卒乳後の寝かしつけのポイント4つ!<体験談>よくある疑問Q&A【医師解説】
赤ちゃんの卒乳・断乳を考え始めたけれど、「これからはどうやって寝かしつければいいの?」と困っている人も多いのでは。ここでは、赤ちゃんの睡眠にくわしい森田麻里子先生に、おっぱいやミルクを卒業する赤ちゃんの寝かしつけのポイントを解説してもらいました。
卒乳後の寝かしつけはどうしてた?<みんなの体験談>
先輩ママに卒乳した時期と、大変だったこと、工夫したことを聞きました。
<体験談>卒乳時期と大変だったこと、寝かしつけの工夫
※マイナビ子育て調べ 調査期間:2021年10月28日~2021年11月12日 調査人数:150人(21歳~40歳以上の女性)の回答より抜粋
※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。
卒乳したらどうやって寝かしつければいい?
ねんねの前は、おっぱいやミルクでの授乳が欠かせないという赤ちゃんも多いものです。では、こういう赤ちゃんが卒乳・断乳したら、その後はどうやって寝かしつければいいのでしょうか。
そもそも「授乳で寝かしつけはしない」ほうがベター
実は、卒乳・断乳の時期にかかわらず、赤ちゃんによっては「寝かしつけのためだけの授乳」が合わないこともあります。
授乳なしではねんねできなくなることが
実は、これに慣れてしまうことで、「授乳なしでは寝付けなくなってしまう」ことがあるのです。
乳児期は眠りも成長途中で不安定なので、ちょっとしたことで目が覚めます。いつも授乳で寝かしつけられていると、夜中目が覚めたときにも自力で寝付けず、泣いて親を呼ぶようになることがあります。
実際、夜中に目覚めるたびに母乳やミルクで寝かしつけられている赤ちゃんは、夜泣きする確率が高いという調査結果もあります[*1]。
自分で寝付く力を付けてもらうのが大事
赤ちゃんの寝かしつけに「授乳」はかならずしも必要なものではありません。夜泣きの理由が空腹であれば、もちろん授乳が必要ですが、そうではないことも多いのです。
なお、授乳ができないなら「抱っこ」で、と考えるかもしれません。抱っこは一時的にはしてもいいのですが、夜ぐっすり寝てもらいたいなら、だんだんやめていく必要があります。なぜなら、赤ちゃんの睡眠トラブル改善には「自分で寝付く力を付けてもらうこと」が必要だからです。
では具体的にはどうすれば良いのでしょうか。次の項で解説します。
卒乳のときの寝かしつけのポイント4つ!
(1)寝るときの環境と生活リズムを整える
・室温:夏は25~27℃くらい、それ以外の季節は20℃前後くらいになるように調整する
・服装:適温の室内では「肌着+1枚」が基本。その上に、室温に応じてお布団のかわりに「スリーパー」を着せる。室温26℃以上の場合は、スリーパーなしでもOK。冬も暖房の効き過ぎで暑すぎないか気を付ける
・照明:寝室はできるだけ真っ暗に。明かりが必要なときは、暖色系の薄暗い床置きライトを短時間のみ使用する
・音:物音に敏感な赤ちゃんなら、昼寝や夜の就寝時、眠っている間は「ホワイトノイズ」をかけっぱなしにするのもおすすめ。シーンとしているより、ちょっとした物音が気にならなくなる。ただし、24時間かけっぱなしだと言葉を聞き取って学ぶことに影響する可能性もあるので、赤ちゃんが眠っている間だけ流すようにする
・ベビーベッド?布団?:睡眠の観点からは、できれば2歳になるまでは「ベビーベッド」に寝かせるのがおすすめ。ただし、家庭の好みや価値観もあるので、お布団でももちろんOK
生活リズムはどう整える?
・起床:毎朝きまった時間に起き、朝の日光を浴びる
・昼間:たっぷり遊んだり、話しかけたりする
・夜:毎日「夜のルーティーン(後述)」をして寝かしつける
環境や生活リズムは、上記を基本に整えていきます。でも、赤ちゃんの睡眠のとり方や時間は、月齢によって徐々に変化していきます。
月齢ごとにおすすめの生活リズムと整え方については、下記の記事を参照してください。
(2)「夜のルーティーン」を始めてみる
「夜のルーティーン(入眠儀式)」とは、寝る前に毎日同じ順番で繰り返す習慣のこと。といっても特別なことではなく、入浴や絵本の読み聞かせ、子守歌などです。
卒乳前から行っていることがあれば、同じ時間に同じ順序で行うよう意識して、習慣づけてみると良いでしょう。夜のルーティーンを毎日繰り返すことで、赤ちゃんにねんねの時間が近づいていることを知らせることができます。
月齢別におすすめの夜のルーティーンもさきほどの記事で紹介しているので、参考にしてください。
(3)「ネントレ」を始めてみる
赤ちゃんが自分で寝付く力を身に着けることを目指して行う「ネントレ」という方法もあります。ネントレにはさまざまな方法があり、赤ちゃんによって役立つかどうかも異なりますが、授乳や抱っこに頼らず、赤ちゃんが自力で眠りに入る力を育てていくという目的は変わりません。
夜中に起きてしまうのを減らすために卒乳を考えているという場合は、ネントレの方法で寝かしつけを行うのが良いでしょう。具体的な方法は下記の記事で解説しているので参照してください。
(4)卒乳を「夜間断乳」から始める方法も
生後9ヶ月頃までの赤ちゃんは、必要な栄養を日中だけでとりきれず、夜間の授乳が必要な子も多いです。夜泣きを改善するのが目的の場合は、卒乳ではなく、夜間の授乳を1〜2回残してネントレをすることができます。
1歳をすぎて卒乳を考え始めているころなら、卒乳の前段階として、夜中の授乳から減らしていく方法もあります。夜間断乳を始める際の注意点は下記の記事を参照してください。
教えてもりたま先生!卒乳の寝かしつけはどうすれば?
ここからは、卒乳時期の寝かしつけでよくある疑問に対して、森田先生にアドバイスをいただきます。赤ちゃんの状況はその子によって異なるので、他の子に効果的な方法がわが子でもそうであるとは限りませんが、寝不足で辛い状況打開のヒントになるかもしれません。参考にしてみてくださいね。
卒乳とネントレは同時に始めないほうが良いですか?
むしろ、同時に始めることをおすすめします。
ネントレは、夜泣きがうまくなくなっていくように、上手に寝かしつけを変えるやりかたの「型」のようなものです。
寝かしつけの方法が授乳やミルクになっている場合、卒乳するということは、寝かしつけ方法を変えるのと同じことになります。せっかく変えるなら、良いやり方で変えていくのがおすすめです。
もちろん、ネントレの方法も様々なものがあります。卒乳時、最初からお布団やベッドの上で寝かせることに不安があれば、まずは抱っこでも大丈夫です。
抱っこで寝られるようになったらその次に抱っこをやめていく、というように、段階を踏んでゆっくり進めていくやり方もありますよ。
卒乳したら寝ないのでドライブが定番に……
確かに、ドライブをすると気分転換にもなりますし、心地よい揺れもあって、寝てくれる子も多いです。
どうしようもないときにドライブするのは良いと思うのですが、それが定番の習慣になってしまうと、ママ・パパにかかる負担が大きいですよね。
寝かしつけ方法は、少しずつ変えることができます。最初はどうしても泣いてしまうと思いますが、ブレずに粘り強く働きかけてみましょう。お子さんに合うネントレの方法を見つけて、それに沿ってチャレンジしてみてください。
卒乳のころはもうお昼寝はいりませんか?
卒乳しようとしたときに、「おっぱいじゃないと寝たくない」など本人の意志で眠ろうとしないことがあるかもしれません。
しかし1歳頃のお子さんは、まだ1日1〜2回のお昼寝が必要です。
お昼寝ができないと、疲れすぎて逆に興奮し、夜に寝つきにくくなってしまうこともあります。少なくとも1回は、お昼寝ができるよう、促してみてください。
まとめ
卒乳・断乳の際、どうやって寝かしつければいいのかについて解説しました。とくに母乳の場合は、ついつい添い乳で寝かしつけていたという人も多いのでは。でも、寝かしつけのためだけに授乳するのは本来、あまりおすすめできません。これまで授乳で寝かしつけていたという人は、卒乳を考え始めたタイミングが寝かしつけを見直すチャンスかも。ここで解説した4つのポイントについてチェックしながら、その子に合ったスムーズな方法を探してみてくださいね。
(文・構成:マイナビ子育て編集部/監修・コメント:森田麻里子先生)
※画像はイメージです
[*1]森田麻里子・星野恭子:医者が教える赤ちゃん快眠メソッド, p.126, ダイヤモンド社, 2020
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます