外のトイレを怖がり、遠出もできない小3の息子が心配。年齢が上がれば良くなる?……<子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、息子の性格について母親からのお悩みです。「極端に怖がりで、遠出もできず悩んでいる」というその訳は……。
学校と自宅のトイレ以外行けない、小3の息子。テレビを見ても怖がってしまい……
小学3年生の息子の心配性な性格が気になります。
とても怖がりで、いまだに自宅と学校のトイレしか行くことができず、遠出をすることができません。また昔のドラマなどがテレビで流れると、雰囲気が怖いのかすぐに「別のにして」と言います。
年齢が上がることによってこれらの怖がりな面は薄れていくのでしょうか。
(44歳・女性・専業主婦)
■相談者の家族構成:自分44歳、夫47歳、長女15歳、長男8歳
■お困り度:★★★★★★★☆☆☆
周りの子どもが平気なことを怖がっている様子を見ると、親御さんは心配になってしまいますよね。そのことで生活のさまざまな活動が制限されてしまうのなら、なおさらです。しかし、成長とともに軽減される可能性が高いと考えられます。
恐怖は私たちにとって危険なもの、脅威となるものに対して感じる感情です。それ自体は心の自然な反応ですが、何に対して恐怖を感じるかは学習によるものと言われています。学習と聞くと学校での勉強を思い浮かべるかもしれませんが、ここで言う学習はもっと広い意味で使われ、経験を通して身につけたこと全てと言ってもいいかもしれません。
例えば犬に噛まれてから犬が怖くなった、溺れかけたことがあってプールに行けなくなったなど、実際の経験から恐怖心を抱くようになることがあります。
また、テレビで事件や事故の映像を見たときのように、自分自身の経験でなくても人の経験を見たり聞いたりすることで怖いと感じるようになることもあります。
あるいは、映画や絵本が作り出すイメージやくり返し言われる言葉(「いい子にしないと鬼が来るよ!」)などによって「これは怖いものなんだ」と学習してしまうこともあります。
しかし、同じ経験をしたからといって全員が同じように恐怖を感じるわけではなく、元々の性格から恐怖を感じやすい人たちもいます。
例えば、想像力が豊かな人や繊細な人、不安が高い人です。小学3年生というと想像力も豊かになってくる年頃なので、お友達の話や、テレビやマンガなどの影響で怖い想像が広がってしまっているのかもしれません。
あるいは心配性ということでしたら、外のトイレは流し方がいつもと違うかもしれない、入りたいときに混んでいるかもしれない、汚いかもしれないなど、分からないことが不安で怖いのかもしれません。自動でフタが開閉したり、流れたり、音姫が流れたり、ジェットタオルの音が大きかったり…いろんなことが家とは違うので、安心して入れないのでしょうね。
まずは何が怖いのか聞いてみて、恐怖心を受け止めてあげてください。
怖がりを軽減していく上で、言葉で「大丈夫だよ」と励ますことはもちろん大事ですが、何より大事なのは「怖いけどできた」「なんとかなった」という小さな成功体験を積み重ねていくことです。
トイレのことなら家の近くの場所からはじめ、トイレの前まで一緒に行ってみる、親御さんがトイレに行くのについて来てもらう、親御さんが先に中を確認してどんなトイレか伝えてあげる、音が怖いなら親御さんが先に行ってスイッチをオフにする、できなければイヤホンで音楽を聴かせてあげる…など。「何ができるかな?」「どうしたら安心できるかな?」をお子さんと一緒に考えて、少しずつ、小さなことからでいいのでできることを増やしていけるといいですね。
そして少しでもできたことがあれば褒めてあげてください。それが自信につながります。
怖がりを治すのは難しいかもしれませんが、こうして自信をつけていき、様々な対処方法を身につけることができれば、怖くても自分で何とかできるように成長していくと思います。焦らずゆっくり対応してあげてください。
(文:臨床心理士 おおくぼ まりこ/うららか相談室)