
妊婦によい食べ物・プルーン!食べ過ぎに潜むリスクに注意【管理栄養士監修】
女性に大切な栄養を多く含むことで知られるプルーン。妊娠中の女性にとっても嬉しい食品です。しかし、毎日プルーンばかり食べることは注意が必要かもしれません。どのようなことを意識して食生活に取り入れると良いか解説します。
妊婦にうれしいプルーンに含まれる栄養素
プルーンには、妊娠期に多く摂りたい赤ちゃんとママ両方に大切な栄養素が含まれています。
赤ちゃんの正常に発育を助ける「葉酸」


葉酸は胎児の神経管形成に関わると考えられており、妊婦さんは妊娠していない時よりも葉酸を多く摂取することが推奨されています。
生のプルーンは果物の中でも葉酸が比較的豊富に含まれていますが、乾燥させたものでは葉酸は減ってしまいます。生のプルーンを見つけたら購入してみても良いかもしれませんね。
なお、ドライプルーンにはナトリウムの排泄を促してむくみ対策にもなるカリウムも豊富ですよ。
貧血予防に欠かせない「鉄分」
妊娠中は、出産に向けて血液量が増加することなどから鉄欠乏性貧血になりやすくなっています。この貧血対策には鉄分の摂取が欠かせません。その点、ドライプルーンには鉄分が多く含まれています。
便秘対策に役立つ「食物繊維」
妊娠中はホルモンバランスや、大きくなった子宮に腸が圧迫されることによって便秘になりやくなっています。
便秘に対する食事からのアプローチとして、食物繊維を取り入れることが有効です。ドライプルーンは果物の中でも食物繊維が多いことが特徴です。ヨーグルトに入れたり、サラダや和え物に使ってみても良いですね。
プルーンは食べ過ぎに注意!過剰摂取のリスク
妊娠期に嬉しい栄養素を多く含むプルーンですが、食べ過ぎてしまうことによるデメリットもあります。以下のことに注意が必要です。
糖質の摂り過ぎになるリスク


ドライフルーツ全般に言えることですが、その甘味から想像がつく通り糖質が多く、エネルギー量(カロリー)が多いことが特徴です。ドライプルーン5粒で白飯1/2杯分のエネルギー量になるため、栄養価が高いからと頻繁に食べ過ぎるのは良くないですね。粒になっているのでパクパクと食べてしまいやすいですが、量には気をつけましょう。
下痢を引き起こすリスク
食物繊維が豊富であるため、一度に多量食べると便の調子が変わる可能性があります。
また、プルーンに多く含まれるポリフェノール類は抗酸化作用があることで注目されていますが、妊娠期の摂り過ぎによる胎児への影響も報告されているため[*1]、一つの食品を偏って摂取することがないようにしたいですね。
ポリフェノール過剰摂取のリスク
妊娠後期に多量のポリフェノールを摂取すると胎児の動脈管早期収縮などが見られたという報告もあります[*1]。なんらかの健康効果を期待してプルーンを毎日たくさん食べたり、また同時にルイボスティーなどのポリフェノールを含むものとあわせて摂取したりすることは避けましょう。
プルーンの適切な摂取量
プルーンを食べることによるメリットはありますが、多量に食べ過ぎることにはデメリットもあります。どのくらいの量を食べれば良いでしょうか?
妊娠中は何個までプルーンを食べてよい?


プルーンは鉄分や食物繊維が豊富ですが、食べ過ぎることによるデメリットもあります。妊娠初期は何個まで食べて良いという明確な基準はないですが、妊娠後期はポリフェノール過剰摂取をさけるために3個までにとどめて、毎日食べるということは避けるといいでしょう。濃縮エキスなどにも注意が必要です。
嗜好品の一つとしておやつや料理に取り入れて楽しむ程度にできると良いでしょう。
まとめ


手軽に妊娠期に大切な栄養素を補給できるプルーンですが、毎日プルーンだけに頼り過ぎてしまうことによるデメリットもあります。おいしくてついパクパクとそのまま食べてしまいますが、食べ過ぎはやめておきましょう。そのまま食べるだけでなくお料理にも良く合うので、他の食材と組み合わせて色々な方法で取り入れてみてくださいね。
(文:奥野由 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]『健康食品』の安全性・有効性情報 セイヨウスモモ、プルーン ※参照日:2021年3月18日
日本人の食事摂取基準 2020年版
日本食品成分表2020年版(八訂)第2章(データ)
内田季之, 妊婦の貧血,Medical Practice 36(8): 1219-1222, 2019.
杉村基,(2) 妊婦で鉄剤をいかに使うか? 留意点は?薬局 71(10): 3143-3148, 2020.
中山毅, 6) 妊娠中の便秘症治療における腹痛・腹部膨満感に対する, 大建中湯と酸化マグネシウムとの比較,産婦人科漢方研究のあゆみ (31): 17-20, 2014.