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2021年09月28日 18:30 更新

【医師監修】産後も気が抜けない!胸にできた妊娠線はどうやったら治る?

妊娠線はおなか、おしり、太もものほか、「胸」にできることもあります。なぜ胸に妊娠線ができるのでしょうか。そして、胸にできた妊娠線を消すことはできるのでしょうか? できやすい時期や予防法とともに解説します。

胸にできた妊娠線は治るの?

悩んでいる女性のイメ―ジ

妊娠線といえば「おなかやおしりにできるもの」というイメージがあるかもしれません。ですが、胸の乳房付近にできることもあります。

妊産婦さん110人について、妊娠線のできる場所を調べた研究によると、おなかにできた人が48%、乳房と太ももにできた人がそれぞれ25%という結果になっていました[*1]。つまり、4人に1人は胸にも妊娠線ができるということになります。

妊娠線は完全には消すことができない

妊娠線とは、皮膚の下層の組織の一部が断裂することによってできる、亀裂のような線のことをいいます。

短期間での急激な体重及び体型の増加によって皮膚が急速に伸ばされる際に、皮膚の下層である「真皮」や「皮下組織」といった伸びにくい層が、その伸びについていけずに断裂して線のようになっているのが妊娠線です。

また、妊娠中に増加する「副腎皮質ホルモン」の影響で皮膚組織の「入れ替わり(ターンオーバー)」が抑えられることも、皮膚の弾力性が低下して妊娠線ができやすくなる理由と言われています。

急激な体形の変化があれば、妊娠以外の原因でも妊娠線と同様の症状は起こります。妊娠以外の原因で起こる場合は「伸展性皮膚線条」「線状皮膚萎縮症」「皮膚伸展線条」などと呼ばれています。

この妊娠線は、皮膚組織の一部に断裂が起きることによってできるため、一度できると、目立たなくなることはあっても、完全に消えることはありません

皮膚の構造(イメージ)
皮膚の構造(イメージ)

でも時間とともに目立たなくなっていく

できたばかりの妊娠線は赤い色をしているため、線がより目立ちます。しかし、ずっとその状態のままではなく、時間が経過するとともに赤かった線の色は徐々に薄くなり、産後になると光沢のある白〜銀色調の線に変わり、色は薄くなっていきます

レーザーなどを使った治療法

美容皮膚科や美容形成外科など美容医療を行うクリニックでは、妊娠線を薄くしたり、目立たなくすることを目的とした施術が提供されていることがあります。

具体的にはレーザーやマイクロニードルによる皮膚の再生を促す治療のほか、周囲の皮膚の色と同じような色素を妊娠線の部分に注入して目立たなくさせる方法(アートメイク)などがあります。

いずれの施術も行えるのは産後ですが、どうしても妊娠線が気になる人は、このような治療法を試してみるのもひとつの方法です。しかし妊娠線はどのような治療を行っても完全に消すことはできません。

胸に妊娠線ができやすい時期

疑問のある妊婦のイメージ
Lazy dummy

おなかにできる妊娠線は、急激な体重増加が起こりやすい妊娠末期~出産直前にできやすいといわれています。胸に妊娠線ができやすい時期も同じと考えてよいのでしょうか。

初期だったり中期だったり……人それぞれ

哺乳類であるヒトは、産後の授乳に備えて、妊娠中から胸(乳房)が大きくなっていきます。乳房の変化の度合いは人それぞれですが、妊娠してから出産までに、大体1.5倍くらいの大きさになるといわれています。

妊娠線は皮膚が急に引き伸ばされたときにできるので、妊娠中に乳房が大きくなる時期に胸の妊娠線もできやすくなるでしょう。ただ、その時期は人によってさまざまです。

中には妊娠してから最初の数週間に、一気に乳房が大きくなることもあれば、妊娠中期ごろに大きくなることもあります。妊娠期間を通して少しずつ大きくなる人もいれば、出産までにあまり大きくならない人もいます。

産後も妊娠線ができる可能性はある

また産後も、胸に妊娠線ができる可能性はあります。産後は授乳が始まると乳房が張ることがしばしばあります。その際に、妊娠線が生じる人もいます。

胸に妊娠線をつくらないための予防策

体重計と女性
Lazy dummy

胸にできる妊娠線は、位置的におなか以上に自分の目に付きやすいため、気になる人も多いかもしれません。どうすれば、胸に妊娠線ができるのを予防できるのでしょうか。

産後も念入りに!胸にも保湿ケア

個人差はありますが、乾燥肌では妊娠線ができやすいといわれています。皮膚が乾燥していると、弾力性が乏しくなり、皮膚が伸びにくくなり、妊娠線ができやすくなるのです。

保湿クリームなどを用いて、おなかだけでなく胸や乳房の皮膚も丁寧に保湿し、妊娠線の発生を防ぎましょう。

急激な体重増加を防ぐ

妊娠線の原因の一つには「急激な」体重増加があります

妊娠中、とくに妊娠中期以降は、必要なエネルギー摂取量が非妊娠時よりも多くなり、妊娠経過とともに、摂取する食事の量も体重も少しずつ増えていくのは自然な経過です。

しかし必要以上の食べ過ぎは禁物です。食べ過ぎは急激な体重増加を招きやすく、赤ちゃんやお母さんの健康にも影響を及ぼす可能性があります。注意しておきましょう。

体調に問題なければ適度な運動を

急激な体重の増加を防ぐために、医師の指示に従い、散歩やストレッチといった軽い有酸素運動など、適度な運動を行うとよいでしょう。

余分なカロリーを消費できるうえ、ストレス解消にも効果的です。

栄養バランスのとれた食事や睡眠も重要

妊娠中の体重は「急激」ではなく「徐々に適切な量」で増加させていくことが大切です。これは、妊娠線の予防だけでなく、赤ちゃんやママの健康にもつながります。

栄養バランスの整った食事を適量摂取し、睡眠をしっかりとった結果、おなかの中の赤ちゃんが健やかに成長していければ、体重の増加も適正なものになります。

まとめ

Lazy dummy

妊娠線は、短期間での急激な体重増加と体型の変化によって皮膚が急に引っ張られてでき、胸にできる妊娠線も、妊娠によって乳房が急に大きくなるときにできやすいようです。急激な体重の増加を防ぐことは、さまざまな妊娠中の不調だけでなく妊娠線の予防においても有効となるかもしれません。

また、妊娠線の予防には皮膚の弾力性も重要です。おなかやおしりなど、一般的に妊娠線ができやすいとされる部位だけでなく、胸の皮膚にも十分な保湿し、弾力のある皮膚を維持しておきましょう。

(文:山本尚恵/監修:横井彩 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]ウイリアムス産科学 原著24版, p56, 南山堂, 2015.

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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