育児休業給付金がもらえる期間・金額・支給日のすべて
育児休業中に気になるのが、仕事復帰までの生活費。妊娠中や育休中もできるかぎり、経済的にこれまでと変わらぬ生活を送りたいものですよね。そこで知っておきたいのが「育児休業給付金」です。「いくらもらえるの?」「どうやって申請すればいいの?」そんな質問に答えていきます。
育休の基礎知識
育休の目的と期間
働くママにとって、とても大切な制度の一つが「育休(育児休業)」です。正式には「育児休業法」という法律によって定められた制度で、子供が満1歳を迎えるまでは休業できる権利を保障するものです。制定されたのは1991年。育児・介護休業法によって、子供を養育する労働者が取得できる休業として定められました。取得できる期間は、基本的には、ママの場合は産後休業(出産日の翌日から8週間)終了日の翌日から、パパの場合は子供が誕生した日から、子供が1歳になる前日までと定められています。
場合によっては期間を延ばすことができます。子供が保育所に入れないなど特別な場合は「1年半」取得することが可能です。2018年4月からは2年に延長されます。また、2009年の育児・介護休業法の改正に伴い、「パパ・ママ育休プラス制度」が加わり、ママとパパがずらして育休を取得することで子供が1歳2ヶ月の誕生日前日まで期間延長が可能になりました。通常の育休は連続して1人の子供につき1回しか取得することができないのに対し、この制度を利用すれば、休業の上限が1年間である点は同じですが、ママの産休中にパパが一度育休を取得したあと、さらにママの職場復帰後にもう一度育休を取得することもできます。
育休をもらうための要件
「育児休業って、勤務先に規定がなければ申請できない」と誤解している人も多いのですが、国が法律によって認めているものなので、条件さえ満たしていれば、申し出により取得することができます。また「親と同居していたらダメ」「養子は除外されるはず」というのも誤解。祖父母など、子供を世話する家族と同居していいる場合や、たとえその子供が養子であっても、育休は取得できます。
育児休業は男女関係なく取得できますし、正社員だけでなく、派遣社員や契約社員といった期限付き雇用の場合でも条件さえクリアしていれば取得可能です。その条件とは「同一事業主のもとで1年以上働いている(日雇い雇用は除く)」「子供が1歳になっても雇用が見込まれている」「1週間に3日以上勤務している」「期限付き雇用の場合は、子供が1歳になった後も1年以上の契約更新があること」です。
育休中にもらえる「育児休業給付金」とは
育児休業給付金とは
育児休業給付金の存在は知っていましたか?「育児休業給付金」とは育児のために休業するママやパパに対して、その生活を支援するために支払われる給付金のこと。育児休暇の期間中は仕事をしないわけですから当然、給料も発生しません。だからといって十分な貯金も無く、生活できないのも困りものですよね。
この制度は原則として、満1歳未満の子供を育てるために育児休業制度を利用する人を対象として、休業開始前に支払われていた賃金の50%(最初の180日間は67%)が支給される、という制度です。ちなみに、平成26年度の育児休業取得率は女性が86.6%(前年86.5%)に比べ、男性はわずか4.2%(同3.4%)。男性の取得も以前に比べると増えましたが、まだまだ低い水準です。
育児休業給付金をもらうための条件
育児休業給付金はママでもパパでも申請できるのですが、取得するにはもちろん条件はあります。
・「雇用保険に加入する65歳未満の方で、育児休業する前の2年間のうち1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上あること」。
・「休業中に職場から賃金の80%以上を支給されていないこと」
・「休業している日数が対象期間中毎月20日以上であること」。
ひとつ目の条件に「雇用保険」という文言があるため、自営業の方や専業主婦の方は支給対象外となります。妊娠中に退職してしまったり、育休終了時には退職する予定が育休をとる時点で決まっていたり、育休を取得せずに仕事復帰したりするケースも、対象外となるので注意しましょう。
育児休業給付金をもらえる期間
育児休業給付金をもらうための要件は満たしている場合、いつから支給されるのでしょう。まず支給日について。お給料のように毎月支払われるわけではなく、2ヶ月単位で指定口座に支給されます。ママが取得する場合は出産後8週間(およそ2ヶ月)は産後休暇中に当たり、育休が始まるのはそのあと。産休経過後に支給申請を行うことになります。支給日は2ヶ月単位と決まっていますから、タイミングが悪ければ、初回の給付金を受け取りは育休が始まってから数ヶ月後…になることも。給付金が出るだけでもとてもありがたいことですが、働いていたころの給料と比べれば金額も支払いペースも異なりますから、日頃から家計はやりくりしておくのが賢明です。
育児休業給付金はいくら?
育児休業給付金の計算方法 上限と下限は?
次に気になるのは、育児休業給付金の金額の計算方法です。
「休業前に支払われていた賃金の50%(最初の180日間は67%)」とはいえ、毎月一定ではなく、手当やインセンティブなどによって毎月の給料に増減がある人も多いでしょう。そこで、休業前賃金6ヶ月平均から平均月給を算出し、休業してから最初の180日分はその67%、その後は50%が支払われる仕組みです。
休業前の賃金が高給だったら、給付金も高額になるかというと、そうではありません。休業前月額賃金には42万6,900円という上限が設けられていて、これを上回る給料が支払われていた場合でも、この上限額42万6,900円の67%あるいは50%までしか支給されません。逆に、下限も設けられていて、休業前月額賃金が6万9000円を下回る場合は、その67%ないしその50%といった計算方法ではなく、そのまま6万9,000円が給付額となります。
育児休業給付金の申請について
雇用主が申請する
ここまで読んで「私たちも育児休業給付金を取得したい!」と思ったママパパに、次は申請方法についてお話しましょう。手続きは本人ではなく、勤務先(事業主)が行うのが一般的。ただし、取得したい意思は伝える必要があります。育児休業を取得する1ヶ月前までには勤務先に申し出ておきましょう。申請には書類が付き物ですが、それらは本人が書くものなので、育児休業給付受給資格確認票や育児休業基本給付金支給申請書などの必要書類はあらかじめもらっておいてください。提出期限は勤務先によって若干ばらつきがあるはずです。「育休に入る1ヶ月前まで」など職場が決めた期間内に必要書類に記入して提出しましょう。
事業主は管轄のハローワークにこれらの書類を提出することで、申請します。これにより受給資格の確認手続きと育児休業給付金の初回支給申請手続きを、まとめて行うことができます。申請に当たっては、出勤簿、賃金台帳のほか母子健康手帳などが必要になります。申請が受理され受給資格が認められれば、給付がスタート。給付金が2ヶ月単位で支払われることは先述したとおりですが、やや面倒なのが、2ヶ月ごとに追加申請しなければいけないこと。勤務先が自動的に更新手続きを行ってくれる場合はよいのですが、そうでない場合は提出期限を忘れることのないように注意してください。
雇用主が申請できない場合
なんらかの事情によって、まれに勤務先(事業主)が申請できない場合もあります。そんなときは自分で申請することになります。本人が申請を行う場合は、職場を管轄しているハローワークにまず出向くこと。そちらで「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」と「休業開始時賃金月額証明書」を受け取り、必要項目を記載してから事業主の承諾を受け、ハローワークに提出しましょう。必要書類に加えて、出勤簿や賃金台帳なども必要になるので、勤務先の担当者に相談して取得しておいてください。最初にハローワークに行った際、あらかじめどんな添付書類が必要になるか確認しておくと申請がスムーズになります。
まとめ
出産後も仕事がしたい場合、育児休業まではだれもが取得しようと考えますが、給付金の存在までは知らなかったということも。働く人すべてが給付対象ではないものの、申請しなければもらえないものなので、まずは自分がその給付条件を満たしているか調べてみましょう。