
母乳育児は1日500kcal消費!本当にやせる? 時期・方法|助産師解説
「母乳で育てているとやせる!」と聞くことがありますね。妊娠中に増えてしまった体重がなかなか元に戻らず、困っているママも多いはず。ここでは、母乳育児で実際にやせたかどうかの体験談を紹介します。助産師の坂田先生に、産後、健康的に体重を落とすコツも解説してもらうので参考にしてくださいね。
- <アンケート>母乳育児でやせるって本当?
- <アンケート>「5割以上」の人が母乳育児でやせた!
- <体験談>やせてうれしかった!!
- <体験談>やせたことでかえって心配に
- 母乳育児でやせる理由
- 母乳をあげるだけで「1日500kcal」消費する
- 脂肪を落とすホルモンも出る!
- 授乳が終わってもダイエット効果が続く
- <アンケート>母乳育児でやせたのはいつごろ?
- <体験談>産後すぐ~卒乳までという人も
- <アンケート>母乳育児でやせるコツは?
- <体験談>体を動かす!
- <体験談>食事をちゃんと食べられなかったから……
- <体験談>体重が戻ってしまった理由
- やせにくい人の特徴
- 母乳育児中の食事と運動のポイント
- 極端な食事制限はNG
- 「ビタミンD」を積極的に摂ろう
- 1日45分程度運動できるとベスト!
- まとめ
<アンケート>母乳育児でやせるって本当?


「母乳メイン」または「母乳・ミルク混合」で授乳していた先輩ママに、赤ちゃんに母乳を与えることで体重が減ったかどうか聞きました。
<アンケート>「5割以上」の人が母乳育児でやせた!
「母乳メイン」または「母乳・ミルク混合」で授乳していた先輩ママ74人のうち、「5割以上」の人が母乳育児によって体重は減ったと回答しました。
また、減った体重でもっとも多かったのは「3、4kg程度」で34%、次に多かったのは「5、6kg程度」で27%という結果でした。


※マイナビ子育て調べ 調査期間:2021年12月6日~2021年12月14日 調査人数:回答者86人のうち「母乳メイン」「母乳・ミルク混合」と回答した74人(21歳~40歳以上の女性)の結果を集計
※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。
<体験談>やせてうれしかった!!
母乳育児でやせたときの心境では、「うれしい!」と感じた人が目立ちました。
<体験談>やせたことでかえって心配に
一方で、母乳育児中にやせたことでかえって心配になってしまった人もいました。
母乳育児でやせる理由

母乳育児をしているとやせる理由を解説します。
母乳をあげるだけで「1日500kcal」消費する
母乳は、血液を材料に、乳糖やタンパク質、脂肪、免疫物質、ビタミン、ミネラルなどが調整されて作られます。1Lの母乳を作るためには500mLの血液が使われると言われています[*1]。
1日に作られる母乳の量はわかりにくいものですが、赤ちゃんが1日に飲み取る量を合計すると、だいたい生後1ヶ月では650mL、生後3ヶ月で770mL、生後6ヶ月で800mL程度と言われています[*2]。
つまり、母乳のみで育てていて母乳が順調に出ているママでは、毎日このくらいかそれ以上の母乳が乳房で作られていることになります。また、母乳を活発に作っている乳房では、血流が増加し乳房の表面温度も上昇しています。
その結果、母乳だけで育てている女性は、「母乳をあげているだけで1日におよそ500kcalを消費する」と言われています[*3]。
脂肪を落とすホルモンも出る!
また、授乳中のママの体内では「コレシストキニン」というホルモンがさかんに分泌されています。
このホルモンには消化を助ける働きがありますが、実は下腹部やおしり、太ももの脂肪を落とす効果も期待されています。
授乳が終わってもダイエット効果が続く
母乳育児を続けると、卒乳後の体重コントロールにもプラスの効果があると言われています。
4ヶ月以上は母乳だけで育て、1年以上母乳を与えていた女性で、産後6年の体重を比較したら、太り気味の女性の場合、母乳育児を全く行わなかった人よりも、母乳育児を続けた人のほうが体重は少なかったという報告もあるそうです[*1]。
<アンケート>母乳育児でやせたのはいつごろ?

母乳育児でやせたと回答した先輩ママに、いつごろやせたのかも聞きました。
<体験談>産後すぐ~卒乳までという人も
やせた時期は人それぞれですが、早い人では産後すぐからやせ始めたと回答していました。また、卒乳したころまで体重が減ったと回答した人が目立ちました。
<アンケート>母乳育児でやせるコツは?


母乳育児でやせるためには、何かコツはあるのでしょうか。
<体験談>体を動かす!
母乳でやせた人では、母乳でエネルギーを消費することに加え、赤ちゃんのお世話で忙しく体を動かすことが増えたおかげかも、と分析する人が目立ちました。
<体験談>食事をちゃんと食べられなかったから……
一方で、母乳でやせたというより「育児が大変すぎてやせた……」という人も。
<体験談>体重が戻ってしまった理由
母乳育児でやせた体重を維持し続けている人もいますが、中には一度やせたもののその後戻ってしまった人も。体重が戻ってしまったママに、思い当たる理由を聞きました。
やせにくい人の特徴
母乳育児でやせた人もいれば、やせなかった人もいます。母乳育児だけではやせにくい人の特徴としては、
BMI35以上の例:身長160cmの場合、体重90kg以上
・適度な運動をしてない
・食べ過ぎている
などが考えられます。
母乳育児中の食事と運動のポイント

授乳だけである程度のカロリーが消費されるとはいえ、母乳育児をしていたら必ずやせるというわけではありません。授乳中のダイエットで気を付けたいことも紹介します。
極端な食事制限はNG
母乳は、ママが食べた栄養と妊娠中に蓄えた脂肪から作られます。ですから、赤ちゃんを育てるのに十分な量の母乳を出すために、極端な食事制限はしないでください。
むしろ、授乳中は母乳として体から出て行ってしまうので、普段より多めに摂りたい栄養素もあります。
エネルギー・たんぱく質は少し多めに
授乳中は母乳をつくるのにエネルギーを消費するので、通常時の「1日のエネルギー量に350kcalプラス」して摂ることが推奨されています[*3]。350kcalというと、「うどんやそば1食分」「食パン6枚切り2枚程度」です。
また、授乳中はたんぱく質も通常時の摂取量に「1日に20g程度プラス」して摂ることが勧められています[*3]。これは、「卵なら3個程度」「牛乳ならグラス3杯程度」です。

極端な食事制限や「こうしなければ……」という頑張りすぎは避け、バランスの良い食生活を心がけてみてください。
授乳をしていると、食事の時間が不規則になったり、お腹が空いて、簡単に食べられる加工食品やお菓子を食べてしまいがち。
お腹が空いたときに備えて、
「具沢山の豚汁」や「小さなおにぎり」「ゆで卵」などを準備しておくと、便利ですよ。
「ビタミンD」を積極的に摂ろう
ビタミンやミネラルもバランスよく摂りましょう。授乳中とくに意識して摂りたいのが「ビタミンD」です。
骨の健康に欠かせない「ビタミンD」
ビタミンDは骨の発育を促す栄養素で、不足すると骨がうまく育ちません。体がどんどん大きくなる赤ちゃんにとって、とても大切なビタミンです。
でも、ママの摂取量が少ないと母乳中の濃度が低くなり、赤ちゃんが十分に摂取できなくなってしまいます。
ビタミンDが豊富な食品の例
サンマ、マグロ、カツオ、イワシ、干しシイタケなど
ビタミンDは魚や卵、キノコ類に豊富に含まれるので、こうした食品も含めバランスよく食べるのが大切です。
なお、ビタミンDは日光浴によって皮膚の上でもつくられます。外出できる月齢になったら、親子で適度に日の光を浴びましょう。
1日45分程度運動できるとベスト!
また、適度な運動も大切です。赤ちゃんのお世話で忙しい時期ですが、中等度の有酸素運動を「1日45分程度、週に5日間」行うことが勧められています。
中等度とは、運動時心拍数が50歳未満では100~120拍/分くらい、感覚的には「ややきつい」または「楽」と感じるくらいの運動です。
この程度の運動であれば、母乳の成分に影響せず、心臓や血管を健康に保ち、血液中の脂質を減らしたり、血糖値を正常に保ったりするのに役立つと言われています。
まとめ

母乳育児は妊娠中に蓄えた脂肪を消費するのに適していて、授乳を行うことは自然な減量に役立つと言われています。
ただ、もともとの体重や妊娠で増えた体重、普段の食事・運動量、母乳の量などは人それぞれなので、母乳育児でやせるかどうかやどのくらい減量できるかは個人差が大きいものです。とはいえ、適度に体を動かしたり、バランスよく食事を摂ったりすることは、ダイエットだけでなく将来の生活習慣病の予防にも役立ちます。
産後は自分のことはついつい後回しにしがちですが、赤ちゃんとの生活に少し慣れてきたら、ママ自身の食事や運動にも徐々に気を配るようにして、健康的なスタイルの維持にも母乳育児を役立てましょう。
(文:坂田陽子先生/構成:マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
[*1]水野克己・水野紀子:母乳育児の疑問Mr&Mrs水野が一挙解決!, ペリネイタルケア, vol.38, no.3, 2019.
[*2]日本ラクテーションコンサルタント協会:母乳育児支援スタンダード第2版, 医学書院
[*3]日本人の食事摂取基準(2020年版)
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます