つい食べ過ぎちゃうチョコレート!気になるリスクと適量の目安を解説【管理栄養士監修】
チョコレートは口いっぱいに広がる甘さで幸せな気持ちにさせてくれたり、気分を落ち着かせてくれたりしますよね。好きな人は多いと思いますが食べ過ぎには注意が必要です。今回はチョコレートの食べ過ぎで考えられるリスクや1日の目安、チョコレートにまつわる噂の真偽をお伝えします。
チョコレートを食べ過ぎるとどうなる?
おいしくて手が進んでしまうチョコレートですが、たくさん食べてしまうとどうなるのでしょうか。「チョコレートを食べすぎると鼻血が出る」などのチョコレートにまつわる噂についても解説します。
リスク① 太る
チョコレートは脂質が多い食品です。一般的なミルクチョコレートは約34%が脂質でできています。また、ここ数年、人気が高まっている高カカオチョコレートの場合には普通のチョコレートに比べて脂質量が1.2~1.5倍です[*1]。脂質量が多いとそれだけカロリーも高くなるので、毎日のようにたくさん食べてしまうと太るリスクが高まります。
リスク② 消化不良による腹痛
脂質の多いチョコレートを食べ過ぎると消化の働きが悪くなることが考えられます。体質やそのときの体調にもよりますが、場合によっては気分が悪くなったり、腹痛を起こし下痢になったりする可能性があるでしょう。
リスク③ ニキビ
ニキビはホルモンのバランスがくずれやすい思春期や体調の悪いときなどに見られます。チョコレートに限らず、脂質の高い食べ物をたくさん食べ続けると肌の調子が悪くなりやすいですが、チョコレートはついたくさん食べてしまいがちなので、肌トラブルにつながりやすいとも考えられます。
特にアーモンドなどのナッツが含まれているチョコレートは、普通のチョコレートよりも脂質が多いので注意しましょう。
リスク④ 血糖値が上がりやすい
チョコレートは砂糖などの糖分が含まれるため、血糖値を上げやすい食品です。血糖値が高めの人は特に、チョコレートの食べ過ぎに注意しましょう。なお、同じチョコレートでも高カカオチョコレートを選ぶと、普通のチョコレートよりも砂糖が少ないため血糖値の上昇が比較的穏やかになると考えれます。
鼻血が出る?
「チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出る」とも言われますが、医学的な根拠を探すのは少し難しいです。また、実際の報告もないようなので原因は究明できません。
チョコレートの原料であるカカオに豊富に含まれるポリフェノールには血行を良くする作用があるとされることから、そのようなイメージが形成されたとも考えられます[*2]。
チョコレートを食べて鼻血が出る場合、カカオポリフェノールの摂り過ぎ[*2]が関係するのかもしれませんが、脂質や糖質の摂り過ぎというリスクと併せて頭に置いておくといいでしょう。
チョコレートの適量の目安は?
チョコレートをつい食べ過ぎにないために1日の適量を知っておくとよいですね。その目安をお伝えします。
1日の目安|板チョコ2/3枚強
1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいか目安を示した「食事バランスガイド」では、菓子・嗜好食品は1日200kcalが目安とされます[*3]。板チョコ1枚(50g)で約280kcalなので[*4]、2/3枚強(約35g)が200kcalの目安になります。大まかに「板チョコ1枚食べたら多い」と覚えておくのもいいかもしれませんね。
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チョコレートは健康に良い?
食べ過ぎには注意したいチョコレートですが、健康効果についてはどうなのでしょうか?
血圧を下げる効果|カカオポリフェノール
近年、チョコレートやココアに含まれるカカオポリフェノールの健康効果が注目されていますが、その一つが血圧低下作用です。高カカオチョコレートやココアを摂取することで、特に高血圧の人で血圧の低下が期待できるとした研究などがあります[*5]。
もっとも、お伝えしたとおりチョコレートには脂質や砂糖を多く含まれるため食べ過ぎは禁物です。特に高血圧のために摂取したいという場合には、医師の指示のもと、食事全体のバランスを考えながら適量を摂取していきましょう。
精神安定の効果?
「チョコレートに精神安定の効果がある?」とされるゆえんは、チョコレートに含まれるトリプトファンという必須アミノ酸です[*4]。トリプトファンによってセロトニンという脳内の神経伝達物質がつくられますが、セロトニンには感情などをコントロールして精神を安定させる働きがあるためです[*6]。
しかし現実的には、ほかの食品の影響などもあるため、チョコレートでトリプトファンを摂取したから精神が安定するとは一概に言えません。ただしチョコレートには糖分が多く含まれるため、長時間の空腹状態で脳のエネルギーが不足し、イライラしやすくなっているようなときには、チョコレートが助けになるかもしれませんね。
貧血予防になる?
板チョコ1枚(50g)には1.2mgの鉄が含まれています[*4]。しかし、チョコレートに含まれている鉄は身体に吸収されにくい非ヘム鉄(※)なうえ、チョコレートに含まれるカフェインには鉄の吸収の阻害する作用があります。そのため、残念ながらチョコレートには貧血を予防する効果は低いといえます。
鉄はチョコレートで補おうとせず、肉や魚などから摂るのを基本に考えましょう。
(※)鉄は動物性食品に多い「ヘム鉄」と植物性食品に多い「非ヘム鉄」の2つに分けられる。鉄はどちらかというと吸収率の低いミネラルだが、ヘム鉄は非ヘム鉄と比べて吸収率が高い。
妊娠中・授乳中のチョコレートは?
妊娠中はお腹の赤ちゃんのためにもこの食品は食べてもよいか、食べ過ぎると何かしらの弊害がでるのではないかと心配になったりしますよね。
妊娠中・授乳中もチョコレートはOK
食べ過ぎに注意していれば、基本的にチョコレートを妊娠中に食べても問題はありません。妊娠中は特にバランスの良い食事を心がけたいものです。お伝えした1日の適量の中で、気分転換の1つとして楽しみましょう。
食べ過ぎのリスク① カフェイン
妊娠中に気を付けたい栄養成分にカフェインがあります。カフェインを大量に摂取すると赤ちゃんの発育が悪くなるなどの影響が考えられるため、摂り過ぎには注意が必要です。
普通のチョコレートのカフェイン量は100gあたりの25~35g程度[*1]なので、適量を食べる分には心配する必要はないでしょう。ただし、高カカオチョコレートの場合は100gあたりのカフェイン量が70~120g程度[*1]と多くなることに注意してください。
高カカオチョコレートを10個(1包装=5g)食べると、多い場合にはカフェインを60mg摂ることになり、これはコーヒー1杯(100ml)に含まれるカフェイン量に相当します[*7]。コーヒーを1日数杯飲み、さらに高カカオチョコレートを何個も食べてしまうと、カフェインの摂り過ぎになる恐れがあります。トータルでのカフェイン摂取量を意識し、高カカオチョコレートを食べる日はコーヒーを飲まない(あるいはノンカフェインコーヒーにする)などの工夫をしましょう。
食べ過ぎのリスク② ポリフェノール
妊娠後期はポリフェノールの過剰摂取も心配です。ルイボスティーやプルーンなどと一緒にチョコレートも食べてしまうと、ポリフェノールの過剰摂取になる恐れがあるので、注意できるといいですね。
まとめ
チョコレートにはカカオポリフェノールのほか、食物繊維やミネラルなどの栄養素も含まれるので、適量であれば身体にも良い効果が期待できます。しかし、チョコレートは脂質やカロリーが多い食べ物でもあります。嗜好品のチョコレートはバランスの整った食事の中の楽しみとして、適量の範囲で食べていきましょう。
(文:茅野 陽 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:高カカオをうたったチョコレート(結果報告)
[*2]日本チョコレート・ココア協会
[*3]農林水産省:食事バランスガイド
[*4]文部科学省: 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*5]Ried K, Sullivan TR, Fakler P, Frank OR, Stocks NP. Effect of cocoa on blood pressure. Cochrane Database Syst Rev.2017 Apr 25;4(4)
[*6]厚生労働省:e-ヘルスネット「セロトニン」
[*7]食品安全委員会:食品中のカフェイン
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます