共働き夫婦の1日のスケジュール LIXIL益田さんの場合(後編)
共働き夫婦にとって仕事と家事・育児の両立は悩みの種。朝起きてから寝るまで分刻みのスケジュールで息つく暇もないのでは? そこで、夫婦の家事分担や子育ての工夫など、忙しい毎日を乗り切るコツを実践しているママに、お話を聞きました。
共働き夫婦の1日スケジュールとは?
家事・育児・仕事と、目まぐるしい日々を送る共働き夫婦。毎日繰り広げられる分刻みのスケジュールのなか、「こんなに忙しいのは自分たちだけ?」「みんなは毎日をどう乗り切っているの?」と疑問を持つママやパパに向けて、共働き夫婦の1日のタイムスケジュールをうかがうこの企画。
第11回となる今回は、LIXILで営業職のチームリーダーを務めるママのタイムスケジュールと、育休から復帰したときのお話を前編・後編にわたりインタビュー。後編では産後4ヶ月で職場復帰を決めた理由や、家庭と仕事の両立の様子をうかがいました。
取材にご協力いただいた方
LIXIL WTJ営業本部 特需営業統括部 特需リフォーム開発G 東日本チーム 益田真名美さん(38歳)
水回り設備・製品のハウスメーカーリフォームの本部営業を担当。オリジナル商品の設定やカタログ作成、全国キャンペーン企画など、多岐に渡って提案を行う。
プライベートでは10ヶ月の女の子のママ。出産後、4ヶ月で職場復帰。リモート勤務をメインにフルタイムで働き、産前から現在まで、東日本チームの営業チームリーダーを務めている。旦那さんはプリンター関連企業の会社員で、平日は19時半頃の帰宅。
産後4ヶ月での職場復帰は、夫のほうが前向きだった
――早期復職することは出産前から決めていたのでしょうか?
益田さん 営業という仕事がもともと好きなので。早く復帰したいことは、もちろん会社にも早めに伝えていました。それから、会社に、極力キャリアを止めずにモチベーション高く働くことを目的とした「早期復職サポート金」という制度があったことも、早く復職した理由の一つです。
――早期復職することを相談したとき、旦那さんの反応はいかがでしたか?
益田さん 私がつらくないならぜひ復帰してほしいという感じでした。むしろ夫のほうが前向きでしたね(笑)。子どもが小さいうちに復帰すると子どもがかわいそうなんて声も聞くので心配していましたが、夫が前向きに考えてくれたのはよかったと思います。
――産後4ヶ月で職場復帰するにあたり、大変だったことは?
益田さん 仕事は長く続けているので、すでにわかっていることがほとんど。でも、そこに初めての出産・育児が加わって「仕事と育児の両立って、どうなってしまうのかな。うまくできるのかな」という不安がありました。初めはうまく気持ちを切り替えられなかったり、子どもをあやしながら仕事をすると、どちらにも身が入らなくなってしまうところがあったりして、大変でしたね。
――生後4ヶ月で娘さんを保育園に預けることに不安はありましたか?
益田さん ありました。でも、私は早期復職して、結果的にはよかったことしかなかったなと思っているんです。子どもが小さいうちに復職すると、よく「大変でしょう」と言われますが、私の場合は、早期復職は思っていた以上にメリットが多くて。
0歳で入園したら、娘の社交性がぐんぐんアップ
――想像以上のメリットがあったんですね! たとえば?
益田さん 生後4ヶ月だとまだそんなに動き回らないので、自分が復職するのも、保育園に子どもを預けるのも、そんなに大変ではありませんでした。むしろ、活発に動くようになってきた今のほうが大変かも!(笑)
あと、入園当初は娘が保育園で一番小さかったので、先生から特に気にかけてもらえたような気がします。年上の1歳クラスや2歳クラスの子たちも、とてもかわいがってくれました。
――小さいうちから年上の子たちとたくさん関われるのはいいですね!
益田さん もし保育園に行っていなかったら、娘は1日の大半を親と1対1で過ごすことになって、生活圏のほとんどが家族だけという、とても狭い世界に限られてしまっていたかもしれません。
生後10ヶ月の現在は、とても社交的な性格に育っているように見えます。年上の子とも積極的に関わって過ごせているぶん、成長も早いように感じますね。
――社交性を身につけられるのは、なおさらいいですね。
益田さん 私自身も、ずっと子どもと一緒に家にいるのは、あまり性に合っていなくて。やっぱり、営業が好きだから、仕事をすることが気分転換になるんです。仕事ができるから、子どもにやさしく、毎日楽しい気持ちで接することができるし、保育園から娘が帰ってきたときには思いっきり甘えてほしいなと思っています。
だから、娘と日中の数時間離れることで、お互いにちょうどいい距離感を保てているなと感じますね。さらに、子どもも社交的になって、小さいうちから保育園に育児の相談もできる。私にとってはいいことずくめでした。
生後2ヶ月半から始めたネントレで夜泣きもなし!
――娘さんは10ヶ月ということで、夜泣きも大変そうです。寝不足になったりしませんか?
益田さん 生後2ヶ月くらいまでは、なかなか寝てくれないこともありましたが、ネントレを始めた2ヶ月半ごろからパッタリ夜泣きがなくなりました。それ以来、物音を立てても滅多に起きません。朝までぐっすりです。
――じゃあ、職場復帰したときも夜泣きはなかったんですね!
益田さん 「夜泣きで全然寝られなくて、翌日がつらい……」ということは、ほとんどなかったです。むしろ、娘の寝かしつけと一緒に大人も寝られるので、夫婦二人暮らしだったときよりも就寝時間が早まって、健康的になった気がします(笑)。
育児中の同僚も自分の家庭も含めて1つのチーム
――現在もリーダーを務めているということで、産前産後の職場の協力体制はどのように築いたのでしょう?
益田さん 「上司と部下」というよりは、家庭も含めてチームという感覚がありますね。部署では、普段から和気あいあいとすごせていると思います。だから、私が周りに理解を得られるように特別何かを頑張ったというわけではなくて。ワーママ、ワーパパたちが集まっている環境なので、仕事のことだけでなく、育児のことも相談したり、話し合ったりできていますね。
――同僚とは仕事のことだけじゃなく、育児のことも相談するんですね!
益田さん 大学生の男の子が二人いる上司がいて、私たちが子育てのことで悩んでいると「そういうことも、そのうちなくなるから大丈夫だよ」とアドバイスしてくれて、安心することも。育児のベテランですね。
部下にもパパがいるので、普段から気軽に子どものことや育児のことなどを話しています。「子どもって、よく熱を出しますよね」とか「今、手足口病が流行っているから気をつけたほうがいいですよ!」とか。
性別を問わず、子育て中の方が多いので、周りも自然と子育てに対する理解が深まっているのだと思います。
――産前産後でお客様への営業や提案の仕方に変化はありましたか?
益田さん 私は普段の商談では、主に水回りのリフォーム製品を取り扱っています。例えば、洗面化粧台を検討していて、今後お子さまを考えていらっしゃる方になら「これは、新生児の沐浴のときにちょうどいい大きさです。腰が痛くならない高さで、とても洗いやすいですよ!」など、より具体的な提案ができるようになりました!
60〜70代のユーザーが多いので「孫が帰ってきたくなる家」というテーマで、新しくリフォームの提案をしたことも。以前にも増して「お客様の暮らし」を具体的にイメージして、より深く提案できるようになったと思います。
まとめ
産後も役職につき、フルタイムで働いている益田さん。当初、生後4ヶ月で娘さんを保育園に預けることに、不安を抱えていたといいます。しかし、早期復職の結果、早くから保育園に通うことが、娘さんや益田さんには合っていたということが、とてもよく伝わってきました。
何より、益田さんがはっきりと「この仕事が好きだから」と何度も答えてくれたところに、とても勇気をもらいました!
働き方や、家庭・職場のサポート体制は、もちろん千差万別。働くママ、パパがより自分らしい働き方の選択をするための、参考のひとつにしてもらえたら嬉しいです!
(取材・文:宮本貴世、 撮影:佐藤登志雄/マイナビ子育て編集部)