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掲載
2026年08月04日 15:56
更新
2026年08月04日 15:56

AIが書いた読書感想文に息子が「全然違う」。AIを使いこなすママが気づいた“子どもの本音”の引き出し方

今や身近な存在になりつつある生成AI。子どもの読書感想文にもAIを使えそうな気がするけれど、どうすればいいのか。そう悩む親に向けて、3児のママで家事育児にAIを活用する宮崎真理さんに、読書感想文におけるAI活用のヒントを実体験を交えながら語ってもらいました。そこにはAIに代筆させない、ちょっと意外な活用法がありました。

※ これは子ども本人にAIを使わせることをすすめるものではありません。生成AIには年齢要件や保護者同意などの利用条件があり、学校ごとのルールもあります。ここで紹介するのは、親がAIを操作し、子どもの言葉を引き出すための使い方です。

「もっと文字数を増やして」とAIに頼んだ

「もっと文字数を増やして」

3年前の夏、私は生成AIにそう頼みました。渡したのは、当時小学4年生だった長男の読書感想文です。いま思えば、ひどい頼み方でした。でも、この失敗があったから、いま書けることがあります。

読書感想文は、夏休みの宿題のなかで、いちばん後回しになりがちではないでしょうか。子どもはなかなか書き始めないし、親もどう手伝えばいいのかわからない。あの夏の我が家も、そうでした。

長男はうんうん唸って書き上げたものの、規定の文字数に届かない。私はその数か月前にChatGPTに出会ったばかりで、何でも入力してみるのが楽しくてしかたない時期でした。それで、つい、息子の書いた読書感想文をAIに入力し、頼んでしまったのです。「もっと文字数を増やして」と。

返ってきた文章を、ふたりで読みました。

おお、なんかすごい。正しい気がする。息子が書いてもいない感想が、もっともらしい言葉で付け足されていて、一瞬、これで文字数が埋まるなら、と思いかけました。

でも、息子の抗議で我に返りました。

「全然言いたいこと違う」「ぼくはそう思ってない」「そうじゃなくて、こうだよ」。
ふだん「どう思った?」と聞いても出てこなかった言葉が、次々に出てきたのです。

AIのズレた答えが、子どもの本音を引き出した

あのとき、ひとつ気づきました。AIが書いた文章よりも、それを否定したときに出てきた言葉のほうが、ずっと息子らしかった。

まったくの白紙から感想を書くのは、大人でも難しい。でも、目の前に「これってこういうこと?」と差し出されたものがあれば、「ちがう、そうじゃなくて……」と返せることがあります。少なくとも我が家の長男には、そのほうが言葉が出やすかった。

この「ちがう」が、すごく大事なのだと思っています。

否定的な感想がその子らしい、ということではありません。「感動しました」「おもしろかった」だけでは見えにくい、その子自身の感じ方が、「ここはちょっと納得できない」「この場面はもやもやした」という言葉から見えてくることがあります。なぜ納得できなかったのか、どこにもやもやしたのか。そこをたどると、子ども自身の価値観や、感想文のタネになる言葉に出会えることがあるのです。

それから私は、AIに正解を書いてもらうのをやめました。代わりに、わざと少しズラした受け止め方をしてもらって、子どもの「ちがう」「そうじゃなくて」を引き出すために使うようになりました。

代筆させないために、AIへ伝える3つのこと

放っておくと、AIは子どもの代わりに考えて、答えて、きれいにまとめてしまいます。あの夏の「文字数を増やして」が、まさにそれでした。
それを防ぐために、私はAIにお願いするとき、この3つを伝えるようになりました。

① 子どもの発言を、わざと少しだけ取り違えて返して
② 模範解答も、感想文の本文も、書かないで
③ 子どもの気持ちを、先回りして代弁しないで

これに、子どもの学年と本の名前を添えるだけ。AIに頼むのは、感想文を書くことではありません。親が子どもに聞くための「たたき台」を出してもらうことです。

たとえば、主人公がある大きな決断をする場面について、子どもが「あそこ、ちょっとびっくりした」と言ったとします。それをAIに渡すと、「主人公の行動が急すぎて、納得できなかったのかな?」と少しズラして返してくる。すると子どもは、「ちがう、納得できないんじゃなくて、びっくりはしたけど、なんかわかる気もした」と直す。その「びっくりはしたけど、わかる気もした」が、もう立派な感想文のタネです。そこから、「どこが少しわかる気がしたの?」「あなたならどうする?」と聞いてみる。そうして少しずつ膨らませていきます。

私はそれをその場でメモして、あとで本人に渡します。原稿用紙に向かい、どの言葉を使うかを選び、文章にするのは、最初から最後まで子ども本人です。そこは譲らないようにしています。

我が家の場合の、読書感想文でのたたき台の相手としてAIを使う流れをまとめると、こんな感じです。

① AIに役割を伝える(「少しズレた返しをして」「代筆しないで」「気持ちを先回りしないで」、子どもの学年と本も)
② 本について、子どもがポロッと言ったことを聞き取り、AIに渡す
③ AIの少しズレた返答に、子どもが「ちがう、こういうこと」と言い直す。一度で終わらせず、角度を変えて何度か往復する
④ 出てきた子どもの言葉を、親がメモする
⑤ そのメモをもとに、子ども自身が感想文を書く

子どもの言葉が出てこないとき

少しズレた受け止め方をしてほしいだけなのに、AIは子どもがまだ言葉にしていない気持ちまで、先回りして文章にしてしまうことがあります。本当は、うまく言えないモヤモヤをしばらく抱えて、ぴったりの言葉に自分でたどりつく時間こそが大事なのに。だから私は、答えを急がせないようにしています。はじめの仕込みで「気持ちを先回りして代弁しないで」と添えていたのも、そのためです。

そして、これがどの子にも合う方法だとも思っていません。

モヤモヤを抱えきれず、子どもが「もうできない」「もうわからない」となってしまう日もあります。そんなときは、無理に続けない。今日はここまで、と親のほうから終わりにしてしまっていい。言葉を探す時間が、お互いに嫌な時間になってしまったら、本末転倒だからです。

「うちの子は『ちがう』すら言わない」という日もあると思います。それでも大丈夫。ズレた文章を見て顔をしかめた、笑った。その小さな反応も、立派な手がかりです。すぐに作文にしようとしなくてもいいと思います。まずは、その子が何に反応したのかを一緒に探すところからで十分です。

なぜ親だけでなく、AIを使うのか

それなら、親が自分で少しズラして聞けばいいのでは、と思う人もいるかもしれません。
本当にその通りです。親ができるなら、それがいちばん自然だと思います。
ただ、私は親として横にいると、つい自分の答えに近づけたくなってしまいます。「こういうこと?」「こう書けば?」と、気づかないうちに誘導してしまう。子どもが言葉に詰まると、待てずに先回りしてしまうこともあります。

AIを間に置くと、少し距離ができます。親も「AIがこう言ってるけど、どう思う?」と聞ける。もちろん、AIの返答をそのまま使うわけではありません。AIは、親子の会話を始めるための道具。そのくらいの距離感が、我が家には合っていました。

家庭ごとに合う使い方を探していく

このやり方が正解だとも思っていません。いろいろ試してきて、いまの我が家では言葉が出やすい方法のひとつだと感じています。

何を大事にするかは、家庭ごとに違います。これは譲れないというご家庭のルールも、最初に伝えておくといいと思います。

返ってきた答えが「なんか違う」のは、よくあることです。さっきの聞き方は強すぎたみたい、今日はこの話題から入ってみようと、その日の手応えを見ながら、何度も対話を重ねていく。一発で正解を出そうとするより、その試行錯誤のほうがおもしろい。私はそう感じています。

おわりに

ふつう、AIには正解を出してもらおうとします。でも、ここで紹介した使い方は少し違います。正解を書かせるのではなく、あえて少し外れた受け止め方を出してもらい、子どもの「ちがう」を引き出す。ゼロから探すのは苦手でも、ズレを直すことならできる場合があるからです。

AIを使ったからといって、急に楽になるとは限りません。それでも、親が代わりに書くのでも、子どもを問い詰めるのでもなく、子どもの言葉が出てくるまで待つための道具としてなら、試してみる価値はあるのかもしれません。

たどたどしくても、最後に原稿用紙に残るのが子ども自身の言葉なら、それがいちばんいい感想文だと思います。

その言葉を一緒に探しているうちに、「この子はこんなことを考えていたんだ」と、親のほうが驚かされることもあります。この夏の読書感想文が、親子であれこれ話しながら試行錯誤する、少し楽しい時間になったらいいなと思っています。


(文:宮崎真理)

宮崎真理

神戸大学・大学院卒業後、オムロン株式会社で技術職を経験。 結婚・出産を経て、東京で男子3兄弟を育てながら、 生成AIを家事・育児に本格活用し始めたのは2023年のこと。
「難しそう」「専門的な知識が必要」と思われがちなAIを、 普通のママ目線で実践・発信したことで大きな反響を呼び、 NHK・日本テレビ・フジテレビをはじめ多数のメディアに出演。
2026年3月、1000日以上の実践から厳選した60の活用例をまとめた 初の著書『AI×家事』(扶桑社)を出版。 同年、「WOMAN AI AWARD 2026」ファイナリストに選出。

X:@m316jp2
note:https://note.com/m316jp2

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