共働き夫婦の1日スケジュール パルシステム 吉田恵さんの場合(前編)
共働き夫婦にとって仕事と家事・育児の両立は悩みの種。朝起きてから寝るまで分刻みのスケジュールで息つく暇もないのでは? そこで、夫婦の家事分担や子育ての工夫など、忙しい毎日を乗り切るコツを実践しているママに、お話を聞きました。
共働き夫婦は、平日のスケジュールをどう乗り切っている?
子どもを育てながら共働きをしている夫婦にとって、朝起きてから夜寝るまで、毎日が分刻みのスケジュールという人も多いでしょう。「ほかの夫婦は、忙しい毎日をどう過ごしているの?」「パパとママの役割分担が知りたい」という疑問にお応えすべく、いろいろなお仕事で活躍するママたちにインタビュー。パパとママの一日のタイムスケジュールについて、伺ってみました。
前編では、朝と勤務中のタイムスケジュールをご紹介します。
取材にご協力いただいた方
パルシステム生活協同組合連合会 商品開発本部 産直部 産直開発課 吉田恵さん(32歳)
食材などの宅配サービスを展開している生協の宅配、パルシステム。このパルシステムに勤める吉田さんは、保育園に通う6歳と3歳になる男の子2人のママ。旦那さんはコンサル業の企画という忙しい職業柄、帰宅は夜遅い。
仕事では、お肉などの畜産商品を担当し、新商品の開発やカタログのチェック・校正業務などを行う。また、小さい子どもを持つママ向け商品の企画・開発や、親子向け情報チラシ『わたしの親子くらし』の制作も手がける。
朝のタイムスケジュール
睡眠時間を確保するために、固定概念を捨てた
吉田さん:今は毎朝6時50分に起きていますが、以前は6時前には起きて洗濯機を回して干して、食器を洗って……と、朝からフル稼働していたんです。夫は夜遅くまで仕事なので、平日の家事・育児はほとんどひとりでこなしている状態でした。
でも、長男が1歳半で復職した際に、仕事と家事、育児でパンクしてしまったんです。家事の負担について夫とたびたび話し合いを重ねました。エクセルに家事を全部書き出して、「私は毎日こんなに家事をやっているんだ!」と主張したこともあります(笑)。
吉田さん:夫と何度も話し合いをするなかで、「家事は夫婦2人だけで解決しようと思わなくていいんじゃないか」と言われたんです。「洗濯物は毎日外に干さなくていい」「食器洗いも毎日手洗いしなくてもいい」と考えて、大変なことは家電に任せればいいという結論に至りました。
それで、下の子が生まれるときに引っ越しをしたタイミングで、新たに家電を買い替えたんです。乾燥機付きの洗濯機や食洗器のおかげで、朝にしていた家事が減って、以前より朝にゆとりが生まれましたね。
それから、夫のワイシャツは“アイロンがけ”をやめました。形状記憶タイプのシャツにしてもらい、どうしてもシワが気になるものは自分でクリーニングに出してもらっています。それから、私たち夫婦も子どもたちも、アイロンが必要なハンカチをやめ、ハンドタオルに切り替えました。
――なるほど。時短家電を取り入れたり、手間のかかる家事を省いたりすることで、睡眠時間が確保できるようになったんですね。毎日のことだから、それはかなり大きな変化ですね。
朝食作りは、「何も考えなくてもできる仕組み」を作る
吉田さん:はい。子どもたちが起きる前、朝食の準備をさっと済ませてから私ひとりの朝食タイムです。大好きなパンを食べるのですが、これが毎朝のちょっとした楽しみで。忙しい毎日のなかで、ひとりの時間をちょっとでも作れると気持ちの切り替えになりますね。
――誰にも邪魔されずにご飯が食べられるって、ママにとっては貴重な時間ですよね。その後、お子さんたちの食事を準備されるわけですが、吉田さんが実践している「食事作りが楽になるコツ」なんて、あったりします?
吉田さん:忙しい朝は、やるべきことを完全ルーティン化しています。朝食の準備なら、火を使わないものを“並べるだけ”と決めてしまう。パンにハムをのせるだけ、野菜ならミニトマト、ゆでてストックしてあるブロッコリーとか。デザートには、ゼリーやバナナなど手間がかからないものを出しています。品数は多くても並べるだけ。眠くてぼーっとしている朝は特に、考えなくても体が動くように行動をパターン化するとラクですよ。
そうして子どもたちが朝ご飯を食べている間に身支度を済ませ、夕飯用に冷凍していたおかずを冷蔵庫に移しておき、お米を炊飯器にセットしておきます。こうした朝のちょっとしたことが、帰宅後の家事の時短につながっている気がします。
保育園の連絡帳ひとつで、パパの育児参加意識が変わる
吉田さん:我が家は、私のほうが早く出勤するので、保育園の送迎を夫に担当してもらっています。夫は私よりも字がキレイなので(笑)、保育園の連絡帳も夫に書いてもらっているんですよ。
「連絡帳の担当はパパ」とほかのママに話すと驚かれるんですが、ほかのママにも、ぜひパパに記入してもらうことをおすすめしたいです。
──それはどうして?
吉田さん:夕飯や朝食に食べたもの、最近気に入っている歌や遊び、体調のことなど、夫は連絡帳に書くことで、子どもたちの成長や変化を以前よりしっかり見てくれるようになった気がするんです。
──なるほど! 料理や掃除と違って、書くこと自体は難しいことではないし、パパにとっても取り組みやすい作業ですよね。もし、マイナビ子育てを見ている方のなかに、「夫の育児参加への意識が低い」と悩んでいる方がいらっしゃれば、試してみる価値はあるかもしれませんね。
勤務中のタイムスケジュール
家庭での悩みが、仕事のヒントになる
吉田さん:お昼ご飯をしっかり食べすぎると午後眠くなってしまうので、お昼は野菜ジュースやおやつをデスクでつまむ程度のことが多いですね。社内のテストキッチンでお肉の新商品を試食したり、同じ部署で扱っている野菜、果物、お米を試食したりすることもあるので、お昼は軽めにしておくのがちょうどいいんですよ。
――うらやましい設備! それなら、午後からの仕事も集中力が途切れることなく取り組めそうですね。そういった体調管理も大切ですが、精神的な面ではいかがですか? 家事や育児のストレスが仕事に影響することとか……。
吉田さん:私の場合、復職したてのころは仕事もプライべートもどちらもうまくいかなかった時期がありましたが、先ほどお話したようにプライべートで徐々にいろんな家事を手放していった結果、バランスが取れるようになりました。そのおかげか、普段、家事や育児で感じるストレスや悩みは、企画のヒントにもなることに気づき、前向きにとらえられるようになったんです。
──吉田さんは、小さいお子さんがいるご家庭向けの商品を開発したり、カタログ制作を担当されているんですよね。
吉田さん:はい。たとえば、新商品の味付けお肉があるとしたら、「子どもがいる人にはちょっと辛すぎるから、辛味を抑えてほしい」とか、ママ目線を大切にした意見をするようにしています。
それから、小さい子どもを持つママ向け商品の企画は、部署を横断して職員が集まり商品の提案をしていますが、実際にママの気持ちに寄り添った提案がきるのが強み。家事や育児の合間に、ほっと癒しになるような商品を目指してチームで企画した『リラックスハンドクリーム』は、ハンドクリーム部門で過去最高の売り上げを記録しました。
そのほかにも、小学生親子向けに約6万人、未就学児親子向けに約10万人に配布している、『わたしの親子くらし』という月1の情報チラシの企画にも、自分自身の体験を活かして企画を考えています。
吉田さん:忙しいときは20時ころまで仕事という日もあるため、あらかじめ夫と相談してお迎えをお願いしています。コロナ禍で夫の在宅勤務が増えたので、子どもたちのお迎えを担当してもらうことも増えました。
定時は16時45分なのですが、「今日は定時で帰る日」というゴールを決めて、週に1、2回は定時退勤できるように調整しています。定時に上がると保育園のお迎えまでに10分間、コンビニに寄っておいしいコーヒーを飲むひとりの時間……それを楽しみにがんばっています(笑)。
まとめ
吉田さんは、朝の家事は考えずにルーティン化、アイロンはしないと決めるなど、やらなくていい家事は手放していくことで忙しい朝を乗り切っています。ゆっくりと言葉を選びながら話す穏やかな印象の吉田さんですが、2人の男の子の子育てと仕事を抱えて悩み、何度も壁にぶつかってきました。
復職直後は、仕事と家事・子育ての両立のバランスが取れずに「自分ばかり大変」と夫を責めたこともあったそうですが、夫としっかり向き合って話し合いを重ね、今のペースができあがったと言います。忙しいスケジュールのなか、ひとりの時間を捻出して息抜きしたあとには、さらに忙しい夜の家事・育児が待っています。
――後編では、吉田さんの夜のスケジュールをお伺いします。お楽しみに!