共働き夫婦の1日スケジュール 日本文芸社 前川さんの場合(後編)
共働き夫婦にとって仕事と家事・育児の両立は悩みの種。朝起きてから寝るまで分刻みのスケジュールで息つく暇もないのでは? そこで、夫婦の家事分担や子育ての工夫など、忙しい毎日を乗り切るコツを実践しているママに、お話を聞きました。
共働き夫婦の1日のタイムスケジュールとは?
共働き夫婦のリアルな1日のスケジュールを伺い、仕事・家事・育児に邁進するパパママのヒントを得るためのこの企画。第5回となる今回は、日本文芸社で編集者として働く前川綾子さんにインタビュー。前編では、朝と勤務中のタイムスケジュールをご紹介しました。
後編では、帰宅後から就寝までのタイムスケジュールや、前川さんが夫婦で大切にしていることなどについて伺いました。
取材にご協力いただいた方
日本文芸社 書籍編集部 前川綾子さん(35歳)
実用書や雑誌、コミックなどの出版・販売を行う日本文芸社にて、実用書の企画編集を担当。保育園に通う2歳と1歳の女の子のママ。旦那さんは同じ業界で会社員として勤務しており、夜は18時半から19時半頃の帰宅。旦那さんは長女、次女誕生後すぐにそれぞれ3カ月間の育休を取得。
夜のタイムスケジュール
ママはキッチン担当、パパはフロア担当
──夜もやることが盛りだくさんですが……旦那さんは18時台に帰ってくるんですね。2人なら夜の家事育児も乗り切れそうです!
前川さん:夫は遅くても19時半までには帰宅します。家でもできる仕事なので、夜遅くなるよりは夕方に一度帰ってきて子どもを寝かしつけた後に仕事をするスタイルですね。
──朝・昼・晩と作り置きをフルに活用していますが、作り置きは主に週末に?
前川さん:そうですね、週末に3時間くらいかけて作っています。私がキッチン担当で夫がフロア担当という感じです(笑)。
私がキッチンにいるあいだは、夫が子どもたちと遊ぶルールになっています。キッチンに立っているときは一人でぼーっとできる時間。料理をしながら、音楽を聴いたりYouTubeを見たりと楽しんでいます。
──週末の作り置きタイムが貴重な息抜きになっているんですね。作り置きのメニューはどうやって決めていますか?
前川さん:扶桑社から出ている、小田真規子さんの『朝つめるだけ弁当』というレシピ本のメニューをかれこれ5~6年くらい作っています。ずっと同じメニューを作っていると調味料の種類や分量も覚えるので、パッと作れるようになりました。
──作り置きのメニューを固定することで時短になっているんですね。私はいつも「夕飯どうしよう」と悩むので、参考になります……!
前川さん:食べたいものがあるときはいいんですが、そうじゃないときに「今日は何食べる?」と夫婦で言い合うのってイライラのもとだと思っていて。そうしたイライラは作り置きのおかげでなくなりました。たまにいつもとは違うメニューが食べたかったり、作り置きを切らしてしまったりしたときは、常備している冷凍のミールキットを使っています。
寝かしつけタイムは家族4人で一緒に
──スケジュールを見ると、寝かしつけがどちらも入っていますね。これは日によって寝かしつけ担当をわけているんしょうか?
前川さん:寝かしつけは夫婦2人で一緒にするようにしています。寝かしつけ中に大人が起きていると子どもが起きたがってしまうので(苦笑)。「はい消灯」って感じで一度部屋の電気を消して、4人で布団に入ります。
──平日に家族全員で過ごせる時間をとっているんですね! 寝かしつけタイムはどんなふうに過ごしていますか?
前川さん:長女はおしゃべりしたい時期なので、本当にあったのか創作なのかわからないような話を聞いたり、保育園で借りてきた本をみんなで読んだり。私も夫も本に関わる仕事をしているので、子どもたちには本を好きになってもらいたくて頑張って読み聞かせをしています。でも、今のところ子どもたちは全然聞いていないですね(笑)。
産後の体調悪化で一家のピンチ、夫は3カ月の育休取得
──毎日の仕事や家事育児を回すにあたって、どんな便利アイテムやサービスを使っていますか?
前川さん:食洗機やロボット掃除機、食品はネットスーパーで週末にまとめ買い、夫のシャツはノンアイロンシャツに統一して、家事を時短できるようにしています。仕事が在宅勤務になってからは、スキャンアプリで書類をデータ化してiPadとApple Pencilを使って原稿チェックをできるようにしました。
スケジュールはGoogleカレンダーで仕事の予定も含めて夫と共有。Google Keepのアプリで仕事とプライベートそれぞれのToDoリストを作り、音声入力で追加しています。
──す、すごい……! 便利アイテムを惜しまず使いこなしていますね! こうしたアイテムを取り入れようと思ったきっかけは?
前川さん:もともと、夫はガジェット好き、私は効率化するのが好きなんです(笑)。本格的にこうしたアイテムを使うようになったのは、いっぱいいっぱいだった時期を経験してからですね。「便利アイテムやガジェットを取り入れないと、子育てをしながら仕事なんてできないぞ……」と。
──具体的に、どんな状況だったんでしょう?
前川さん:長女を出産後に体調が悪くなってしまったんです。妊娠中はつわりもなく元気だったので、同じような感じでいけるかなと思っていたのですが……。今思えば一家のピンチでしたね。
──そのピンチをどうやって切り抜けましたか?
前川さん:夫が、産後すぐに育休を3カ月取ってくれました。家事は夫がやってくれて、私は授乳以外は夫に任せている状況でしたね。
──大変な時期にそばにいてくれるのは心強い……! 旦那さんの3カ月の育休取得は、前々からご夫婦で決めていたのでしょうか?
前川さん:まさか3カ月も取るとは思わなかったので、私もびっくりして(笑)。そんなに長期間取って仕事は大丈夫なのか心配でした。でも「家が大変なときなんだから、大丈夫だよ」とスパッと育休を取ってくれたのはありがたかったです。
同業の知人男性も半年の育休取得経験者だったり、夫も仕事の関係で助産師さんから産後ケアの重要性を聞いていたりしたので、私がお願いしなくても自発的に取得してくれました。
共有するからわかりあえる、思いやれる
──お話を伺っていて、前川さんご夫婦はお互いに助け合える素敵な関係だなと感じました。よきパートナーでいるために意識していることなどはありますか?
前川さん:普段から、LINEや対面でコミュニケーションを取るようにしています。たとえば、夫が保育園に子どもたちを送った後に「今日は好きな先生が出迎えてくれたから喜んで登園したよ」と子どもの様子をLINEしてくれたり。そうしたLINEがくると自然と「ありがとう」と伝えられていいんです。2人とも在宅勤務のときは、夫婦で保育園にお迎えに行くこともあります。
──パパママが揃ってお迎えに来てくれるとお子さんたちもきっと嬉しいですね!
前川さん:通っている保育園ではパパとママが一緒にお迎えにくる家庭も多くて、それを見て「いいな」と思って私たちも取り入れました。保育園に向かう時間は夫婦の散歩タイムかつコミュニケーションタイムにもなっています。
──ご夫婦とも仕事柄、とても忙しい時期があると思いますが、そのときはどんなふうに家事育児を分担していますか?
前川さん:普段からGoogleカレンダーなどで仕事の予定を共有してお互いに把握するようにしています。いつ誰と打ち合わせをしているかとか、そのレベルまで。
──「今日は帰り遅いの?」なんて連絡しなくても、カレンダーを見れば一目瞭然なんですね!
前川さん:夫も同じ業界だから状況を把握しやすいというのもあるんですが、カレンダーを見れば「この予定はたしかに切羽詰まってるよね」とわかっちゃうんです。だから今日は私が多めに家事をやろうかな、と自然に助け合えています。
相手の状況がわかれば不満を持つことも減りますし、協力できる関係になれると思っています。
──お子さんの様子からお互いの仕事の予定、感謝の気持ちまで共有することで、わかりあえる、思いやれる関係をつくっているんですね。前川さん、素敵なお話をありがとうございました!
まとめ
今まで旦那さんと衝突らしい衝突をしたことがないという前川さん。夫婦で家事育児をするなかで相手に不満を覚える大きな原因のひとつは「相手の状況をまだ十分に理解できていない」ことにあるんだなと、今回のお話を聞いていて感じました。
毎日多忙な共働き夫婦にとって、お互いのスケジュールをその都度LINEや口頭で共有するのは大変。前川さんのように便利なサービスやアイテムを上手に使って共有・連携できれば、今まで感じていたイライラもなくなるかもしれません。
(写真提供:前川綾子さん、取材・文:赤木 瞳、イラスト:まちこ @achiachiachico)