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2022年12月02日 13:49 更新

【医師監修】妊婦はレバーを食べちゃダメ? 貧血対策はどうする?

妊娠中は貧血になりやすいことから、貧血予防に鉄分が豊富なレバーを食べる人が多いようです。しかしレバーは特に妊娠初期に過剰摂取に気をつけたいビタミンAも豊富な食材なので、注意が必要です。

妊娠中にレバーは食べてはいけない?

家族と食事をとる妊婦
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結論から先に言えば、妊娠中にもレバーを食べてはいけないわけではありません。

レバーはビタミンAも豊富

妊娠中は生理的に貧血になりやすいため、鉄分を補給するのは大切なことであり、レバーが多くの食材の中で特に鉄分が豊富なことは事実です。
そして、鉄と同様にレバーに豊富に含まれ、妊婦さんがとりすぎに気をつけなければならない「ビタミンA」もおなかの赤ちゃんの発達に必要な栄養素。ビタミンAはママも赤ちゃんも体内で合成することができないため、ママが適切に食事から摂取する必要があります。

妊婦のレバー、食べ過ぎに注意!

レバーの串焼き
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ですから多様な食材の1つとして、時々適量のレバーを食べることには問題はありませんが、鉄分の補給源をレバーに偏らせてはいけません。

どれくらいが適当かというと、「妊婦さんのレバー摂取量の上限」というのは明確にはなっていないようですが、国内の研究で、一般的なレシピの「鶏レバー串焼き(1本30〜40g)」、「レバニラ炒め(1人前50〜100g)」などを続けて食べると、とりすぎとなる可能性が指摘されています[*1]。

※鶏レバー50gに含まれるビタミンAは7000μgRAE、豚レバー50gは6500μgRAE、牛レバー50gは550μgRAE。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

ビタミンAはなぜ注意が必要?

ビタミンAを含む生レバー
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ビタミンAは肝臓などに蓄積され、とりすぎると過剰症になる可能性がある栄養素の1つです。妊娠期間中にかかわらず、サプリメントやレバー肉の大量摂取での健康被害が報告されています[*2]。

また、妊娠時(特に妊娠3ヶ月以内)の妊婦が1日3,000μgRAEを超えて摂取した場合は、赤ちゃんに先天異常が起こる可能性があるという報告もあります[*3]。内閣府・食品安全委員会は「妊娠3ヶ月以内または妊娠を希望する女性は、妊婦の推奨量を超えるような過剰摂取をしない」としています。つまり、妊娠初期は推奨量を上限とし、妊初期以外でも、ほとんどの期間、成人女性の1日の摂取推奨量・上限量を守ることが望ましいとされており、妊娠後期のみ付加量が定められています(表参照)。

表:妊婦のビタミンA推奨量

妊娠初期 妊娠中期 妊娠後期 上限
18~29歳 650μgRAE 650μgRAE 730μgRAE 2700μgRAE
30~49歳 700μgRAE 700μgRAE 780μgRAE 2700μgRAE

一般的な「鳥レバー串焼き」の場合、材料を1本25gとすると含まれるビタミンAは3500μgRAEで、推奨量だけでなく、1日の上限量2700μgRAEも上回ることになります。

野菜でとるのであればOK

メインディッシュと野菜
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なお、ビタミンAは緑黄色野菜からβ-カロテン<※>としてとることもできる栄養素で、その場合は過剰摂取を気にしなくてもOK。色の濃い野菜を積極的にとれば、心配せずにビタミンA補給ができます。厚生労働省も野菜からとるビタミンAに関して以下のように説明しています。

β-カロテンの過剰摂取によるプロビタミンAとしての過剰障害は、胎児奇形や骨折も含めて知られていないので、耐容上限量を考慮したビタミンA摂取量(レチノール相当量)の算出にはプロビタミンAであるカロテノイドは含めないこととした。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

出典: https://www.mhlw.go.jp

※β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAとなってはたらく「プロビタミンA(ビタミンAの前駆体)」。緑黄色野菜など植物性食品に存在します。

貧血予防・改善はどうする?

鉄は酸素の運搬に関わるので、赤ちゃんに酸素を届けるためにも十分に必要な栄養素です。鉄が不足して起こる「鉄欠乏性貧血」は早産や低出生体重児など、重大な問題の原因となることもあると報告されているので[*4]、すべての妊婦さんにとって予防が大切な病気と言えます。

予防のため、第一に大切なことは「妊婦健診の受診」です。妊婦健診で行う血液検査では、貧血のリスクがチェックされます。

貧血などについて主治医からアドバイスがあったら指示に従い、予防・改善していきましょう。

「鉄分を含む食材は緑黄色野菜や海藻、魚介類などいろいろあります。レバーにこだわらず多様な食材を食べ、鉄分を補給しましょう。

乳製品などに鉄分を添加した機能性表示食品などを適当に利用するのもいいでしょう。」

(松峯先生)

また貧血予防のためには鉄分だけでなく、鉄吸収を助けるビタミンCや、鉄と結びついてはたらくたんぱく質も必要なので、多様な食品をバランスよく食べることが大切です。

「栄養の偏りを防ぎたいときは『昨日、今日何を食べた』というより『1週間〜10日の間で何を食べた』と考え、特定のものに偏らなければいいと食事指導をしています。」

(松峯先生)

妊娠中の食事、ほかに注意することは?

メインのおかず(主菜)を食べるうえで、ほかに注意することをまとめます。

1. 肉や卵、生魚はしっかり加熱

妊娠中は食中毒などにかかりやすく、かかると非妊娠時と比べて重症化する場合があり、原因となる菌や虫によっては赤ちゃんへの感染や健康被害・発達遅延、早産、死産などの影響が出る場合もあります。

肉や卵、生魚はレアではなく「しっかり加熱」。加熱する野菜も「しっかり洗う」を忘れずに!

参考:厚生労働省「食中毒 重要なお知らせ 食中毒は家庭でも発生しています!」

2. 魚は水銀量に気をつけて選ぶ

メインのおかずのバランスをとるために欠かせない食材が魚類ですが、魚類に蓄積された水銀を体に取り込む量が多すぎると、赤ちゃんに影響が出ることがあります。
妊娠前や妊娠に気づかない時期(妊娠初期)に食べていた分は赤ちゃんに影響しないまま排出されると考えられていますが、妊娠に気づくころからは注意が必要になります。
水銀が含まれる量は魚によって異なり、妊娠中は食べる魚の種類と量に気をつける必要があります。

参考:厚生労働省「お魚について知っておいてほしいこと」

3. 野菜を使ったメインディッシュも!

野菜中心のメインディッシュ
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20代から40代の女性は脂肪からエネルギーをとっている割合が多く、食品ではビタミンやミネラルの供給源である野菜の摂取量が低いことがわかっています[*5]。

アスパラ、ブロッコリーなど植物性のたんぱく質が豊富な野菜もメインの材料に加えてバランスをとりましょう。豆類やトウモロコシなどの穀類も植物性たんぱく質や食物繊維などが豊富なので、あわせて活用しましょう。

まとめ

妊娠中に鉄分の補給源がレバーに偏るとビタミンAの過剰摂取につながってしまう危険があります。緑黄色野菜などの野菜から鉄分をとる分には、ビタミンAのとりすぎの心配はないことを覚えておき、バランスのよい食事を心がけてください。

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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