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2021年11月18日 17:08 更新

【弁護士監修】円満離婚成立のカギは? 離婚の4つのステップと離婚協議書作成のポイント

できるだけもめずに離婚したい! 円満離婚のカギは? 弁護士が入るとあおられる? 数多くの女性の離婚相談に応えてきた、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の代表弁護士、中里妃沙子先生に、「もめない離婚」を成功させるためのポイントを教えていただきました。

円満な協議離婚からドロドロの裁判離婚まで、離婚にもいろいろあるんです。

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ただでさえ手続きや生活の変化で消耗する離婚。憎み合って別れるわけでないなら、なるべく揉めずに、スムーズに円満離婚したい……どうしたらいいの?

円満な離婚からドロドロした離婚まで、同じ離婚といっても、内容はさまざま。

離婚を考えるなら、なるべく円満に離婚を達成するためにも、まずは、離婚がどのようなプロセスをたどって泥沼化するのか、知っておきましょう。

協議離婚→調停離婚→審判離婚→裁判離婚~離婚の4つのステップ~

離婚には次の4つステップがあります。

お互いにスムーズに離婚に同意できて1ステップめの協議離婚が成立することもあれば、どちらかが離婚に同意せず、あるいは互いに条件がまとまらず、4ステップめの裁判離婚まで話がもつれることもあります。

1 協議離婚:夫婦間の話し合いによる離婚

協議離婚とは、夫婦間の話し合いで成立する離婚のこと。ほかの離婚と比べて費用や時間がかかりません。

双方が離婚に合意したら、離婚条件を決めます。

くわしくは後述しますが、協議離婚は夫婦ふたりだけで交渉しなくてはいけないというわけではなく、協議離婚でも、弁護士を立てて交渉するケースはあります。

2 調停離婚:家庭裁判所の調停委員を介して離婚

調停離婚とは、協議で離婚が成立しない場合、家庭裁判所で調停委員を介して相手方と話し合い、その結果合意して成立する離婚です。

裁判と異なり、調停には離婚を強制する力はありません。調停を経ても相手方が離婚に応じない場合には、離婚は成立しません。

第三者が間に入るので、比較的冷静に話し合いができますが、原則として裁判所に出向かなければなりません。

3 審判離婚:調停での細かい食い違いを家庭裁判所の審判で解決

審判離婚とは、調停のひとつの終結方法。家庭裁判所の権限で、調停に代わる審判を出します

調停で大筋では合意しているけれども細かな食い違いが残る場合などに、家庭裁判所の審判で成立させる離婚です。

調停不成立となるのは大きく意見が対立する場合がほとんどで、その場合、審判は経ずに裁判に進むため、審判離婚となるケースは限定的です。

4 裁判離婚:裁判で成立させる離婚で「法廷離婚事由」が必要

裁判離婚とは、協議、調停でも離婚が成立しない場合に、裁判によって離婚を成立させる方法です。

ほかの3つの離婚とちがい、裁判離婚は、片方が離婚に合意しなくても、強制的に離婚を成立させることができます。ただし、裁判で離婚が認められるためには、法律で定められた「離婚原因(民法770条に定められた「法定離婚事由」)」があることが必要です。

裁判になると裁判所の強制力を最大限利用することができますが、費用も時間もかかり、「円満離婚」とはいえなくなってきます。

円満離婚とは? 成立する条件

円満離婚の実例 失敗・成功 分かれ目はどこ?

大きなストレスの元となりやすい離婚。あなたにとっても、相手にとっても、間で揺れ動く子どもにとっても、「円満」にことが済めば、こんなによいことはありません。円満離婚にコツはあるのでしょうか。

成功例、失敗例その両方を通して、円満離婚成立のカギはどこにあるのか見てみましょう。

【成功例】夫に黙って進めた着実な離婚準備と、冷静な話し合いが実った! 

2人の子を連れて離婚した修子さん(仮名、38歳)。夫との間に大きなトラブルがあったわけではありませんが、結婚して間もない時期から、夫とはまったく性格が合わないことに気づいていました。

意見が食い違ったときなど、修子さんがそのことを伝えても、夫に理解してもらえることはなく、逆に修子さんが間違っていると、言いくるめられることがほとんど。2人の子どもには恵まれたものの、この先何十年も理解しあえない夫との暮らしが続けば、自分の人生が無駄になってしまうように思えたという修子さん。

一時の感情と受け止められれば、夫に言いくるめられることは目に見えていたので、夫には黙って、離婚に向けて動きはじめました。離婚の手続きや離婚後の生活をシミュレート、必要になるお金を少しずつ貯え、子どもたちと住む家を探すなど、本気で離婚を目指して、具体的な準備を進めたのです。

ある程度準備が整ったある日、修子さんは夫に離婚したいと打ち明けました。これまで理解してもらえなくてつらかったことを夫に伝えたいとも思いましたが、そこはグッと我慢。これは夫との関係修復の話し合いではなく、離婚に合意してもらうための説得なのですから。冷静に、「自分がいかに真剣に離婚を考えているか」「何を言われても気持ちは変わらないこと」を理解してもらえるように努めました。

当初感情をあらわに「離婚はしない」と話し合いを拒絶した夫でしたが、離婚に向けて着実に準備を進めている修子さんの意志は固く、気持ちを変えることは無理だと悟ると、話し合いに応じるように。最終的には、理解されずにつらかった修子さんの気持ちも、夫はわかってくれたそう。

子どもたちの前で感情的になることもなく、冷静に話し合いを続けた修子さんたちは、お互いを尊重する気持ちを残したまま離婚することができました。

本気で離婚したいならどんな準備が必要?

離婚を本気で考えるなら、お金のこと、住むところ、子育てなど、離婚したらどうするのか、離婚後の生活を具体的にシミュレートし、できる準備から始めます。

・現在働いていない場合は仕事を探し、生活費を得る手段を確保する
・転居や生活の変化に備えて、お金を貯える
・別居や転居に備え、今の家を出たらどこに住むのか考えておく
・子どもの保育園・幼稚園・学校、習いごとなどはどうするのか考えておく

なかなか離婚に合意してもらえないときはどうする?

【失敗例】離婚にはすんなり合意、でも、条件面の話し合いで激しく対立!

4歳になるの娘のママ、里佳さん(仮名、40歳)は結婚6年目。去年発覚した夫の浮気問題が尾を引き、夫婦関係は危機的な状況です。自分の部屋にこもってゲームばかりしている夫とは顔を合わせることもなく、夫婦の会話はゼロ。こんな生活をいつまでも続けることに耐えられなくなった里佳さんは、夫に離婚を切り出しました。

すると、夫も里佳さんと暮らすことに未練はなく、離婚にはすんなり合意。ところが、条件の話し合いになると、「浮気した夫に娘を渡すわけにはいかない」「経済力もないくせに親権をわたせるか」「養育費は払って」「金は渡さない」と、娘の親権や養育費をめぐって里佳さんと夫は激しく対立。さらに現在住んでいる家にも双方が執着し、とうてい協議で離婚を成立させることはできませんでした。

この先は調停となりますが、感情的になっている二人は「裁判上等!」の勢いで、離婚成立にはまだまだ時間もお金もかかりそうです。

離婚協議で夫婦が対立しやすい3つのポイントとは?

円満離婚で大切なこと 条件は明確に文書に残して!

円満離婚に向けて、夫婦が離婚に同意し、離婚条件が折り合ったら、もう離婚届を出していいのでしょうか?

それでも協議離婚は成立しますが、あとで「言った」「言わない」の争いになったり、約束したはずの養育費が振り込まれなかったり、といったトラブルになる可能性があります。

離婚の条件を、きちんと離婚協議書に残すことが大切です。

離婚協議書の作成 6つのポイント

離婚条件の話し合いがまとまったら、以下の点を明確に記した離婚協議書を作成します。
1 子どもの親権者はどちらか
2 養育費はいくらか
3 面会交流の方法
4 財産分与について
5 慰謝料について
6 年金分割について

弁護士が入ると円満離婚はうまくいかない?のウソ

弁護士に依頼するのは、離婚でもめそうな場合、調停や裁判など、裁判所が絡む場合がメイン、というイメージがある人もいるかもしれません。

でも、実際には協議離婚でも、弁護士が入るケースは増えているといいます。円満離婚成立のために、弁護士はどのように役立つのでしょうか。

円満調停とは? 離婚のためではなく夫婦関係改善のための調停

円満離婚の方法を探していて「円満調停」という言葉に行きあたる人もいるかもしれません。

円満調停とは、離婚のための調停ではなく、夫婦関係を改善させ、夫婦がやり直すための家庭裁判所の調停のことです。正しくは、「夫婦関係調整調停(円満)」といいます。なお、離婚調停のことは、正しくは、「夫婦関係調整調停(離婚)」といいます。

円満調停では、どうして夫婦関係がうまくいかなくなったのか、相手のどこを直してほしいのか、お互いに意見を出して、着地点を探っていきます。

中里弁護士からのアドバイス

この記事の取材・監修にご協力いただき、これまで多くの女性からの離婚相談にあたってきた中里弁護士から、円満に離婚をしたい女性に向けて、アドバイスをいただきました。

まとめ

円満離婚には夫婦にも子どもにも大きなメリットがあります。むずかしいことではありますが、可能であれば、冷静に、相手へのリスペクトを忘れずに、時間をかけて進めることで、円満離婚を成立させてください。

(取材・文:暮らしのチームクレア 小川睦美/監修:中里妃沙子弁護士/漫画:るい)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、弁護士に取材、および、その監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものです。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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