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2017年05月26日 18:00 更新

仕事も子供も諦めない! 起業した道村弥生さん「周囲を頼ることが重要」

子供向け英語教育サービス「ハグカム」の代表取締役をしている道村弥生さん。働く女性が通る悩み、仕事とプライベートの葛藤を道村さんも感じていたようです。「仕事もほしい、子供もほしいは贅沢なの?」そんな想いを抱えて過ごした不妊時代から妊娠7ヶ月の現在まで、どのように過ごしたのかを執筆いただきました。働くママ予備軍に必見です。

33歳。起業してから約1年半。現在妊娠7ヶ月。
不妊で悩んだこと約5年。念願の子供を授かることができました。
「仕事もしたい、子供もほしい」は欲張りでしょうか…。

当たり前じゃなかった妊娠。苦しかった不妊時代

現在、株式会社ハグカムの代表取締役として子供向けの教育サービス事業を行っています。

新卒で株式会社サイバーエージェントに入社をし、マネージャーとしての経験や、新卒採用で数百人という学生を見ていく中で、「幼少期の好奇心育成は人生にとって大切」ということを痛感し、「いつかは教育に携わる仕事をしたい」と考えるようになりました。

一方で、女性として生まれてきたからには結婚して子供を持ち、幸せな家庭を築きたい。
「家族を幸せにすることが最も大切だけど、自分自身にパワーがあるなら(あるはず!)、仕事を通じて、幸せにできる人数をもっともっと増やしたい。」
そんなことを考え始めた20代後半。当たり前のように、自分は30歳までには結婚して子供を持ち、母親として仕事を続けるのだろうと考えていました。

28歳で結婚。ところが、なかなか子供ができません。仕事も少しセーブして、食べる物や生活習慣を見直し、健康に気をつかう生活をおくり数年が経ちました。
結局、調べても不妊の原因すら分からず、毎月来る生理にショックを受け、どんどん妊娠していく友達に心からおめでとうと言えず、妊娠のゴールすら見えない焦燥感、どんどん活躍していく同世代への嫉妬、女性なのに子供をつくれないという絶望感など、産婦人科に行っては涙が出る日々でした。

もっと仕事でチャレンジしたいし、子供も欲しい…。
欲張りかもしれませんが、私の正直な想いでした。

夫にうまく相談することもできなくなり、ひとりで勝手に抱え込み、まるで自分だけで子作りを頑張っているような気持ちになってきました。
次第に「子供をつくる」という話が家庭のなかでタブーのように感じ、「結局、『もう無理』」と離婚にまで至ってしまいました。

念願の妊娠。しかし出会えなかった我が子

それまで溜め込んでいた教育事業に対する熱が高まり、紆余曲折を経て独立しました。

<子供の「できた!」を育む。>を理念に掲げ、子供が学びたいと思った瞬間を逃さずに学べる機会を提供できる社会を創りたいと株式会社ハグカムを設立しました。
自分に子供がいない分、多くのママさんにヒアリングを重ね、サービスを利用してくれている子供たちの成長にニヤニヤしながら、教育事業に真正面から向き合えて、やりがいと幸せを感じる日々でした。

そんななか、ご縁あってお付き合いしていた人とまさかの妊娠発覚。
私にとっては人生で唯一計画もできない、頑張ってもどうにもならない予測不能なことだっただけに、突然訪れた出来事に喜びを感じたのもつかの間のこと。

2ヶ月でその子はお腹の中から去ってしまいました。

ちょうど、独立して半年が過ぎたとき。仕事も忙しく、帰宅が遅いこともしばしば。
病院の先生からは「初期の流産は遺伝子の組み合わせの問題。母親の身体は関係ない」と説得されたものの、あれだけ欲しかった子供があっけなく手からすり抜けていき、「仕事のせい…?」と当然ながら思わざるを得ませんでした。

家族と会社、両方の理解とサポートが必要だとわかった

一番の話し相手と理解者は彼でした。(現在は入籍して夫です)
私のこれまでの不妊の話、今回の流産の話、これからの仕事と家庭の話、何度も何時間も話すことができ、以前は相談すらうまくできずにひとりで抱えていたものを、夫婦で話し合って乗り越えていく、という当たり前のことをようやくできるようになりました。

また、もうひとつ大きかったのは会社の理解です。
もちろん、仕事の力を弱めるなんて考えられないものの、万が一のときに一番迷惑をかけかねないのは会社や社員。実は、両親や友達への報告よりも先にしたのは社員への妊娠報告でした。

一般的には、安定期に入る前は流産のリスクもあって伝えづらい、と言いますが、私にとっては逆でした。結果的に報告してからすぐ残念な結果になってしまったものの、急な検診や体調不良などに対して理解をしてもらえたことは精神的にも非常に助かったのは確かです。

私にとっては会社も社員も家族のようなもの。
1日の半分近くを会社で過ごすなら、一緒に働く人からの理解なくしては、出産や子育てと仕事の両立なんてきっとできないと改めて思いました。

仕事も子育ても諦めないために「頼る」ことが重要

友人の赤ちゃんを抱く道村さん

そして、現在2度目の妊娠をしています。

前回同様、妊娠発覚後に最初に報告をしたのは夫の次に、社員でした。
最初の診察のために急に午前休を取った時点で気づいていてくれたようで、社員に報告をすると「やっぱり!そんな気がしました」と。
さっそく、「道村さん、〇〇は食べちゃだめです。」「自転車通勤?絶対だめです!」と私以上に妊娠中の心配をたくさんしてくれました。

しかし、実際には喜ばしい話だけではなく、出産前後は仕事から離れることになるため、迷惑もかけてしまうだろうし、不安にさせてしまっていることは確かです。
今一度、自分の考えをしっかりと理解してもらい、同時に「頼る」ことを考えていかないといけません。不妊で悩んだ時のように、ひとりで抱えたらきっと崩壊してしまうはず。そうならないように、仕事にも力を注ぎ続けられるよう、社員だけでなく、両親からの手助けや、友達からの情報収集も含めて、頼りにさせてもらおうと思います。

今は、働き方改革という大号令の元、女性にとっては働きやすい環境や制度がたくさんできてきています。ですが、実際には直属の上司に相談しづらい、時短で帰ると気まずいということも友人からよく聞きます。会社の制度や世の中の風潮がいくら後押ししていても、一緒に働く人に理解をしてもらい、頼れる関係を作ることが大切なのではないでしょうか。

起業家で妊娠、出産なんて周りを見てもあまり例がないですが、周囲が理解をしてくれていることに感謝し、頼りながら仕事と子育てを両立させていきたいと思います。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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