興味関心の幅が狭い息子。親として今すべきことは……<子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、息子の行動に関するパパのお悩みです。「他人と関わろうとしない、4歳の息子の発達状態が気になる」というその訳は……。
興味・関心の対象が狭く、あまり他の子たちとも関わろうとしない息子。今すべきことは?
子ども(4歳/男の子)の興味・関心が一定のものだけで、あまり他の人と交流もしないので発達障害なのかなと感じてしまうときがあります。
生活に困ることはまだないので現状問題はないのですが、今後のことを考えて今のうちにできることがあれば知りたいと考えています。
(27歳・男性・情報・IT/技術職)
■家族構成:自分27歳、妻29歳、長男4歳
■お困り度:★★★★★★★★☆☆
子供が幼稚園など社会と関わるようになってくると、「あれ?ほかの子供とちょっと違うのかも……」と不安になられる親御さんはたくさんいらっしゃいます。特に初めての子育てだと必要以上に心配にもなってしまいますよね。
今回は、発達障害とは何かを少し学びながら、今のうちにできることについて考えていきましょう。
まずは「発達障害とは何か?」ということから知っていきましょう。
厚生労働省によると、発達障害者支援法において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
発達障害と一口に言ってもこれだけたくさんの障害が複合的に絡み合っているのですね。
今回は興味関心が一定のものだけで、あまり他人との交流がないという特徴から、発達障害の中でも、自閉スペクトラム症について取り上げていきましょう。
自閉スペクトラム症とは、ざっくりお伝えすると、対人コミュニケーションが苦手で、物事に強いこだわりがあるという発達障害の一つです。一時的な症状というよりは、特性という考え方をするとよいでしょう。
一人ひとりの特性に合わせた療育を用いた支援で、生活における支障を少なくすることができ、より良い適応を目指すことができます。
さて、少し発達障害について知っていただいたと思いますので、今のうちにできることについてお伝えしましょう。
今のうちにできることでまず、最初に取り掛かっていただきたいのは、「子供の特性を知る」ということです。
うちの子は何が好きで、どういう過ごし方をしていて、どういう関りが苦手なのか、どういう環境なら力が発揮しやすいのか、というのをメモに起こしてみてください。
詳細について知りたい方は発達検査で詳しく知ることもおすすめです。心療内科や児童精神科、発達外来などの病院で検査を受けることができ、詳しく特徴を整理してくれて、どう関われば良いという具体的なアドバイスまでもらえたりもするので、家族だけで悩まず、利用されるとよいでしょう。
子供の特性を知った後にすることは、その特性を家族が受け止めるということです。発達障害のご家族と関わってきて思うことは、子供の特性を受容し、温かく見守るご家族はその子の笑顔を引き出し、特性による困難さが低減しているように思います。
発達障害の怖いところは発達障害によって「自分はだめなんだ」と自信を失うことです。家族はあなたの味方で、安心していいんだよという土壌を作り、個々の特性に合わせた支援に挑戦していきましょう。家族愛こそが一番の支援につながると思います。
(文:臨床心理士 石堂 達也/うららか相談室)