<子どもの性被害の実態調査>加害者の4割超が実父という現実、被害が始まった年齢は10~12歳が約3割
ニュースなどで子どもの性被害の事件を目にするたび、子を持つ親として辛い気持ちになる方も多いでしょう。その実態把握は追いついていないのが現状です。今回は、子どもたちの性被害に対応した児童相談所や弁護士などの声を集めた、NPO法人子ども支援センターつなっぐの「子どもの性被害への対応に関する実態調査」を紐解いていきます。
全国の児童相談所および弁護士会に調査
「特例認定NPO法人子ども支援センターつなっぐ」は、性被害や性虐待を受けた子どもたちを支援し、一緒に乗り越えていくことを目的とした団体です。「子どもの性被害への対応に関する実態調査」は、性的被害、性的虐待を受けた子どもの実態を広範かつ客観的に把握するため、全国の児童相談所の相談員および弁護士会所属の弁護士を対象に行われました。その結果、138件の回答が得られています。
なお、今回の調査では、被害児童の性別は女子128人、男子7人、不明4人と、女子が圧倒的に多いという結果でした*。
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*実質回答数138に対し、被害児童の性別が139件であるのは、被害児がきょうだいであったケースが含まれることによる。
被害が始まった年齢は10~12歳が約3割
まず、子どもたちが性被害に遭ったのは何歳ごろなのかを見てみます。
被害が複数回あったケースにおいて、被害開始時の年齢で最も多かったのは12歳(12.3%)であることがわかりました。次に多いのが9歳と10歳で、ともに8.8%で同率となっています。
被害終了時の年齢に関しては、最も多かったのは14歳(15.9%)でした。次いで11歳(8.8%)が続いています。
こちらのグラフは被害開始時と終了時の年齢を年齢層別の割合で示したものです。
開始時では10歳~12歳が28.1%となっており、小学校高学年にあたるケースが3割近くを占めることがわかります。
終了時は中学生期にあたる13歳~15歳が29.2%で、こちらも3割近い数字です。性的成熟が始まって身体的にも変化が見られる時期と、被害の多い時期が重なっていることが見てとれます。
加害者の4割超が「実父」
次に、加害者にはどういった人物が多いのかを見てみましょう。
突出しているのが「実父」の59件で、全体の4割以上を占めています。次に多いのが「養父・継父」(34件)。これらを合わせると、父親にあたる男性による性加害がじつに7割近くに及ぶということです。本来は子どもを保護する責任をもつ人間が加害者の筆頭になっている実態は、問題の深刻さを物語るといえます。
被害を訴えた先は「学校」が約3割
家庭内での被害が多くを占めることがわかりましたが、では、どこで被害が明らかになったのでしょうか。
子どもたちが被害を報告した場所を見てみると、最も多いのが「学校(主に担任)」(39件)で全体の3割近い値でした。子どもが1日のうちで長い時間を過ごす学校で、身近な大人である先生に被害を打ち明けるケースが多いことがわかります。
加えて、親が加害者である場合には、もう片方の親にも話しにくい状況もあるかもしれません。「自宅」で被害を報告した割合は22件で、約15%という結果でした。
まとめ
これは氷山の一角でしかない
今回の調査では138件の被害に対しての結果でしたが、これは氷山の一角に過ぎない過ぎないかもしれません。とくに加害者が父親などの同居人だった場合、子どもは簡単に訴え出ることもできずにいることも想像されます。自分の立場を利用して、弱者である子どもに性加害をはたらくことは、許されることではありません。ブラックボックスの中にあると言える子どもの性被害に対して、社会全体が厳しい目を向けていくことが必要だと思われます。
(マイナビ子育て編集部)
調査概要
■子どもの性被害への対応に関する実態調査/特例認定NPO法人子ども支援センターつなっぐ
調査対象:全国(都道府県・政令市)の児童相談所、弁護士会
調査時期:2022年10月~12月
有効回答数:138