鉛色(なまりいろ)とは?~日本の伝統色 Japanese Traditional Colors~
【鉛色(なまりいろ)】とは、青みがかった灰色のことです。日本の伝統色である【鉛色】にどのような由来があって、どのように愛されてきたのか、子どもにそのまま教えてあげられるよう、やさしい言葉で解説します。海外の方に英語で説明できるよう、英語での解説も紹介しています。
【鉛色】とは?
鉛色とは、鉛を思わせる少し青みがかった灰色です。
色の名前 | 鉛 色 |
読み方 | なまりいろ namari-iro |
英語 | lead color |
WEBカラーコード | #717b85 |
CMYK | C=20/M=5/Y=0/K=60 |
RGB | R=113/G=123/B=133 |
【鉛色】の意味と由来は?
【鉛色】は、金属の鉛を思わせる青みがかった灰色の色名です。色名として使われ始めたのは、明治以降の近代になってからですが、鉛を原料とした顔料は古くからあり、赤系のものを【鉛丹(えんたん)】、白系のものを【鉛白(えんはく)】と呼んで、絵具などに使用されていました。
鉛は、「あおがね」と呼ばれ、人類が手にした最初の金属のひとつです。また、加工がしやすく、耐蝕性(たいしょくせい)に優れた金属でもあります。戦国時代には、金や銀を精製する方法として「灰吹法(はいふきほう)」という製法が使われていました。これは、元となる金属をいったん、鉛に溶け込ませ、その中から金、銀を抽出(ちゅうしゅつ)するというものです。さらに、江戸時代には、銅から銀を分離させる精錬法(せいれんほう)が考えられ、このときにも鉛が使われました。
鉛は実際には、蒼白色(そうはくしょく)で、金属的な光沢もある明るい灰色をしていますが、色名としての【鉛色】は、もう少し落ち着いた色で、【銀色】や【錫色(すずいろ)】より暗い灰色になります。
【鉛色】に合う色は?
鉛 色 なまり いろ |
藤黄色 とうおういろ |
鉛 色 なまり いろ |
紫 紺 し こん |
【紫紺(しこん)】のような寒色と合わせると、クールな配色にはなるものの、やはり【紫紺】の強さを抑えて、落ち着いた配色になります。
A traditional Japanese color "鉛 namari" is...
A traditional Japanese color "鉛 Namari -means lead-" is a bluish gray color reminiscent of metallic lead. Although it was not used as a color name until the modern era after the Meiji period (1868-1912), pigments made from lead have existed since ancient times, with the reddish ones called "鉛丹 Entan" and the white ones "鉛白 Enhaku," which were used in paints and other materials.
Lead is called "aogane" and was one of the first metals that mankind acquired. And lead is a metal that is easy to work with and has excellent corrosion resistance. During the Warring States period (of Japanese history, approx. 1467-1568 CE), a process called "haifukihō" was used to refine gold and silver. In this method, the original metal was once dissolved in lead, from which gold and silver were extracted. In the Edo period (1603-1867), a refining method to separate silver from copper was also devised, and lead was used in this process as well.
The actual color of lead is a light gray with a metallic luster, but the color "鉛 Namari" is a darker gray than silver or tin, with a hint of rust.
まとめ
【鉛色】は、金属の鉛を思わせる青みのある灰色ですが、実際の金属の色よりは濃い色を指します。「鉛色の空」や「鉛色の海」など、重苦しいイメージをもつ色でもあります。実際の鉛を見ることがあったら、言葉にもつイメージと実際の鉛をぜひ比べてみてくださいね。
(マイナビ子育て編集部)
・『色名がわかる辞典』(講談社)
・『366日 日本の美しい色』(三才ブックス)
・『くらしを彩る 日本の伝統色事典』(マイナビ)