ライフ ライフ
掲載
2026年10月22日 10:31

「なぜ私が」より「明日どう生きるか」 梅宮アンナさんが乳がん経験で得た考え方

2024年、梅宮アンナさんは自身の胸の異変に気が付きました。すぐに病院を受診すると、希少がんである乳がん「浸潤性小葉がん」にかかっていることが判明。それから2年、梅宮さんは何を考え、どのような活動をしてきたのかーー。

梅宮アンナさん(提供写真)

■毎日のように届くDM「泣きながら書いているんだな」

10月は、乳がんの早期発見・早期治療の大切さを伝える「ピンクリボン月間」。乳がんの経験をSNSや講演活動を通じて発信している梅宮アンナさんは、自らの体験を伝えることで「患者だからこそ見える景色」があると語ります。

女性専用の健診・外来クリニック「クレアージュ」が開催したピンクリボン月間のトークイベントに登壇した梅宮アンナさんに、乳がん公表後の変化や治療との向き合い方、子育て中のママたちへ伝えたいことを聞きました。

――梅宮さんが乳がんの闘病を公表されてから約2年が経ちました。この2年、標準治療をしながら、ご自身の経験について広く伝える活動を精力的にしていらっしゃいますよね。

梅宮アンナさん(以下、梅宮) 最初に乳がんを公表したときは、とにかく一人でも多くの人に伝えたいという思いがありました。私はInstagramしかやっていなかったので、自分のSNSだけで発信しても、自分のファンにしか届かない。それでは広がらないなと思ったので、もともと連載していた雑誌に連絡をして、「実は私、がんになりました。私のことを書いてください」とお願いしました。それが現在の活動につながっています。
病気を公表してから、いろいろなところから「インタビューをしたい」と声をかけていただきました。最初は一時的なものかなと思っていたのですが、話せば話すほど活動の幅が広がっていき、最近ではクリッカーでスライドを操作しながら、60分間一人で講演することもあります。先日は香港の乳がん学会でも自分の体験をお話しさせていただきました。

――活動を続けるなかで、どのようなことを感じていますか。

梅宮 医師から見た景色と、私たち患者が経験したことや感じたことは、全然違うんですよね。医師はがんを治療する専門家ですが、実際にがんを経験したわけではないので、患者の気持ちまではわからないこともあります。だから、「先生、患者はこういう思いなんだよ」と伝えると、「なるほど」と受け止めてくださいます。
「痛い」「怖い」「少し気分が優れない」といった細かなことも、私たち患者が伝えていくことが大事です。そうすることで、新しい支援や取り組みが生まれていくのだと、この2年を通して感じています。

私のInstagramには毎日のようにDMが届きます。文章を読むだけで、「泣きながら書いているんだな」とわかるようなメッセージもあります。「アンナさんの活動や言っていることが、自分とまったく同じです」「自分だけじゃないと思えました」と伝えてくださる方もいます。「そうそう、そうなんだよね」という気持ちを声に出して伝えることは、とても大事なのではないかと思っています。

■「がんにならなければいけなかったのではないか」

――病気を経験した今、「あのとき、もっと自分の体を優先していればよかった」「こうしていればよかった」と感じることはありますか。

梅宮 実は……私は後悔が一つもないんです。私は性格も正直ですが、体も正直です。特に体の声を無視しないことがすごく大事なんですね。
もともと感覚で生きているところがあって、自分のことを絶対に無視しないんです。「今ちょっと疲れたな」と思ったら休みますし、どこかが痛いと感じたら、「どうして痛いんだろう」と考えます。常に自分の状態に目を向けてきたので、過去を振り返っても「あのとき、こうしていればよかった」とは思わないですね。

「なぜ私ががんになったんだろう」「何がいけなかったんだろう」と悩む方もいると思います。でも、それには答えがないんですよ。
私も、「髪をハイトーンにしているからだ」と言われたり、「なぜがんになったのか占います」と言われたり、いろいろなことがありました。
でも、「なぜがんになったのか」「どうして私が」と考えるよりも、もうがんになっているのだから、「明日からどう生きるか」「どうやって治療しながら明るく生きるか」を考えたほうがいいと思ったんです。

もし、私ががんになった理由に一つ答えを出すなら、「がんにならなければいけなかったのではないか」と思っています。私が経験したことを、皆さんに伝える役割があるのではないかと。だから、がんになったことを悲しむだけではなく、「こんなにいろいろな経験ができるんだ」と受け止めています。
抗がん剤や手術、放射線治療を経験して、「こうやって治していくんだ」と知ることができました。それも私にとって必要な経験だったのではないかと思うので、後悔はありません。

(梅宮アンナさん)

■夜10時に寝て、朝5時に起きる生活「自分の体力は必ず温存」

――少し体調に違和感があっても、検診を後回しにしてしまう人は少なくありません。

梅宮 そうですね。でも、後回しにした分だけ、大きな代償になって返ってくることがあります。何よりも体が資本です。
特に子育てをしているお母さんは、「自分がやらなきゃ」「頑張らなきゃ」と無理をすることが当たり前になっている方も多いと思います。でも、自分が元気で初めて、みんなに優しくできるんですよね。
自分の限界や、どれだけ頑張っているかは、自分にしかわかりません。「疲れたな」「ちょっと休みたいな」と思ったら、休むことも仕事です。

これは、お母さんだけではなく、社会人の皆さんにも言えることだと思います。体が疲れたら、まず休む。そうしないと続きませんから。
フルマラソンでも、スタートからゴールまでずっと全力で走り続けることはできないじゃないですか。人生も同じです。要所要所で休みながら、自分の声を無視しないでほしいです。それが、みんなの幸せにつながっていくと思います。

――梅宮さんは、どのように休息を取っていますか。

梅宮 私は疲れたと思ったら寝ています。夜10時には寝ていますね。夕食は夕方5時に食べて、7時には寝る体制に入ります。夜の7時~8時にはもう寝巻きを着ていて、無駄に起きていません。若い頃からずっとそうです。夜が苦手なんですよ。
朝は5時に起きています。文章を書くのも朝です。朝6時くらいから、長いときは2時間ほどかけてSNSの文章を書くこともあります。朝が一番冴えているんです。
お昼ご飯を食べて、その後に予定がなければ、すぐ家に帰ってNetflixを見たりします。仕事のためにも、自分の体力は必ず温存するようにしています。そうやって自分を大事にしながら生きていくことが、特に今は必要だと思っています。

■「実はこれ、ウィッグなんです」

――梅宮さんは乳がんの標準治療として「抗がん剤、手術、放射線」をフルコースで経験。治療開始前に、医師から「体中の全ての毛がなくなります」と説明され、「自分の髪の毛がなくなってしまうということに大変ショックを受けた」と明かされています。治療に伴う外見的な変化に、どのように向き合われていますか。

梅宮 今の私を見て、「髪が伸びるのが早いね」と言われることもあるんですけど、実はこれ、ウィッグなんですよね。私は、見たときに不自然ではないスタイルを作ることに、かなりこだわっています。
がんになり、抗がん剤治療で髪の毛が抜けることになったとき、世の中にはたくさんのウィッグがありました。でも、「これはウィッグだとわかってしまうな」「病気の自分が見えてしまうな」と感じるものもあったんです。

もちろん私は病気を公表しているので、それ自体はいいのですが、どうしたら周りの人に自然に接してもらえるのか、ということがベースにありました。仕事をしている以上、「この人に仕事を頼みたい」と思ってもらうためにはどうしたらいいのか、とも考えました。だから、できるだけ以前の自分と変わらないスタイルにしたかったんです。

私はもともとハイトーンの髪なので、一般的な医療用ウィッグをそのまま使うと、自分らしくなくなってしまいます。今使っているものも医療用ウィッグですが、カラーリングも含めて、自分に合わせてカスタマイズしています。SNSなどを通じて、そういう商品があることを、皆さんにも伝えています。価格が抑えられて、きちんと素敵に見えるウィッグもあるんですよ、と。
治療によって心が傷ついているとき、少しでも明るい気持ちになるために、ウィッグは本当に大事だと思っています。

――最後に、子育て中の女性たちへメッセージをお願いします。

梅宮 子育てを頑張っているお母さんたちに、ぜひ伝えたいことがあります。
私にも子どもが一人いて、今は24歳になりましたが、小さいときは本当に大変でした。私の場合は親もいましたし、周りのいろいろな人を頼っていました。「人に頼ることはいけない」「休むことはいけない」と思っている方もいるかもしれませんが、とにかく自分の体が一番の資本です。
何かおかしい、いつもと違うと感じたら、すぐに病院へ行ってください。それは、自分のためだけではなく、家族のためでもあります。そして、周りの人を頼りながら、休みながら子育てをしていただきたいと思います。

(取材・文:マイナビ子育て編集部)

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-