?
子どもがいるせいか、元妻とも「距離感を保って良好な関係」という彼。いがみ合っていないのは喜ばしいことだけど、本当に離婚しているの……? 不安になってきた場合、調べることはできるのでしょうか?
バツイチ男性との再婚を考える女性たちへ、弁護士からのアドバイス
まとめ
幸せに生きる権利は誰にでもあります。失敗してしまったときに大事なのは、そこから学ぶこと。そんな彼を支えていきたいと、きっとあなたは思っているんですよね?
バツイチでの再婚は、子どものために考えておきたいことや、法律で知っておきたいことなどがたくさんありますが、長い人生の時間を考えれば、ほんの少しの頑張りです。好きになったその人と、幸せになる道を探しながら明るく歩んでいってくださいね!
(文:暮らしのチームクレア 川口裕子/監修:中里妃沙子弁護士/漫画:ひらたともみ)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、弁護士に取材、および、その監修を経た上で掲載しました
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