妊婦の天敵・貧血!予防・改善に即効性があるおすすめの食べ物は?【管理栄養士監修】
妊娠中に貧血を経験する妊婦は少なくありません。妊娠中は鉄の必要量が多くなるため、食事から意識して鉄をとる必要があります。貧血予防のための食事のポイントについてお伝えします。
妊婦は貧血に要注意!対処が必要な症状は?
妊婦は、妊娠していない時に比べて多くの鉄を必要とします[*1] が、多くの女性で摂取量が不足しています。
この症状、貧血の可能性あり?
貧血とは、血中のヘモグロビン濃度が低下した状態のことです。ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を担っているため、貧血になると疲れを感じやすくなったり、頭痛、息切れなどの症状が出てくることがあります[*] 。
ただし、症状が出なかったり、気づかなかったりすることもあるので、注意が必要です。
妊娠中の貧血によるリスク
妊婦が貧血となることでふらつきなどが起こり、転倒などのリスクがあります。
また、低出生体重児のリスクも上がるとされ、貧血と診断された場合には何らかの対処が必要となります。
妊娠中の貧血については、以下の記事も参考にしてください。
▶︎妊娠中、貧血になりやすいのはなぜ? 主な症状と予防・改善の対策
妊婦の貧血に即効性のある食べ物って?
貧血の症状があると、すぐにでもどうにかしたいと思うものですよね。では、貧血改善に即効性のある食べ物はあるのでしょうか?
貧血予防・改善は毎日の食事が重要
貧血は血中のヘモグロビン濃度が低下して起こります。ヘモグロビンは赤血球の構成要素の一つとして体内で合成されるもので、その合成には鉄が必要となります[*2] 。
鉄を多く含む食物の摂取、あるいは処方される鉄剤の摂取が貧血改善に欠かせませんが、即時的に貧血症状が改善することはありません。体内で赤血球を正常に合成し続けるためには、継続して鉄を摂取する必要があるのです。そのためには、毎日の食事が大切になってきます。
普段から鉄分がとれる食事を意識
赤血球の合成に必要な栄養素、特に鉄を食事から摂取することは貧血の予防の一つとなります。毎日食べる食事の中で、鉄を多く含む食材を意識して取り入れるようにしましょうね。
妊娠中の食事で貧血対策!この食べ物はおすすめ?
貧血対策になると言われている鉄を多く含む食材について、食生活に取り入れる際のポイントを紹介します。
プルーン
ドライフルーツのプルーンには、鉄分が多く含まれます。おやつなどに取り入れると良いでしょう。鉄分だけでなく、妊娠期のマイナートラブルである便秘・むくみの解消に役立つ食物繊維やカリウムも豊富に含んでいますよ[*3] 。
妊娠中のプルーンについて、以下の記事も参考にしてください。
▶︎妊婦によい食べ物・プルーン!食べ過ぎに潜むリスクに注意
大豆食品
豆乳や豆腐などの大豆食品には鉄が多く含まれています[*3] 。
しかし、豆類には鉄とともに、体内で鉄を吸収する際に阻害作用をもたらすフィチン酸も多く含まれています。フィチン酸による吸収抑制をビタミンCが改善するという報告もあるため[*4] 、大豆食品のみに頼るのではなく、さまざまな食品と一緒に食べることが重要と言えます。
緑黄色野菜
緑黄色野菜、中でも小松菜やほうれん草には鉄が豊富に含まれています[*3] 。
とくに小松菜は妊娠中に意識して摂りたいカルシウムも豊富に含んでいます。野菜に含まれる鉄分はタンパク質やビタミンCがあると吸収率が上がると言われています。お肉と炒めるなど他の食材と一緒に料理してみてくださいね。
あさり・しじみ
あさりやしじみなど日常の食事にプラスしやすい貝にも鉄が豊富に含まれています[*3] 。汁物にしたり、野菜と一緒に蒸しても旨味たっぷりでおいしいですよ。
食事で貧血が改善しないときは
食事への配慮は必要ですが、貧血症状を自覚している場合は必ず受診・相談もしましょう。
症状が出ているときは早めに受診
貧血にはいくつか種類があり、鉄不足によって起こるものが多いものの、他の原因によって生じていることもあります。疲れやすいなどの症状を自覚している場合には早めに受診しましょう。
仕事をしている場合は無理せず休むことも大切
貧血症状の度合いによっては、通勤中や仕事中にふらついて転倒してしまうこともありえるため、お仕事をしている場合はお休みする方が良い場合もあります。
主治医に相談した上で、必要であれば母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)をもらって雇用側と一時的に仕事を調整することも可能です。無理をしすぎないようにしてくださいね。
▶︎「母健連絡カード」(母性健康管理指導事項連絡カード)について
まとめ
貧血は自覚症状がない場合もありますが、貧血症状が続くことで体内に酸素が行き渡らない状況が続き、徐々に調子が悪くなっていきます。すぐに症状を改善させることは難しいため、普段からの食事で鉄を意識することは重要です。出産後、子供の食事を考える上でも貧血予防は大切です。今のうちから、食生活を整えて準備できると良いですね。
(文:奥野由 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 Ⅱ 各論 1 エネルギー・栄養素
[*2]福田満, 編. 新 食品・栄養科学シリーズ 生化学. 第1版. 化学同人, 2003年.
[*3]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章(データ)
[*4] 憲朗山本, と昭人石神. 「生体における鉄の吸収動態とビタミンcの関係(企業のページ)」. ビタミン 88, no. 5–6 (2014年): 297–304.
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます