人権問題で関心があるのは?「インターネットの人権侵害」に次いで「子供の人権」も上位に【親子で考えたい人権問題】
最近、日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルとしたドラマが話題ですね。日本国憲法で保障されている私たちの「人権」について、改めて考える人も増えているのではないでしょうか。そこで今回は、東京都が実施した意識調査をもとに、人々が「日本社会における人権」についてどのように感じているのかを見ていきます。
18歳以上の都民5,000人を対象に調査
東京都では、「人権に関する都民の意識等を調査し、今後の人権施策をすすめていく」ことを目的に、都内に在住する18歳以上の男女5,000人を対象に「人権に関する都民の意識調査」を実施しました。なお、10代の18歳、19歳に関しては合計150人程度として、20代から70歳以上の年齢層および男女比は概ね均等に配分されています。
34%が「今の日本は人権が尊重されていない」
日本が「人権を尊重されている社会だと思うか」という設問に対し、「そう思う」(10.4%)、「どちらかと言えばそう思う」(55.4%)を合計した「思う」の割合は65.8%、「どちらかと言うとそう思わない」(25.4%)、「そう思わない」(8.8%)を合計した「そう思わない」の割合は34.2%でした。
日本社会は人権が尊重されていないと考える人が3割以上というのは、決して少なくない数字だと感じられます。
今の日本で人権が尊重されていないと思う理由は?
続いて、日本は人権が尊重されている社会ではないと答えた人に、その理由を聞いた結果は、次のとおりとなりました。
最も多かったのが「テレビやインターネットのニュース報道を通じ、社会で人権侵害や誹謗中傷が増えたと感じるから」で30.9%でした。次いで、「自分中心で他人のことを考えない人が増えたと感じるから」が25.0%、「多様性が尊重されていないと感じるから」18.3%が続いています。
ニュース報道など、メディアが発信する情報を通じて、人権が尊重されていないと感じる人が多いようです。
なお、実際に「自分の人権が侵害されたと思うことがあった」人は5.2%、「家族や知人等、自分の身近で人権が侵害されたと思うことがあった」人は3.5%で、いずれも少ない結果となっています。
最も関心が高いのはインターネットによる人権侵害
「人権に関わる問題のうち、関心のあることは何か」を聞いた設問では、最も関心が高かったのは「インターネットによる人権侵害の問題」で48.1%の人がこれを挙げています。
そのほか「子供の人権」42.1%、「プライバシーや個人情報の流出・漏えいの問題」41.3%、「セクハラやパワハラなどのハラスメント」40.6%も4割を超えており、関心が高いと言えます。
SNSが生活の中心となっている現代社会では、その特徴の一つでもある「匿名性」を悪用した誹謗中傷がたびたび問題となっています。また、近年、いじめや虐待、性加害などの事件報道もたびたび見られるためか、子供の人権への関心も高くなっているのでしょう。
まとめ
身近な問題として
「人権問題」と聞くと小難しい響きがあり、普段あまり意識せずに過ごしている人も多いのではないかと思います。しかし、実際には日々の生活にかかわる身近な問題です。後から考えて、自分や大切な人の人権が侵害されていたことに気づく、ということを避けるためにも、人権とは何かを意識することは大切でしょう。そうすることで、世の中のおかしいことに「ノー」と言える力を養うことにもつながるはずです。とくに子供の人権に関しては、もっと社会がその権利の保護について、考えを深めていく必要があるのではないでしょうか。
(マイナビ子育て編集部)
調査概要
■人権に関する都民の意識調査/東京都総務局人権部
調査対象:都内に在住する満18歳以上の男女5,000人(18歳・19歳は合計150人程度とし、20代から70歳以上の年齢層及び男女比は概ね均等に配分)
調査時期:令和5年8月24日~28日