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2024年06月02日 08:25 更新

「夫婦別姓によって家族のきずなは変わらない」が6割超、一方で子どもへの影響を懸念する声は約7割

「夫婦同姓」を法律で義務付けているのは、世界的に見ても日本だけと言われています。では、「夫婦別姓」が可能になった場合、家族にはどのような影響があるのでしょうか?内閣府が実施した「家族の法制に関する世論調査」をもとに、現行の「夫婦同姓」や議論されている「夫婦別姓」について人々がどのように感じているのかを見ていきます。

全国の18歳以上5,000人に調査

内閣府では、家族や家族に関する法制度についての国民の意識を把握し、今後の施策の参考にするため、全国の18歳以上の日本国籍を有する人5,000人を対象に「家族の法制に関する世論調査」を実施しました。その結果、名字や姓、婚姻による姓の変更などに関する人々の意識や考え方が見えてきました。

結婚によって自分の姓が変わったとしたら、何を感じる?

まず、現行の法制度である夫婦同姓に対する意識を見てみます。

自分の名字・姓が相手の名字・姓に変わったとした場合、どのような感じを持つと思うかを聞いた設問で、最も多かったのが「名字・姓が変わったことで、新たな人生が始まるような喜びを感じると思う」(54.1%)となりました。

次いで「相手と一体となったような喜びを感じると思う」(39.7%)、「名字・姓が変わったことに違和感を持つと思う」(25.6%)が続いています。喜びを感じる人が多い一方、違和感があるという人も4人に1人以上いることがわかりました。

―内閣府「家族の法制に関する世論調査」より
婚姻による名字・姓の変更に対する意識
―内閣府「家族の法制に関する世論調査」より

なお、性別で見ると「新たな人生が始まるような喜びを感じる」人は女性では61.3%、男性では46%と、女性の方が割合が高いようです。また「違和感を持つ」は女性23%に対して男性28.5%で、男性の方がやや多いという結果でした。年齢別では、18~29歳と30代で「違和感を持つ」が36~38%ほどになっており、多い傾向が見られました。

夫婦別姓だと家族のきずなは弱まる?

前の質問において、夫婦が同姓になることで家族の一体感を感じると思う人が多いことがわかりましたが、では、夫婦別姓の場合はどうでしょうか?

夫婦や親子の姓が違うことによって家族のきずなや一体感への影響があるか、意見を尋ねた結果がこちらです。

「家族の一体感・きずなが弱まると思う」と答えた人は37.8%である一方、「家族の一体感・きずなには影響がないと思う」と答えた人は61.6%でした。多くの人は影響がないと考えているようです。

これを性別で見ると、「きずなが弱まる」と回答した男性は42.2%で、女性の33.8%よりも多くなりました。また、年齢が上がるほど「きずなが弱まる」と考える人が増えていくこともわかりました。

家族の一体感・きずな ―内閣府「家族の法制に関する世論調査」より
家族の一体感・きずな
―内閣府「家族の法制に関する世論調査」より

夫婦別姓は義父母との関係に影響する?

では、義父母との関係への影響については、どう思うのでしょうか?

夫婦別姓による配偶者の父母との関係への影響の有無について、どのように思うか聞いたところ、「配偶者の父母との関係を大切にしなくなるといった影響があると思う」と回答した人が19.2%だったのに対し、「配偶者の父母との関係には影響はないと思う」と回答した人が80.3%で、圧倒的多数を占めました。

年齢別に見ると、70歳以上では「影響があると思う」人が24.5%と、他の年代と比べて多くなっています。

配偶者の父母との関係
配偶者の父母との関係
―内閣府「家族の法制に関する世論調査」より

夫婦別姓は子どもに悪い影響が及ぶ?

ここからは子どもへの影響をどう思うかを見ていきます。

まず、夫婦別姓であることは子どもに影響を与えるかどうかに関して、「子どもにとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が69.0%、「子どもに影響はないと思う」と答えた人が30.3%でした。

―内閣府「家族の法制に関する世論調査」より
子どもへの影響
―内閣府「家族の法制に関する世論調査」より

夫婦別姓で懸念される子どもへの影響は?

夫婦(両親)が別姓であることで「子どもにとって好ましくない影響があると思う」と回答した人に対し、具体的な影響を聞いた結果、「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて、嫌な思いをするなどして、対人関係で心理的負担が生じる」(78.6%)が最多となりました。さらに、「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60.1%で続きます。「家族の一体感が失われて子の健全な育成が阻害される」は23.1%でした。

―内閣府「家族の法制に関する世論調査」より
子どもへの影響の具体的内容
―内閣府「家族の法制に関する世論調査」より

なお性別で見ると、「対人関係で心理的負担が生じる」を挙げた人は女性82.7%、男性73.9%と女性の方がやや割合が高く、「家族の一体感が失われて子の健全な育成が阻害される」は男性27.6%、女性19.1%と男性の割合が高いという結果でした。

まとめ

選択的夫婦別姓は大きな変化には違いない

法律で夫婦どちらかの姓を名乗ることが義務づけられている日本。これは旧民法(明治31年)から続いているもので、「夫婦同姓」には125年以上の歴史があることになります。選択的夫婦別姓の採用は、社会的に大きな変化となるのは間違いありません。とはいえ、選択的夫婦別姓制度の導入が検討され始めてからもすでに四半世紀以上が経過しているのが現状です。もちろん、夫婦別姓を選ぶことで子どもへの影響が生じる懸念はあります。しかしそれには、今の社会では夫婦同姓が当たり前であることが大いに関係するともいえるでしょう。夫婦同姓か夫婦別姓かを自由に選択することが当たり前になれば、親と姓が違うことを指摘されて嫌な思いをするといったこともなくなるのではないでしょうか。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■家族の法制に関する世論調査/内閣府
調査対象:全国18歳以上の日本国籍を有する者5,000人
調査時期:令和3年12月2日~令和4年1月9日
有効回答数:2,884人

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