産後の妊活、いつから開始する? 「間隔があく」「短期間で次妊娠」それぞれのリスクとは|生殖医療専門医解説
出産して子育てに追われながらも、頭をよぎる「次の子どうする?」という問題。早めにもう1人……と思いながらも、妊娠間隔が短すぎるとリスクがあることも見聞きします。今回は産婦人科専門医・生殖医療専門医の菊地盤先生(メディカルパーク横浜院長)に、「産後の妊活開始時期」について解説いただきました。
■今回の解決ドクター:菊地 盤 先生(メディカルパーク横浜院長/産婦人科専門医・生殖医療専門医)
産後、希望すれば妊娠はすぐにできる?
Q 産後はすぐに妊娠できるものなのでしょうか?
産後、妊娠しやすくなる時期については、授乳が影響します。
一般的に、授乳中は乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンが排卵を抑制するため、月経(生理)が停止し、妊娠しにくくなることが多いです。ただし、乳汁が分泌されていても排卵や月経が起こることもありますし、月経が再開する前に妊娠していたということもありますので、注意が必要です。
Q 1人目を不妊治療で授かった場合、次子妊活はどのように進めるのでしょうか?
1人目を不妊治療で授かった場合、次の子の妊活についても再度同様な治療を行うことになります。
タイミング法や人工授精で妊娠した場合は、再度その方法を利用します。体外受精では、凍結胚を確保している場合には、その胚を移植して妊娠を目指すことが一般的です。移植時期については、医師と相談しながら検討することになります。
次子の妊活、いつ開始する?
Q 次の子の妊活を始めるタイミングについて、産後どのくらいがいいのでしょうか?
産後早期の妊娠にはリスクが伴うことがあります。前回の出産から24ヶ月以上あけて妊娠することが早産や妊娠合併症のリスクを減少させると言われています。
一方で、間隔が空くことで「二人目不妊」などのリスクも生じます。
近年の晩婚晩産化により、二人目妊娠の時期ですでに高齢となってしまい、妊娠が困難になるため二人目不妊も増えていると思われます。現在最も妊娠率が高いとされる体外受精を用いても、特に30代後半以降は成績が悪くなるので、注意が必要です。
両方のリスクを考え、ご夫婦でよくご相談いただくことをおすすめいたします。
Q 帝王切開後の妊活開始についてはどうでしょうか?
帝王切開はその状況によって、次回妊娠時期に注意が必要です。
帝王切開でできた子宮の傷によって、妊娠しづらくなる「帝王切開瘢痕症候群」のリスクもありますので、専門医にご相談いただくことも良いと考えます。
菊地先生からのアドバイス
妊娠間隔が短すぎると、早産などのさまざまな合併症が増加するという指摘もありますし、一人目のお子さんへのストレスにも配慮しなければなりません。理想的な間隔としては2年以上あけることですが、比較的高齢の方においては、一人目の妊娠から計画的に体外受精を行い、胚凍結までの不妊治療を行っておくことも良いかもしれません。今回の記事では二人目妊娠について解説しましたが、これから第一子の妊娠を考えている方々にも届くことを祈念します。
(文:菊地 盤先生、協力:株式会社メディコレ、構成:マイナビ子育て編集部)
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