ワンオペ育児がつらい……でも「いつかいい思い出になる」と頑張るべき?『ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』#6
3歳児神話や母性愛神話のような古い価値観に基づく情報ではなく、最新の科学的知見に基づいた育児情報を知りたい人へ。漫画コウノドリの取材協力医師であり、Twitterで最新の医療情報を発信する「ふらいと先生」こと今西洋介先生の書籍『ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)の試し読み連載をお届けします。
ワンオペ育児はつらいけどいつかいい思い出になる?
いいえ
夫婦ふたりでもたいへんな育児を、ひとりで担うのは人類史上初の異常事態!
現在のワンオペ育児は、あまりに過酷です。専業主婦が多かった時代も、夫は仕事で、妻はひとりで家事育児という役割分担が主流でした。しかし、子どもの面倒を見合うセーフティネットが地域社会にありました。現在は身近に助け合える人がおらず、母親が孤軍奮闘するという、異常事態になっています。
24時間気の抜けない0歳児育児は、大人ふたりがかりで臨んでもたいへんなものです。最近になって男性が育休を取得して夫婦いっしょに子育てをする家庭も増え、0歳児育児のたいへんさが可視化されています。育休を取得した男性に、自分自身にポジティブな変化はあったかを聞いた調査では、「パートナーの負担を理解できるようになった」と答えた人がもっとも多かったそうです。*1 育児の現場にいなければ、そのしんどさはわからないものだと思います。
母親によるワンオペ育児の解消には、男性が育児を”お手伝い”ではなく当事者意識をもって参加することが求められます。これは男性個人の問題だけでなく、長時間労働や育休のとりにくさといった社会的要因によるところが大きく、国単位で根本から解消していく必要があります。
夫が育休をとることで妻の負担が増えるのでは意味がないので、効率よく家事育児を分担できるよう話し合うことも大事です。何にせよ、夫婦協力して育て、苦労も喜びも分かち合ったほうが、ワンオペよりいい思い出になることは間違いありません。
(答えた人 前田 晃平 認定NPO法人フローレンス)
https://www.sekisuihouse.co.jp/ikukyu/library/pdf/dansei-ikukyu-hakusyo-2021.pdf
(今西洋介・監修『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)
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書籍『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』について
ネットの掲示板やSNSで見かけたあの育児情報。
ママ&パパの親や近所の方など上の世代からの育児アドバイス。
育児界隈にはいつだって、「これってほんと?」と思うような情報があふれています。
その情報は正しいのか、いったい何が本当なのか……。
根拠のない育児情報にふりまわされて悩むのはもう終わりにしましょう!
Twitterフォロワー10万人強、正確な医療知識の発信に奮闘する”ふらいと先生”こと今西洋介先生待望の書籍が登場しました。
本書は、巷で言われる育児のうわさ・神話・迷信に対して、今西洋介先生をはじめとした医療、教育、社会福祉等の専門家たちが、最新の知見に基づいて科学的に答えていく本です。
・赤ちゃんは親を選んで生まれてくる
・産めば自動的に母性が湧き上がる
・帝王切開で生まれた子は体が弱い
・お父さんの出番は3歳から
・離乳食は手づくりがいちばん …
思えば、多くのうわさ・神話・迷信は、お母さんだけに育児の負担や責任を押しつけるもの。
本書の心強いのは、そのひとつひとつを「これってほんと?」と問い直し、専門家が「はい」「いいえ」と明朗回答、その理由もくわしく説明してくれることです。
苦しむお母さんを救いたい、と社会への問題提起を続ける今西洋介先生の思いが伝わります。
最新の科学的知見に基づいて育児をしたいママ&パパはもちろん、育児情報をアップデートしたい祖父母など、赤ちゃんや子どもに関わるすべての人におすすめの1冊です。
今西洋介先生(ふらいと先生)のプロフィール
新生児科医・小児科医、小児医療ジャーナリスト、一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。漫画・ドラマ『コウノドリ』の取材協力医師。作中の今橋先生のモデルでもある。NICUで新生児医療を行う傍ら、ヘルスプロモーションの会社を起業し、公衆衛生学の社会人大学院生として母親に関する疫学研究を行う。SNSを駆使し、小児医療・福祉に関する課題を社会課題として社会に提起。一般の方にわかりやすく解説し、小児医療と社会をつなげるミドルマンを目指す。3姉妹の父親。趣味はNBA観戦。
Twitter:@doctor_nw