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2024年08月27日 10:11 更新

宇多田ヒカルさんが子育てで実践してきた「息子の感情を否定しないこと」

デビュー25周年を迎え現在およそ6年ぶりとなる全国ツアー中の歌手・宇多田ヒカルさんが、25日放送のラジオ番組『ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』(J-WAVE)にゲスト出演。番組ナビゲーターのSHELLYさんとともに子育てについて語る場面がありました。

宇多田ヒカルさんが子育てで一番大事にしていること

生活拠点をロンドンに置き、9歳になったばかりの息子と暮らしている宇多田ヒカルさん。今年4月にリリースした自身初のベストアルバム『SCIENCE FICTION』収録の楽曲「ELECTRICITY」とともに自身が出演する伊藤忠のCMには、チラリと男の子が登場していますが、それは宇多田さんのお子さんなのだといいます。

本人はCMへの出演に際して「顔が写っちゃうのはプライバシーが……顔が写らないなら(いいよ)」と言っていたそうで、「しっかり育ててますね」とSHELLYさんも感心。SHELLYさん自身、8歳・6歳・1歳の三姉妹を育てる母として、宇多田さんに聞いてみたいことがたくさんあったよう。

「9歳だとどんなコミュニケーション?」と尋ねると、宇多田さんは「猫2匹って感じ。なんか猫みたいにすりすりするとかごろごろするとか設定が2人の中であって。結構、猫語でしゃべるというか」と、独特な親子のコミュニケーションを明かしました。

ただ思春期に差し掛かってくると「いつまでこの感じが続くんだろう?」と思うこともあるといい、「そのくらいかちょっと上の年齢になってくるとお母さんにちょっと冷たくなるとか、ベタベタしてるとまわりに何か言われるとか」という話を日本の文化としては耳にするといいます。

しかし「(息子は)イタリアと日本のハーフ、私がアメリカの文化もあるけど、周りが全然そういう感じじゃないから、結構いつまでたってもお母さんはお母さんで子どもとずっと仲良くベタベタ、っていったら変かな、可愛がってる感じお互いが。ってのが普通な感じなので、これはどうなるんだろう?」と、自分たちの親子関係がどう変化していうかは未知数のようです。

SHELLYさんは以前、あるインタビューで宇多田さんが「子どもにあげられる一番大事なものは自己肯定感」「感情をちゃんと肯定してあげることが大事」だと話していたことが強く印象に残り、自分もそのことを意識して子育てしているそう。

それをどのように実践しているのか? と聞かれた宇多田さんは、自身が特殊な家庭環境で育ったこともあり、子育てが始まった当初は自信がなかったと明かしました。両親には何も聞けないため、とにかく本をいろいろと読む中で、「あ、これよさそうとか、自分もセラピーとかカウンセリングで学んだことを、そうか子どもにもそういう知識を生かせばいいんだ、そういう目線を持てばいいんだ」「感情ってコントロールできないから押し込めちゃうのは良くない。それを誰かにされたらいやだよなって思うから」と気づいていったそうです。

一方で、実際に生活していく中では様々な都合で子どもの要求を飲めないこともあります。たとえばどこかで遊んでいてもう帰らなきゃいけない、けれど子どもは帰りたくないと泣いてしまう場面。そんなとき宇多田さんはどうしていたのかというと……子どもの要求に応じることはできなくても、感情を否定しないようにするといいます。

「置いてくわよとか泣き止みなさいとか、帰るって言ってるでしょ! とかになっちゃったら悲しいだけだから。帰らなきゃいけないんだけど、『そうだよね、もっといたいよね、帰りたくないよね楽しいもんね。じゃあさ、また次にいつ会えるかすぐ話すからさ』『また今度来ようね、次はこれやろうかっここで』とか。それで落ち着いてくれるから、こっちも楽なんですよね。そういうのをちょっと気を付けてやってました、ずっと」

「なんで離婚したの?」と突然聞かれてドキッ

SHELLYさんがもうひとつ宇多田さんに聞きたかったことは、ジェンダーやセクシュアリティについて子どもにどう伝えていけばいいのか、ということ。

「東京にいるとハードルが高いなと感じる。ロンドンだともっとオープンな感じなのか?」というSHELLYさんの疑問に、宇多田さんは「うーーーん」と言い淀み、「不思議だよね文化って。こういうところオープンなのに、こういうとこは閉鎖的なんだっていうのが違うポイントであったりする。一概に日本のほうがそういう話しにくいとか閉鎖的だとか言えないし、意外と日本こういうところすっごいオープンですごくない?すごい自由みたいなところもあるからそれはちょっとわかんないですけど」と前置き。

そのうえで、「そもそもセクシャリティだろうがなんだろうが、質問されたら答えられるように準備しておこうかなとか。こっちからこれはこうなんだよとか別に話す必要ない。自然と周りから入って来るし、学校でもちょっとそういう話してると思うんですけど、それはまかせて。常に気になることや知りたいことがあれば何でも聞いていいよってスタンスでコミュニケーションが取れてれば、そのときはそのときで対応すればいいかなって」と、考えを明かしました。

また、2人はともに離婚経験者。宇多田さんはお子さんから「なんで離婚したの?」と突然聞かれて「おおっ」と戸惑ったことがあるそう。「いつかくると思ってたけど、あっきたーって思ったのはそれくらい」だそうで、そのことについてもあらかじめ「どう話そう」といろいろ考えていたといいます。

SHELLYさんが離婚したのは娘たちが1歳と3歳のとき。絵本などを使いながら離婚について子どもにもわかりやすいように話したといいますが、数年が経ち突然「でも何年後かに突然、なんで離婚したの? なんで結婚してないの? なんで一緒にならないの?(編註:SHELLYさんは事実婚を選択していることを公表しています)」と聞かれてドキッとしたのだそう。

宇多田さんは離婚に関すること以外でも、息子が言葉をまだ喋らないときから「なんでもできるだけ彼の目線で考えて必要な情報、いらないことは言わなくていいけどそれは私がただ言いたいことになっちゃうから。向こうに伝えていいことを、ちゃんとわかってないだろうけど、説明するようにしてた」ため、離婚について質問されたときも一生懸命答えると、「なんか納得してくれるっていうか『ふうん、そうなんだ』って感じで受け取ってくれる感じがあった」と明かしました。

そんな息子と2人で、人気のミュージカル「Mrs. Doubtfire ミセス・ダウトファイア」を見に行ったときのこと。子どものいる夫婦が離婚をして……という内容を描いたコメディ作品ですが、観劇のあと息子が「あ、こういう感じで離婚して……こういうこと?」と言ってきたそうです。

観劇中、宇多田さんは「やばい。これってどんな影響与えるんだろう。なに考えてるかなあ? どんな展開になっちゃうんだっけ……」とドキドキする場面もありつつ、最後に息子からの意外な感想を聞いて「あ、まあ、まあね、ある意味ね、ちょっと近いところもあるかも」と返すと「そっかあ」と納得している様子だったのだとか。

この話を聞いてSHELLYさんは「ロールモデルがあるって大事ですよね。世の中に同じような状況の子がいっぱいいるんだよっていう。だから絵本や映画に登場すると、そっか、うちだけじゃないんだって」と共感。

宇多田さんは「だからストーリーテリングとか物語って本当に大切なんだなって。自分が外で見ることでしか見えない自分ってあるから」と、物語の持つ力について話していました。

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