
友達の影響? 娘2人の言葉遣いがどんどん荒くなり、直させたいが……<子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、子どもたちの言葉遣いに関するお悩みです。娘二人の口調が荒くなってきている。自分も言葉遣いがきついタイプなのだが、原因はそれだけではなさそうで、対策に迷う」というその訳は……。

友達の影響? それとも私? 娘たちの言葉遣いが、どんどん荒くなってきて……
長女と次女の言葉遣いが悪く、気になっています。長女は比較的良い言葉遣いだったのですが、次女の口の悪さに引きずられるようにどんどん悪くなっています。私自身もそんなに温厚なタイプではないため、口調がきつい自覚があり気をつけているのですが、それが原因だけとは違うような気がするのです。
長女の友達はそうではないのですが、次女の友達には乱暴な言葉やキツい言い方をする子が多く、それも気になっています。友達付き合いにまで口を出すつもりはないので、私の口調を直す方を優先にしようと思っていますが、友達の口の悪さがこれ以上影響するのであれば、何か対策をすべきなのかと、迷っています。
(37歳・女性・医療・福祉/専門職)
■相談者の家族構成:自分37歳、夫39歳、長女9歳、次女7歳
■お困り度:★★★★★★★☆☆☆

お子さんが成長するにつれて、家庭以外の場所でいろいろな言葉を覚えてくる機会も増えます。ときには、予想もしていなかったような乱暴で汚い言葉を覚えてきて、驚かされることもあるでしょう。
基本的には一時的なものですので、それほど深刻に受け止めなくても大丈夫なのですが、ご家庭でできる対処法として、2つのポイントをお伝えします。
1.きつい言葉遣いがどうして良くないかを叱らずに伝える
お友達を通してたまたま知り、自分も言ってしまっているということがあります。汚くて乱暴な言葉に限らず、お子さんというのは普段の生活の中で見知ったことを無意識に知ってもらいたいと思っていますので、“私、こんな言葉を覚えてきたよ”と伝えようとしているサインかもしれません。
まずは、すごい言葉を覚えてきたね、と気付いたことを伝えてみましょう。いきなり、そんな言葉は使ってはダメ、と強く叱ることはおすすめしません。お友達からの影響も確かにありそうですから、お友達との付き合いに触れるのも良くありませんね。
たとえば、お母さんならこういう言い方をするな、と望ましい表現を教えてあげてください。キツイ言い方をされると嫌な気持ちがするんだよ、などと、どうしてその言い方の方が良くないかという理由も同時に伝えましょう。そうすれば、お友達を悪く言わなくてもすみますね。
もしも、“だって、〇〇ちゃんも言ってるもん”などと言い返してきたとしても、そうなんだね、でも、〇〇ちゃんと違ってもいいんだよ、程度にして落ち着いて対処してください。様々な性格傾向のお友達と知り合い、お子さんは人間関係も学んでいます。すぐに良い悪いで決めつけず、ダメという言葉をなるべく使わないようにして対話することは、望ましい成長を促します。
2.ストレスを抱えていないか見守る
きつい言葉を使うことは、お子さんがストレスを抱えているサインである場合もあります。ただ疲れていて八つ当たりをしたいときもあるでしょうし、お母さんの気を引きたくてちょっと甘えたくなっていることもあると思います。
また、乱暴できつい言い方をお友達にされたことで傷ついたり、嫌な思いをしたりしているのかもしれません。お子さん自身も自覚していないかもしれませんので、まずはやはり、ダメと注意する前に、“そんな言葉を使うなんて、どうしたの”などと、心配だよというメッセージで返しましょう。
お子さんが悪い子になってしまったのではという不安を抱く前に、“何がお子さんをそうさせているのか”に着目してみてください。そしてその原因を、一緒に見つめてあげる視点を持ってください。
今日、嬉しいことと嫌なことを1つずつ教えてほしいな、などと、さりげなく学校での様子を話題にしてみると、ストレスにつながった要因が見えてくることがあります。それがわかったら、言葉使いをなおすことには着目しなくても良いでしょう。
お子さんは、話して聞かせたことよりも、見て聞いたことは素早く覚えます。日頃から、こんな言葉使いをしてほしいというお手本をできるだけ示してあげてくださいね。
(文:臨床心理士 大岡 みほ/うららか相談室)