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掲載
2026年10月23日 16:49
更新
2026年10月23日 18:04

雷が鳴りだした!木の下に逃げるのは危ない?車の中は安全?親子で知りたい天気の知識

外出先で急に雷が鳴ったら、子どもにどう行動するよう伝えていますか? 木の下は安全? 車の中は大丈夫? いざというときに備えて、親子で知っておきたい雷の危険性や正しい避難方法について、雲の研究者・荒木健太郎さん監修のもと、気象予報士でフリーアナウンサーの三上萌々さんに聞きました。

雷が起こるかどうかこれでチェック!

積乱雲,すごすぎる天気の図鑑,荒木健太郎
高い空まで成長し、激しい雷雨をもたらしている積乱雲。写真:『すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)より

――雷はどのような仕組みで起こるのでしょうか?

三上萌々さん(以下、三上) 雷は積乱雲(せきらんうん)という雲によってもたらされます。なので、積乱雲は別名・雷雲(かみなりぐも)とも呼ばれます。
積乱雲の中では、氷の粒同士がぶつかるなどして電気の偏りが生じます。電気の偏りが大きくなると放電が起こります。この放電現象が雷の正体です。

雷,すごすぎる天気の図鑑,荒木健太郎
雷は積乱雲の真下だけでなく、雲の横に落ちることも。写真:『すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)より

――雷が光ったりゴロゴロ鳴っている時に、今いる場所からどのくらい離れているか知る方法はありますか?

三上 雷までの距離は次の式で計算することができます。

雷が光ってからゴロゴロ音が聞こえるまでの秒数 × 340 = 雷までの距離(m)

三上 光は一瞬で届きますが、音は空気中を1秒あたり約340m進みます。雷をもたらす積乱雲の距離が遠ければ遠いほど、音のほうが後から聞こえることになります。

――ということは、雷がピカッと光った10秒後にゴロゴロ鳴ったら、10×340=3400だから、雷が3.4km先にあるということですね。それだけ離れていたら、まだまだ雷が近くに落ちることはないですよね?

三上 それは誤解です。雷の音が聞こえた時点で、すでにその場所ではいつ落雷が起こってもおかしくない状況です。落雷は、雲と地面との間で起こる放電現象で、これは積乱雲の真下だけでなく、少し離れた所でも起こります。ですから、「雷の音まで〇秒以上」あるから安全ということはなく、雷の音が聞こえる範囲は落雷の可能性がありますので、すぐに安全な建物内や車内に避難する必要があります。
大雨で車内に避難するのは大変危険ですが、雷に対しては車内への避難は有効です。

――雷が落ちそうな予兆はあるのでしょうか?

三上 雷は必ず積乱雲に伴って発生します。ですから、天気の急変を察知できる積乱雲の観天望気(かんてんぼうき)※が役立ちます。まずは、天気予報で「大気の状態が不安定」「雷」「竜巻」などのキーワードを見聞きしたら、「頭巾雲」「かなとこ雲」「乳房雲」など、天気の急変を前もって知らせてくれる雲や、空模様の変化に注意するようにしましょう。それらの兆しに気づいたら、気象庁ウェブサイトで「雨雲の動き」をチェックして、行動に移すといいと思います。

※観天望気(かんてんぼうき):空や雲を見て天気の変化を予想すること

雷の種類とは?

――雷には種類はあるんでしょうか?

三上 雷は発生する気象状況によって4種類あります。
強い日差しで地表面付近が温められ、大気の状態が不安定になることで積乱雲が発達し、発生する「熱雷(ねつらい)」、寒冷前線などの前線の通過に伴って発達する積乱雲による「界雷(かいらい)」、これらが複合して発生する「熱界雷(ねつかいらい)」、台風などの低気圧の中心付近で発達する積乱雲による「渦雷(うずらい)」があります。

――雷といえばビカビカ光るイメージがありますが、あのビカビカにも種類はありますか?

三上 雷が光るのは、放電経路が光る現象で「電光(でんこう)」と呼ばれます。光そのものに種類があるわけではありませんが、雷の放電には大きく分けて「対地放電」「雲放電」の2種類があります。対地放電がいわゆる落雷です。一方、雲放電は雲と雲の間や積乱雲の中で発生する放電です。

対地放電をする雷,すごすぎる天気の図鑑,荒木健太郎
細く枝分かれしながら対地放電をする雷。写真:『すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)より

――積乱雲を見ていて、雲放電だけしか起きてなかったら安全なんでしょうか?

三上 雲放電が起こっているということは、そこに積乱雲があるということですから、安全とは言えません。

――じゃあ、遠くで雷が光っていたとしても、のんきに眺めていたらダメなんですね。つい親子で見たくなっちゃうんですが。

三上 雷の電光は、美しいですし魅力的ですが、眺めるなら安全な建物の中で、しかも外から室内に繋がる電話線や電源コード、外部と接している壁などからも1m以上は離れたほうがいいようです。YouTubeなどでも撮影された雷は見られるので、雷をじっくり見るならそういった動画や画像を見ることをおすすめします。

積乱雲が次々発生して数時間雷が続くことも

――雷はどのくらい起こり続けるものなんでしょうか?

三上 一度の落雷にかかる時間は1秒程度ですが、それだけで雲内の偏った電気が解消されるわけではありませんので、積乱雲があるうちは複数回、落雷する可能性はあります。
1つの積乱雲の寿命は30分~1時間程度ですが、積乱雲が発生しやすい状況が続けば、雷の発生しやすい状態も続きます。

雷からの避難先にいい場所、危ない場所

――屋外にいる時に雷が鳴り始めたら、どこに逃げればいいんでしょうか?手近な建物に逃げればいいんですか?

三上 物置小屋や屋根のみのガレージのような建物ではない住宅やビル内、もしくは車(オープンカー以外)の中に避難してください。お子さんが学校にいる時は、校舎の中に避難するようにお伝えいただければと思います。
車のボディは金属製なので、雷が落ちても電気はボディからタイヤを伝って地面に流されるため安全です。ボディの金属部分に触れないように、車内では中央の方に寄っていただくとより安全ですね。

――逆に、ここにいると雷が落ちやすい、という場所はありますか?

三上 雷は高いところに落ちやすいので、開けた場所に立っていたら一番高い自分が落雷を受ける可能性があります。そういう意味では学校の校庭やゴルフ場、屋外プール、運動場にいるのは大変危険です。また、公園の東屋、山頂や尾根にある山小屋なども危険です。
絶対に避けてほしいのは、木の下での雨宿りです。雨が降ると、つい木の下に逃げ込みたくなるかもしれませんが、特に高い木には落雷しやすい上に、木よりも人間のほうが電気を通しやすいので、木の幹や枝から近くに居る人に飛び移ることがあります。これは「側撃雷(そくげきらい)」と呼ばれる現象です。
雷鳴が聞こえたら、すぐに木などの高いものから少なくとも4m以上離れてください。お子さんには、急な雷雨の時に木の下には逃げ込まないようにしっかり伝えてください。

――避難する場所がなくて屋外にいるしかない時は、どうすればいいですか?

三上 すぐに木や電柱や鉄塔、建物などの高いものから4m以上離れてください。そもそも雷の可能性があるときに「避難する場所がなくて屋外にいるしかない」状況を避けることが大切です。

――避難しているうちに雷雲が通り過ぎたら、すぐ外に出ていいんでしょうか?

三上 雷の音が聞こえるうちはまだ危険なので、そのまま建物内や車内にとどまってください。気象庁ウェブサイトの「雨雲の動き」のページでは、強い雨の降っている場所のほかに、雷の発生状況(前5分間の雷の状況)や、1時間先までの活動度の予想(雷ナウキャスト)も見ることができますので、これらを活用して、雷鳴が聞こえなくなって短くとも30分以上経ち、安全が確認できたら外に出るようにしてください。

(企画・構成 大崎典子)

プロフィール

荒木健太郎(監修)
気象庁気象研究所研究官、雲研究者。1984年生まれ、茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。専門は雲科学・気象学。防災・減災をめざして、災害をもたらす雲のしくみの研究に取り組んでいる。映画『天気の子』気象監修。主な著書に『すごすぎる天気の図鑑』(KADOKAWA)など。

三上萌々(インタビュー)
気象予報士、防災士、フリーアナウンサー。1995年生まれ、千葉県出身。慶應義塾大学理工学部応用化学科卒業。東京海上日動火災保険勤務を経て、2023年以降、TBS NEWSでキャスターを務めるなど、フリーアナウンサーとして活躍中。

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