
【助産師解説】妊婦のおっぱいマッサージの効果は?乳首のケア方法と気をつけたいこと
出産が近づくと、子育てをしている自分を想像し「妊娠中にやっておくべきことってなんだろう?」と思うものです。では“おっぱいマッサージ”はどうなのでしょうか。今回は妊婦さんのおっぱいマッサージの効果と、簡単に自分でできるおっぱいケアについて解説します。
妊娠中におっぱいマッサージをすると母乳が出やすくなる?
出産後に赤ちゃんにたくさん母乳を飲めるようにしてあげたくて、できることがあればチャレンジしたいと考えるママは多いと思います。おっぱいマッサージもそのひとつではないでしょうか。
では、おっぱいマッサージに産後の母乳の出をよくする効果はあるのでしょうか?
「必ずやらなきゃダメ」というわけではない

妊娠中の乳房や乳頭に対するおっぱいマッサージにはさまざまな考え方がありますが、妊娠中のおっぱいや乳首のマッサージが産後の母乳の出方に影響するという医学的根拠はないとされています。
赤ちゃんが吸いやすいよう乳頭を柔らかくする目的で助産師さんなどに勧められることもありますが、やらなかったとしても問題なくおっぱいを飲める赤ちゃんも多いために、必ずしも必要というものでもありません。
妊娠中のおっぱいマッサージNGな人も
・妊娠初期・中期の人
・切迫早産の人
・お腹が張りやすい人
産後の○○で母乳は出るようになる!

そもそも母乳は脳が分泌したホルモン(プロラクチン)に乳腺が反応することで作られます。このプロラクチンは、乳輪部分が刺激されることで分泌されますので、出産後に母乳が出るようにするには、赤ちゃんにしっかりおっぱいを吸ってもらう、つまりは授乳することが大切なのです。
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母乳の出をよくする方法について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎母乳を増やす5つの方法
妊娠中のおっぱいのケアの方法 3ステップ
妊娠中のおっぱいマッサージは産後の母乳育児に不可欠なわけではありませんが、妊娠中におっぱいのケアをして、自分のおっぱいの状態に関心を持つことは、産後のためにもなるでしょう。
乳首のオイルパックのやりかた

妊娠後期に入ると、母乳がにじむことがあり、乳カス(乳垢)が乳頭に溜まることがあります。気になるあまり、石鹸やお湯でごしごし洗うのは皮膚を傷つけ、乾燥させる原因になります。
乳カスが溜まっていたら、以下の方法で適切にケアをしてあげましょう。
■準備するもの
・ラップ
・コットン
・オイル(オリーブオイル・馬油・ベビーオイルなど)
■やり方
1. オイルをしみこませたコットンを乳頭全体に覆う。その上からラップで覆ってパックをする。
2. 乳カスがふやけるように、10~15分を目安に待つ。
3. パックを取り、そのまま入浴する。
この際に、乳輪部分を親指・人差し指・中指でゆっくり圧迫して、軟らかさを確かめたり、乳首を触ってみてください。授乳をすると、この部分が耳たぶくらいの軟らかさになってきます。
授乳するイメージをしながら、おっぱいのケアをすると、出産後のママの気持ちの準備にもなりますね。
陥没、扁平……マッサージ以外の方法で改善できる?

乳首をつまんだときにくぼむ場合・乳頭中央が乳輪よりもへこんでいる「陥没乳頭」や乳首中央がまっ平らな「扁平乳頭」などで乳首の形が気になっている方もいらっしゃるでしょう。心当たりがあるようなら、おっぱいマッサージ以外のケア方法を検討してみてもいいかもしれません。
陥没乳頭や扁平乳頭でも授乳はできる
妊娠前は陥没乳頭や扁平乳頭だったけれど、妊娠期間中に乳首の形状が変わったという人は案外多いです。ちょっとコツが必要にはなりますが、陥没乳頭や扁平乳頭でも母乳育児はできます。むしろ、赤ちゃんがおっぱいを吸う力で乳首が少しずつ出てくることも十分ありますので、心配しすぎないでくださいね。
乳頭の状態によっては、ニップルフォーマーと呼ばれるドーナツ状の器具を乳首部分を囲むように装着したり、乳頭吸引器で乳首を引き出すこともあります。乳頭の形状が気になっている人は、産婦人科や母乳外来で相談してアドバイスをもらうようにしましょう。
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陥没乳頭・扁平乳頭について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎陥没乳頭・扁平乳頭で授乳はできる?自分でできる授乳のコツ
まとめ
妊娠中のおっぱいマッサージで産後母乳がよく出るというわけではありません。妊娠中や授乳中のママにとって必ずしも必要なものではなく、むしろ妊婦さんにとってはリスクにつながる可能性もあります。おっぱいマッサージをしたいと思ったら、まずはかかりつけの産婦人科医や助産師に相談をするようにしましょうね。
(文:本河美佳/監修:坂田陽子 先生)
※画像はイメージです
[*1] 水野克己ほか「母乳育児支援講座」(南山堂)
[*2]五十嵐隆 監修「授乳・離乳の支援ガイド(2019年度版)実践の手引き」(公益財団法人 母子衛生研究会)
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます