
「子どもが勝手にゲーム課金していた」をなくす! 知っておきたい2つの対策 #親と子のネットリテラシー入門 Vol.34
私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。今回は子どものゲーム課金の実態と勝手な課金を防ぐための方法についてうかがいました。
小中学生のゲーム課金の実態
子どもとゲームの付き合い方はとても難しい問題です。「一度始めたらやり続けてしまう」「ログインボーナスがあるから毎日やりたい」「友達が一緒にやろうと言った」など、本人の意志だけではなく、子どもなりにゲームをやめられない理由もあります。
ニフティキッズが2024年10月に発表した「ゲームに関するアンケート調査」(※)では、1日のゲーム時間は小学生では「30分~1時間」、中学生では「1~2時間」が最多でした。さらに、90%以上の小中学生が毎日ゲームをしています。

小中学生の4人に1人がゲーム課金の経験あり
ゲームをするために利用している機器は「Nintendo Switch」が1位(82.9%)、そして「スマホ」(47.6%)、「パソコン」(21.1%)と続きます。どこでもゲームができるNintendo Switchやスマホの人気が高いですね。
ゲームについては、長時間利用のほか、課金の問題もあります。調査では、25%の子どもがゲームに課金したことがあると回答し、もっとも多い課金額(月)は「1,000~3,000円」(25.2%)でした。次いで、「500~1,000円」(23%)、「500円以下」(19%)となっています。ほとんどの子どもがお小遣いの範囲で楽しんでいる一方、2万円以上の課金をしたことがある子どもが7.7%いるのは気になります。
![Q.[課金したことがある人へ]月にいくらくらい課金した?(ニフティキッズ調べ/アンケート実施期間 2024/08/20~2024/09/23/出典:ニフティ)](https://cdn.kosodate.mynavi.jp/uploads/content/image/948300/kakinkinngaku.jpg)
小学生が150万円以上課金したケースも……
ゲームをプレイすることや、ゲームに課金すること自体は悪いことではありません。しかし、ルールを設けずに子どもがゲームをしてしまうことで、長時間利用による睡眠不足や際限のない課金など、生活に影響が出てしまう可能性があります。
特に課金に関しては、注意が必要です。国民生活センターには(※2)では、子どものゲーム課金について複数の相談事例が掲載されています。
家族共有のタブレットで150万円以上課金していた小学生は、保護者のクレジットカードを登録していたタブレット端末を使っていたそうです。ほかにも、家庭用ゲーム機で父親のアカウントに登録されていたクレジットカードを使って7万円課金した小学生の事例や、キャリア決済で課金してしまった小学生の事例なども紹介されています。
18歳未満の子どもが保護者の承諾なく課金してしまった場合、民法で定められた未成年者取消権によって契約を取り消すことができます。しかし、保護者のアカウントで子どもが課金した場合や、ゲーム内の年齢確認で成人と偽った場合は、子どもの課金とは正確に判断することができません。よって、取り消しや返金が認められないケースがあります。
こうした事態を防ぐには、2つの対策があります。筆者が提唱している「アナログ面とデジタル面の見守り」です。
子どもが勝手にゲームに課金しないための見守り方法
アナログ面での見守り:課金ルールを決める
子どもと話し合って、ゲームをするときのルールを決めます。ゲーム機、スマホゲームのどちらについても決めておきます。
利用時間や利用場所を話し合うことも大切ですが、課金についてもしっかりと決めておきましょう。この場合、細かくルールを決めることがポイントです。
親子でのゲーム課金のルール例
・月に○円までならOK
・月に○回までならOK
・このゲームへの課金ならOK
・プリペイドカードでの課金ならOK
・有料ゲームなら○○円まで、有料アイテムなら○○円までOK
「お年玉の範囲内」や「お手伝いを10回したら」といった決め方でもよいでしょう。
その際に、なぜゲームへの課金を控えるべきか、話をしておきます。金銭感覚がまだ養われていない年齢のお子さんもいると思いますので、お金の大切さについて教えてあげてください。
また、破ってしまったときのペナルティも決めます。特に、勝手に課金してしまった場合については、厳しいペナルティを決めておくといいでしょう。
こうして決めたルールは、紙に書いて壁などに掲示しておきます。お互いにルールを確認できるからです。
デジタル面での見守り:課金を承認制にする
Nintendo Switchでの設定方法
Nintendo Switchの場合は、オンラインストアでの購入と、オンラインストアへのアクセスをパスワードで制限できます。詳しくは、Nintendoのサイトで確認してください。

iPhone・iPadでの設定方法
iPhone・iPadの場合は、ペアレンタルコントロール機能「ファミリー共有」で「承認と購入のリクエスト」を利用できます。これは、有料アプリや有料アイテムを購入したいとき、ファミリー共有で繋がっている家族から承認を得ないと課金できない機能です。
ファミリー共有で子どものアカウントと保護者のアカウントを紐づけると、13歳未満の子どもについてはそのまま有効になるので、ぜひファミリー共有を設定しましょう。

Androidでの設定方法
Androidのスマホ・タブレットでも、ペアレンタルコントロール機能が利用可能です。「ファミリーリンク」で子ども専用アカウントを作成して親と紐づけることで、Google Playのアプリ購入や課金に関してメンバー(保護者)の承認を得ないと購入できないように設定できます。

親のスマホやゲーム機を貸す際の注意点
子ども専用の機器であれば、あらかじめ上記の制限を設定しておけます。しかし、問題は親の所有するゲーム機やスマホを貸す場合です。
基本としては、課金できる状態で渡さないこと。親のアカウントやパスワード、クレジットカード、キャリア決済の情報は消してしまうか、毎回パスワード入力が必要になるように設定しておきます。また、子どもが親のパスワードを覚えてしまうこともあるので、定期的に変更しておくことも大切です。難しい場合は、親も一緒にゲーム画面を見られるときだけゲームを許可するという方法もあります。
勝手に課金されてしまったら
子どもがゲーム課金をしたがっている時期は、クレジットカードやキャリア決済の通知やメールを見逃さないようにしましょう。疑うようですが、本人も知らないうちに有料アイテムを購入している場合もあります。その場合、金額が大きくなる前に早めに対処することができます。
もし勝手に課金されてしまった場合でも、取り消すことができるかもしれません。最寄りの消費生活センターや、消費者ホットライン 188に相談してみましょう。

まとめ
ゲームは楽しいものですが、過剰に課金してしまうのは考えもの。家庭でのルール決めと、課金する際の承認の設定により、子どもが保護者の知らないうちに課金してしまうことを防ぎましょう。また、親や祖父母の機器を貸すときも課金されてしまわないように、パスワードを毎回入力するように設定しておきましょう。
(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)