
【医師監修】受精卵の着床と妊娠の関係。妊娠するまでに起こること
卵子と精子が出会ってできる「受精卵」。これが「着床」するとはどういうことなのでしょうか。また、妊娠とはどういった関係があるのでしょうか。ここでは受精卵の着床とは何のことで、いつ起こるのか、どんな意味があるのかについて解説します。
「受精卵の着床」とは


まずは、「受精卵の着床」では何が起こるのかについて説明します。
着床=妊娠が成立
受精卵が子宮内膜の表面にくっつき、その中にもぐり込んでいくこと、これが「受精卵の着床」です。
子宮内膜にもぐり込んだ受精卵は、根のような組織(絨毛)を伸ばし子宮から栄養を吸い取って大きくなっていきます。「受精卵の着床」が起こってはじめて「妊娠した」といえるようになります。
妊娠までに起こること
ここでは、着床を含め、妊娠するまでに女性の体の中で起こる出来事をおさらいしておきましょう。

(1)排卵
生理の始まった日から数えて14日目ごろ、卵子が卵巣から「排卵」されます(生理周期が28日の場合)。卵巣から飛び出た卵子は、卵管の先にある卵管采というフサフサした部位にキャッチされ、卵管に入ります。
(2)受精
腟に射精された精子は子宮内を通り、卵管にたどり着きます。そこで卵子と出会い、「受精」します。
(3)着床
卵子と精子が出会ってできた受精卵は、細胞分裂をしながら卵管の中を移動し、子宮にたどり着きます。子宮内に入った受精卵は、子宮の内側表面にある内膜にくっつき、完全に子宮内膜に包まれるまでもぐり込んでいきます。これが「着床」です。
着床が始まるのは受精後5~6日ごろで、12日ごろには完了します。
受精卵が着床するころ。妊娠超初期Q&A
受精卵が着床するのは、生理周期に狂いがなければ生理開始予定日の数日前くらい。このころのことは俗に「妊娠超初期」とも呼ばれます。この時期、気になることをQ&Aにまとめました。
Q.妊娠検査薬を使えるのはいつから?
A. 通常タイプは生理開始予定日の1週間後から
通常の妊娠検査薬は、生理開始予定日の1週間後(妊娠している場合、妊娠5週に当たる)からの使用がすすめられます。なお、生理開始予定日当日から使える早期妊娠検査薬というタイプもあります。
Q.体調の変化から妊娠したかどうかわからないの?
A. 生理前の不調と区別のつかないことが多い
経験者に聞くと、妊娠したらこんな変化があったと教えてくれるかもしれませんが、それはあくまで結果論。妊娠したことで体に現れる可能性がある変化と、妊娠していない生理前に起こることがある変化を、その症状だけから区別するのは難しいです。
下記の記事では、妊娠したことで体に現れる可能性がある変化を挙げています。こうした変化だけから妊娠したかどうかを知ることはできませんが、いくつか該当するものがあったら妊娠検査薬を使って調べてみると良いでしょう。
Q.妊娠するために気を付けたほうがいいことはある?
A.生活習慣などを整える&医療機関でチェックしてもらっておく
自然に妊娠するためには、以下のような点に気を付けると良いでしょう[*2]。
☑ 夫婦生活は積極的に(とくに排卵日の3日前から排卵日まで)
☑ 太りすぎ、やせすぎの場合は適正体重に戻す
☑ 喫煙、過度な飲酒・カフェイン摂取は避ける
☑ 妊娠前に医療機関でメディカルチェックを受けておく
もっとくわしく知りたい人は下記の記事も参考にしてみてください。
まとめ
受精卵の着床と妊娠の関係について解説しました。受精卵が子宮内膜に着床することで、妊娠が成立する、ということは意外と知らない人も多いのではないでしょうか。排卵、受精など、様々なハードルを乗り越えた受精卵だけが子宮にたどりつき、着床することができます。妊娠・出産は奇跡の積み重ねとよく言われますが、あまり焦らないようにしつつ、メディカルチェックを受けたり、生活習慣の改善に努めながら、赤ちゃんが来てくれるのを待ちましょう。
(文:マイナビ子育て編集部/監修:窪 麻由美先生)
※画像はイメージです
[*1]病気がみえるvol.10産科, メディックメディア, p.6, 2018.
[*2]Optimizing natural fertility: a committee opinion. Fertil Steril. 2017 Jan;107(1):52-58
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます