【医師監修】排卵日ごろに起こる症状|腹痛・腰痛・出血・おりもの変化など
生理ではないのに下腹部痛があったり、少量の出血があったりすると、ドキドキしてしまうもの。しかし、それはもしかしたら排卵日ならではの症状なのかもしれません。排卵日前後によくある症状について詳しく説明します。
排卵日っていつ?
女性の体には、月経(以下、生理)を中心とした約1ヶ月間の周期があり、生理が始まってから約2週間(生理周期が28日の場合)は卵胞期と呼ばれます。その後、卵巣にある卵胞から卵子が放出される「排卵」を迎えますが、この時期のことを排卵期といいます。
排卵期は基礎体温が高温相に移行するタイミング
基礎体温を毎日測っているのであれば、ちょうど低温相(低温期)から高温相(高温期)へと移行する境目にあたる時期が排卵期にあたります。
なお、低温相から高温相へと移動する前に、基礎体温がグッとさがる日があります。これを「体温陥落」といい、その日の前後に排卵が起こっていると推定できます(体温陥落は必ずしも起こるとは限らない)。また、個人差はありますが、排卵期に体調不良に悩む女性もいます。
生理開始予定日の14日前ごろ
次の生理が始まる約14日前に排卵が行われます。ただし、これは生理周期が安定している場合に限ります。なお、卵子と精子には寿命(受精可能な時期)があり、排卵期に合わせてセックスすると妊娠しやすいです。
排卵日ごろはどんな症状がある?
排卵日前後にはさまざまな不快な症状があり、症状が強い人だと戸惑ってしまうかもしれません。ただし、排卵期の体の不調には個人差があり、排卵期になると毎回のように症状を感じる人もいれば、まったく感じない人もいます。
症状の例としては以下のようなものがあります。
その1.おなかの痛みや腰痛
排卵日前後の症状として訴える人が多いのが「排卵痛」という排卵時の痛みです。排卵時の痛みは軽いことが多いのですが、なかには腰痛を訴える人もいます。
おもな症状は、片側の下腹部の痛みや、引っ張られるような痛み、おなかが張った感じ、そしていつもと違う違和感などが挙げられます。
排卵した卵巣側の下腹部に痛みを感じることが多く、また、排卵痛のあった女性の77%は実際の排卵の24~48時間前に痛みを感じるという報告もあります[*1]。しかし、痛みの強さや出現のタイミング、痛みが続く時間は個人差があります。どうやら、排卵する瞬間に排卵痛を感じるとは限らず、痛みは複合的な要因によるものだと考えられています。
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その2.出血
排卵期に出血することもあります。これは、排卵前後でエストロゲンの分泌量が増えたり減ったりすることが原因です。
排卵期の出血は少量で期間が短い(2~3日間)のが特徴です[*1]。
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その3.おりもので下着が濡れる!
排卵に向けて、エストロゲンの分泌が増えていきます。それに比例して、頸管粘液の量も増え、おりものとして体外に出ます。
なお、このときのおりものは、無色透明で5~10cmほどのびます[*2]。人によっては下着が濡れることもあります。
排卵が終わるとエストロゲンの量が減り、おりものの性質も変わります。排卵後のおりものは、色が不透明になり伸びなくなります。
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排卵の症状ではなくPMSの可能性も
人によっては、排卵期だけでなく生理前まで不快な症状が続くこともあります。その場合は、PMS(月経前症候群)の可能性もあります。PMSの症状では、胸の張りや頭痛、むくみ、おなかが張った感じになる以外に、イライラや抑うつ状態などのメンタル面での不調を感じることが多いです。PMSの症状は生理が始まると解消されるのが特徴です。
排卵によるつらい症状への対処法
排卵日前後のなんとなくいやな症状。どのように対処すればいいのでしょうか。
リラックスを心がける
排卵期の痛みや出血については、ほかに病気が隠れているのでなければ、あくまで一過性のものであり、特別な治療は必要ありません。
排卵出血やおりもの増加は避けにくいですが、痛みに関してはストレスが多いとより強い痛みを感じやすくなるとされています。ゆっくり入浴をしたり、十分な睡眠をとりつつ、なるべくリラックスを心掛けるようにしましょう。
出血が続く・多い、痛みが強い などは受診を
なお、出血が多かったり、出血がなかなか止まらなかったり、痛みが強かったりするのであれば、迷わず受診してください。子宮筋腫や子宮内膜症などの、婦人科系の病気が隠れている場合もあります。
このような病気由来の出血や痛みを排卵痛だと思っている人も多いので、普段から基礎体温をつけておき、痛みや出血が本当に排卵の時期にあるのかを確認し、診断の参考にできるようにしておくとよいでしょう。
まとめ
生理中ではないのに、おなかが痛かったり、出血があったりするとびっくりしますよね。しかし、排卵の時期にそのような症状が出る人は決して珍しくありません。排卵期はホルモンバランスが急激に変化するので、不快な症状が出やすくなります。通常は特に治療が必要なものではありませんが、婦人科系の疾患が隠れていることもあります。基礎体温などを参考に排卵時期との関連を確認するほか、症状がひどいときは受診するようにしましょう。
(文:今井明子/監修:齊藤英和先生)
※画像はイメージです
[*1]内田明花, 丸山哲夫:排卵期出血・排卵痛の診断と治療, 産科と婦人科, 11(61), 1333, 2018
[*2] 「助産学講座2 母子の基礎科学」(医学書院)p.35-6
「病気がみえる vol.9 婦人科」(メディックメディア)
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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