共働き夫婦の1日スケジュール 日本文芸社 前川さんの場合(前編)
共働き夫婦にとって仕事と家事・育児の両立は悩みの種。朝起きてから寝るまで分刻みのスケジュールで息つく暇もないのでは? そこで、夫婦の家事分担や子育ての工夫など、忙しい毎日を乗り切るコツを実践しているママに、お話を聞きました。
共働き夫婦の1日のタイムスケジュールとは?
家事・育児・仕事と、目まぐるしい日々を送る共働き夫婦。毎日繰り広げられる分刻みのスケジュールのなか、「こんなに忙しいのは自分たちだけ?」「みんなは毎日をどう乗り切っているの?」と疑問を持つママやパパに向けて、共働き夫婦の1日のタイムスケジュールを伺うこの企画。
第5回となる今回は、日本文芸社で編集者として働くママのタイムスケジュールを前編・後編にわたりインタビュー。前編では朝・昼のタイムスケジュールと、夫婦間の家事分担割合などについて伺いました。
取材にご協力いただいた方
日本文芸社 書籍編集部 前川綾子さん(35歳)
実用書や雑誌、コミックなどの出版・販売を行う日本文芸社にて、実用書の企画編集を担当。保育園に通う2歳と1歳の女の子のママ。旦那さんは同じ業界で会社員として勤務しており、夜は18時半から19時半頃の帰宅。旦那さんは長女、次女誕生後すぐにそれぞれ3カ月間の育休を取得。
朝のタイムスケジュール
朝起きたらすぐに1日の予定をチェック
──今日はよろしくお願いします。 朝は5時起きと、早いですね!
前川さん:仕事が始まる前に、スケジュールを確認しておきたくて。書籍編集の仕事は年に何冊か並行して進むので、常に予定をチェックしておかないと不安なんです。
子どもたちの分と仕事の分、それぞれのスケジュールをチェックする時間を朝に取るとうまくいきやすいと思っていて、なるべく朝に確認するようにしています。
──始業前にスケジュールをチェックする習慣はお子さんが生まれる前から?
前川さん:子どもが急に病気になったり保育園が休園になってしまったりと想定通りにいかないことが増え、子どもが生まれてからのほうがしっかりと確認するようになりました。仕事のスケジュールも今までよりも多くバッファをとっておいて、何かトラブルが起きてもスケジュールが遅れないように気をつけています。
朝は主にママが家事、パパが育児と分担
──朝のスケジュールを見ると主に前川さんが家事、旦那さんが育児と分担しているように見えますが、この分担は話し合って決めたんですか?
前川さん:特に話し合ったわけではなく、自然と今の分担になりました。
──保育園に通うお子さんが2人いると朝もバタバタしそうですが、2人目のお子さんが生まれてから生活スタイルで変えた点はありますか?
前川さん:特に生活スタイルは変えていませんが、私が次女を、夫が長女をメインで見るというふうになりつつあります。次女を産む前に上の子の赤ちゃん返りについて周りから聞いていたので、夫がなるべく長女のケアをするように。なので、たまに長女から「パパがいい」と泣かれるんです(苦笑)。
──ちょっと切ない……(苦笑)。朝食も作り置きを活用しているんですね!
前川さん:基本的には作り置きを温めて出すようにしています。でも、子どもたちにはできたてのものや新しいメニューも食べてほしいので、なるべくその都度作るように心掛けています。
勤務中のタイムスケジュール
定時で仕事が終わらない問題は「時間の見える化」で解決
──前川さんは在宅勤務がメインなんですね。在宅勤務だとオンオフの切り替えがしづらいのでは?
前川さん:会社から支給されているパソコンと携帯は、子どもを迎えに行く時間になったら両方とも電源を切るようにしています。
──たしかに、編集のお仕事だと途切れなく連絡がくると思うので強制的にシャットアウトしたほうがいいかもしれませんね。
前川さん:時短勤務をしているので、関係各所にはそのことをなるべく伝えるようにしています。翌日に携帯の電源を入れて着信履歴が溜まっていると、わかっていても少し焦ってしまいますが(笑)。
──仕事を定時内に終わらせるために工夫していることはありますか?
前川さん:実は、定時に仕事が終わらず、0歳児クラスで延長保育もできないので残業もできず、困った時期があったんです。そこで、スケジュールの組み方から見直そうとExcelで各タスクの見込み時間と実際にかかった時間を書き込んでいました。
──各タスクの作業時間を客観視できるようにしたんですね。
前川さん:実際に書き出してみると、自分が想定していたよりも作業時間がかかっていることが多いとわかって。「原稿依頼をもっと早い段階にしよう」と前倒しでスケジュールを組んだり、どうしても終わらせたい仕事があるときは夫にお迎えをお願いするようにしたら、いくらか気楽に仕事ができるようになりました。
「在宅勤務は暇なわけじゃない」。働き方が違っても家事負担はフェアに
──在宅勤務時のランチはどうしていますか?
前川さん:週末の作り置きを食べることが多いです。夫も週に1~2回在宅勤務をしているので、夫がいるときはUber Eatsで食べたいものを頼んで、2人でゆっくりと外食気分でランチを楽しんでいます。
──平日のランチタイムが夫婦でゆっくりと過ごせる時間なんですね。ほかに、お昼休憩にしていることは?
前川さん:時間が取れるときはお米を研いだり洗濯物を干したりと、朝できなかった分の家事をすることもあります。
──片方が完全に在宅勤務だと、在宅勤務をしているほうに家事の負担が偏るケースもあると思っていて……実際、我が家がそうだったんですが(苦笑)。
前川さん:うちはどちらかに偏ることは今のところないでしょうか。在宅勤務だから暇というわけではないですし、むしろ電話やオンライン会議など出社時以上に忙しくなることも多いので……。「在宅勤務でも、お風呂を洗う時間すらないんだよ」という認識は夫婦で共有できています。
──認識の共有、大事ですね! 前川さんは児童書などの編集も担当しているそうですが、お子さんが生まれてから仕事にも変化はありましたか? ママならではの視点とか。
前川さん:自分の手がけた本が「1000円、2000円払って買ってもらえるだけの価値のあるものになっているか」を考えるようになりました。成長・発達段階で子どもに必要な本はどんどん変わっていくので。
子どもが本を手に取ったとき「買っていいよ」と言えるものになっているか、自分の子どもが大きくなったときに子どもが読みたいと思える内容になっているかを、今まで以上に頭に置いて本をつくっています。
まとめ
幼いお子さん2人を育てながら、一方に負担が偏らないよう夫婦で協力して仕事と家事育児を両立している前川さん。思い通りに仕事が進まないときは一度立ち止まって今までのやり方を見直してみたりと、冷静に、客観的に物事に取り組む姿勢が印象的でした。しかし、今のスタイルに至るまでの道のりは決して楽ではなかったようで……?
後編では、前川さんの夜のスケジュールをお伺いします。お楽しみに!
(写真提供:前川綾子さん、取材・文:赤木 瞳、イラスト:まちこ @achiachiachico)