特別支援学級に通う9歳の息子。問題が多く、どう向き合えばよいのか途方に暮れて…<子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、息子への接し方に困っているママのお悩みです。「あれこれと問題を起こす9歳の息子。どう向き合えば?」というその訳は……。
癇癪、失くし物、友人トラブル……特別支援学級に通う息子にどう接したらよい?
特別支援学級に通っている9歳の長男への接し方や友人関係がどうしたら良いのか未だにわからずにいます。
何かを指示すればすぐに癇癪を起こし、こちらもイライラするばかりです。脱いだ物は何度言ってもその辺に置きっぱなし、しまいには紛失する……が日常茶飯事で困っています。
また、学校から言われた事を守らないで遊んだり、家で遊ぶ時は物を壊されたり行きすぎた行動をしたりするので、友達とも好きに遊ばせる事が出来ず、私のせいで友達が減らないか心配しています。
でもいちいち口を挟まないと近所にも迷惑がかかる事態になるため、正直どうしたら良いかもうわかりません。
(36歳・女性・印刷・紙パルプ/クリエイティブ職)
■家族構成:自分36歳、夫49歳、長男9歳、長女7歳、次男5歳
■お困り度:★★★★★★★★☆☆
今回のご相談者は特別支援学級に通う長男の対応に困られているお母さんです。長男に対してどのように関われば良いのでしょうか? 一緒に考えてみましょう。
「特別支援学級とは何?」という方へ、特別支援学級とは、知的障害、発達障害、身体障害者など様々な障害がある児童生徒を対象にした少人数学級のことです。つまり、「障害がある」ということを長男への接し方の念頭にいれておく必要があります。
長男への指示が通りにくく、興味のあることに意識が引っ張られすぎてしまう特徴には障害が関係している可能があります。その為、まずは障害の診断から長男の特徴を理解し対応していくことが求められます。
この相談文の感じからはADHDという発達障害の特徴があるように思います。ADHDとは、発達障害の一つです。基本的な特性として、不注意、落ち着きがない、深く考えずに行動に移す、といった特性があります。特に衝動性が高く、周りが何を言っても約束を守らず癇癪を起こしてしまうのであれば、お母さんとしてはイライラして当然でしょう。問題を起こさないように隔離すると、その隔離から抜け出したときに歯止めが効かないという悪循環からトラブルは多いでしょう。
まずは、ADHDとはどういうものかをお母さんなりに調べてみてください。その上で衝動性を抑える工夫を考えてみましょう。息子の特徴を知ることで、割り切れる部分が出てくるかもしれません。その過程で、イライラが少し抑えられると良いですね。
実はこの問題には「お母さんの態度に敏感に反応してしまう」という長男の問題が隠れているように思います。親が子供の障害を受け入れ、療育に専念するという考え方も大切です。自分一人で悩むのではなく、カウンセリングを利用してプロの工夫を活用してみてください。療育も出来るプロのカウンセラーは様々なお子さんとのカウンセリングを通して、個別のパターンに対応する工夫を沢山持っているので一緒に考えてくれます。
また、ADHDの程度によっては専門医と相談しながら薬物療法も検討されるのも良いでしょう。先ずはお母さんが少しでも楽になることを考えてください。
子供の人間関係において、トラブルを改善し、親が子供に任せていけるようになるためには、「イライラしていない穏やかなタイミング」で話し合いを持つというのが非常に大切になります。一人で考えるには、限界があるので時にはプロに助けを求めて母親自身が少しでも余裕のある心の状態を持つところから始めていってみましょう。
(文:臨床心理士 石堂 達也/うららか相談室)