蘇芳(すおう)とは?~日本の伝統色 Japanese Traditional Colors~
【蘇芳(すおう)】とは、黒味がかった赤色のことです。日本の伝統色である【蘇芳】にどのような由来があって、どのように愛されてきたのか、子どもにそのまま教えてあげられるよう、やさしい言葉で解説します。海外の方に英語で説明できるよう、英語での解説も紹介しています。
【蘇芳】とは?
蘇芳とは、黒味がかった赤色です。
色の名前 | 蘇 芳 |
読み方 | すおう suou |
英語 | Sappan wood |
WEBカラーコード | #9e3d3e |
CMYK | C=0/M=75/Y=50/K=45 |
RGB | R=158/G=61/B=62 |
【蘇芳】の意味と由来は?
蘇芳とは、染料となる植物の名前でインドやマレー半島を原産とするマメ科の植物です。日本に入ってきたのは8世紀以前と言われ、中国から伝わりました。この蘇芳の木の幹の芯にある色素に「媒染剤(ばいせんざい)」と呼ばれる繊維に色を付ける役割をする薬剤を混ぜますが、この媒染剤の種類によって、色味が変わるのが特徴です。明礬(みょうばん)を混ぜると【紅色(くれないいろ・べにいろ)】、灰汁(あく)を入れると【赤紫】、鉄を混ぜると【紫】に発色します。
平安時代などには、紫に次いで高貴な色とされていましたが、江戸時代になると簡単に手に入るようになり、紅花で染めた【紅色】や紫草で染めた【紫】の代用品となってしまいます。当時は、紅花や紫草で染めるのが「本物」とされていたため、蘇芳で染めたものは「似紅(にせべに)」や「似紫(にせむらさき)」と呼ばれていました。
【蘇芳】に合う色は?
蘇 芳 す お う |
紅梅色 こうばいいろ |
【蘇芳】は、着物の襲には欠かせない色味で、春夏秋冬を通して多くの襲に使われています。春の襲としてはほかに「表に白、裏に蘇芳」の「梅」、「表に蘇芳、裏に赤花」の「樺桜(かばざくら)」などがあります。「梅」は、濃い梅の色合いを、「樺桜」は山に咲く山桜の樹皮の色を現わしています。こうした組み合わせは現在のファッションなどの参考にもなりそうです。
A traditional Japanese color "蘇芳 suou" is...
A traditional Japanese color "蘇芳 Suho" is the name of a red color with a blackish tinge.
Suho is the name of the plant used as a dye, and is a type of legume native to India and the Malay Peninsula. It is said to have come to Japan before the 8th century and was introduced from China. The dye found in the core of the trunk of the Suho tree is mixed with a mordant, an agent that is responsible for adding color to the fibers, and the color varies depending on the type of mordant. The color changes depending on the type of mordant. When alum is mixed, the color becomes a color "紅 Kurenai", when lye is added, the color becomes a color "赤紫 Akamurasaki", and when iron is mixed, the color becomes a color "紫 Murasaki".
In the Heian period (794-1185), it was regarded as the second most noble color after purple, but in the Edo period (1603-1868), it became easily available and became a substitute for "紅 Kurenai" and "紫 Murasaki". At that time, dyeing with safflower or purple grass was considered "authentic", so those dyed with Suho were called counterfeit.
まとめ
【蘇芳】は古い時代からある色名で、とくに平安時代には高貴な色としてされてきました。しかし、簡単に入手できるようになると、今度は庶民や武士などに好まれる色となったようです。媒染剤によって色味の違う発色を得られるというのも、おしゃれな江戸っ子に人気が出た秘密だったのかもしれません。
(マイナビ子育て編集部)
・『色名がわかる辞典』(講談社)
・『366日 日本の美しい色』(三才ブックス)
・『くらしを彩る 日本の伝統色事典』(マイナビ)