【子供の教育資金】学資保険とNISAのどちらが良いの?
教育資金を貯めるにあたって、どのような方法で貯めるとより効率がいいのかみなさん気になるところではないでしょうか。今回のコラムでは教育資金を貯める方法として、王道ともいえる「学資保険」と最近注目を浴びている「NISA」を比較してみたいと思います。
学資保険とは?
多くのご家庭で、将来の教育資金を貯める目的で加入されている学資保険。預貯金と異なり保障がついているため、生命保険商品として販売されています。学資保険の保障は、万が一契約者である親が亡くなった場合、以後の保険料の支払いは免除となりますが予定していた満期保険金は全額受け取れるというものです。親に何かあった場合でも、何もなくても、子供の教育資金を備えられるというのが学資保険の最大の特徴です。
返戻率に注目
さて、ひとことで学資保険と言っても満期になると保険金がおりるものや、途中でお祝金が何度ももらえるもの、医療保障までカバーしているものなどさまざまな種類があります。教育資金を貯める目的で学資保険を活用する場合は、払い込んだ保険料に対して満期保険金がいくら戻ってくるのかに注目する必要があります。これを返戻率といい、返戻率が100%を超えていれば払い込んだ保険料よりも満期保険金の方がたくさんもらえるということになります。
払込方法と払込期間がポイント
返戻率が100%を超えるようにするには、払込方法と払込期間がポイントです。
まず払込方法について、一般的に月払いが主流となっていますが学資保険の場合は年払いなどまとめて保険料を払うのがおすすめです。保険会社は預かった保険料を運用に回しますが、まとめて払うとその分運用に回しやすくなるため保険料が割安に設定されているのです。
払込期間も10年、15年、18年、22年など選択ができますが、短期間で払い込んだ方が返戻率は高くなります。どのような払込方法と払込期間が選べるのかは保険会社ごとに異なるため、個別に問い合わせをしてみましょう。
学資保険の注意点
学資保険は、基本的に加入条件として子供の年齢に制限があります。妊娠中から加入できる商品もあるため、早めに比較検討して準備しておくことをおすすめします。
また中途解約の場合は元本割れしてしまう商品がほとんどです。加入の際には教育資金以外のライフイベントも考慮に入れ、無理なく継続できる額を考えましょう。
NISAとは?
将来の教育資金を考えた時に、最近注目を浴びているNISAを検討される方も多いのではないでしょうか。通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり税金がかからなくなる制度です。一般NISA、ジュニアNISA、2018年1月からスタートしたつみたてNISAの3種類があります。
ジュニアNISA
教育資金の準備ということで、まずはジュニアNISAについてみていきましょう。ジュニアNISAは日本に住む0歳から19歳までの未成年者が契約者となり、将来の進学や就職のために必要な資金を長い目で形成することを目的としています。払い出し制限があり、18歳になるまで原則払い出しはできません。そのため長期的な資産形成を促す狙いがあります。契約者は子供になりますが、実際に運用・管理するのは親になります。子供が小さいうちからジュニアNISAを活用して投資教育をすることもできるでしょう。非課税投資枠は年間80万円、非課税期間は5年間となりますので最大合計400万円と、運用益が非課税で保有できることになります。これだけのまとまった資金があれば子供の将来にいろいろな選択肢を与えることができますね。
ジュニアNISAの注意点
あくまでも投資なので、運用成績によって資金が大きく増えることもあれば、元本割れしてしまうこともあります。正しい投資知識を身につけ、余裕資金で行うことをおすすめします。
●金融庁ホームページ「NISA特別ウェブサイト NISAとは?」
http://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
学資保険とNISAの比較
学資保険とジュニアNISAでは、どちらが教育資金を貯めるのに向いているのでしょうか? 安全性や収益性などさまざまな面で比較してみましょう。
比較して分かること
【安全性や収益性】
学資保険は満期まで保有した場合、返戻率が100%を超えるものであれば元本割れする可能性が低く、安全性という面ではおすすめできますが、大きく増やすことは難しく収益性としてはほとんどないと言えます。
一方、ジュニアNISAの場合は、運用成績によっては資金を大幅に増やすことも可能です。しかし、元本割れする可能性も大いにあるため、確実に貯めたい場合には不向きと言えるでしょう。
【途中解約した場合の対応】
解約した場合の対応も学資保険とジュニアNISAでは異なります。学資保険を中途解約した場合、多くの場合は中途解約返戻金が戻ってきますが、元本割れするケースが大半です。
ジュニアNISAの場合は、いつでも運用を止めることができます。ただし、出金は原則18歳まで出来ないため、途中で出金する場合には過去にまでさかのぼって利益のあった分が課税対象となります。もし、ジュニア NISAの払い出し制限が気になるようであれば、一般NISAやつみたてNISAを検討してみてはいかがでしょうか。子供名義の口座にはならない代わりに、払い出し制限もないためいろいろな使途に資金を使うことができます。
【税制優遇面】
税制優遇の面でも違いがあります。学資保険の保険料は一般的な生命保険と同じく、所得控除の対象となります。また、満期でもらう保険金は、支払った保険料と受け取った保険金の差額のうち50万円までは課税されません。
ジュニアNISAの場合は、譲渡益、配当、分配金ともに非課税です。ジュニアNISAの年間非課税枠は80万円ですが、非課税期間は5年間となりますので最大合計400万円と、その運用益が非課税で保有できるのは大きいですね。
●金融庁ホームページ「ジュニアNISAの基礎知識」
http://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/junior/knowledge/index.html
おすすめの活用方法
これまでご紹介した学資保険とジュニアNISAをどのように活用すればいいかまとめます。
NISAと学資保険の併用
確実に確保したい教育資金は、安全性の高い方法で貯めることをおすすめします。学資保険だけですと中途解約のリスクがあるので、預貯金の準備も忘れずに。
その他、留学資金や大学院、起業の費用など選択肢を広げるための資金には収益性のあるジュニアNISAを活用してみましょう。
教育資金は確実に確保しつつ、将来教育費が値上がりした時に備えていくらかは増やしたいものです。学資保険だけでは、教育資金を大きく増やすことはできません。かといってジュニアNISAだけでも、運用次第で必要な教育資金を貯められない可能性があるからです。併用という方法であれば、安全性と収益性の両立も不可能ではありません。
まとめ
教育資金の準備は、いつ頃どのくらいの費用がかかるかを事前に把握しておくことが重要です。「最低限いくら貯めなければいけない」、「もしできればいくら貯めたい」と希望や優先順位を明確にしておくことも大切です。それに対して、適切な商品選定をしていくのが間違いのない方法ではないでしょうか。