次男と末娘は自閉症スペクトラム。現実を受け入れる日までのこと
子供3人中、下の2人が発達障害を持つ母の窪田さん。社会福祉士、精神保健福祉士でもある窪田さんのお子さんが発達障害を診断されるまでをお届けします。
我が家の子供たち3人中、次男と末娘が自閉症スペクトラムと診断されました。うち小学2年の次男は現在特別支援学級に在籍しています。残る一人は小学5年の長男がいます。長男は過去に自閉症の疑いと言われたことがありますが、後に問題なしとなりました。
次男が「発達障害かも?」と言われた時も長男の時のように「いずれ疑いはなくなるかも」と思い、言われるままに市の適応訓練に通わせていました。ところが次男の場合は、長男の時のようにはいきませんでした。
きっかけは「言葉が増えない」こと。でも治ると信じて
次男がおかしいと感じたのは2歳の頃でした。1歳過ぎに「ママ」「はい」程度の言葉を発して以降、語彙が増えずの状態が続いていました。また、食べ物に対する執着が激しく、長男のおやつを盗み食いする、勝手におやつの戸棚を開けて食べる、買い物に行く前に「今日はおやつを買わないよ」と言い聞かせたつもりで出発しても結局スーパーでおやつのおねだり。「今日は買わない約束だよ」と言っても聞き入れずひたすらギャン泣き。私自身おやつノイローゼになりそうでした。
長男が2歳ごろに急に語彙が増え、しゃべりだしたということもあったので、それより言葉が遅い次男のことがとにかく心配になり、市の保健センターに相談しました。その時の結論は「様子を見ましょう」でした。それを受けて私は、そのうち言葉も増えるだろう、激しいおやつのおねだりも落ち着くだろうと思っていました。約一年経過し、多少の言葉は増えたものの、会話にはなっていませんでした。
年度初めの、次男3歳3か月の頃に月1~2回、母子ともに市の適応訓練を受けることになりました。この適応訓練は発達の気になる子に遊びを通して療育のような働きかけをするという、受給者証を必要としない市独自の取り組みで、発達障害の診断名がついていない子も多く利用していました。
適応訓練での息子の様子は、リズム遊びなど体を動かす遊びがみんなと一緒にできない。できないので参加しようとしない。訓練の先生には「自分からやろうとするまでほうっておきなさい」と言われたので私だけリズム遊びに参加するという不思議な状態に。他の子供たちは親子でリズム遊びに参加しているのになぜ自分の子だけ参加しようとしないのだろうと悲しい気持ちになりました。
結局、このような状況が4月から翌年1月まで続きました。4歳になってやっと、少しずつリズムに参加するようになりました。
診断は自閉症スペクトラム、感覚統合療法を受けることに
3月、いよいよ幼稚園入園前という時期になり、入園後も適応訓練を受けられないかと考えていた頃、市の発達障害検査を行った心理士の先生と、適応訓練担当の保健師さんより言われました。
「次男くんは、もううちでは見られない。民間の療育施設で療育を受けてください」
確かに、こだわりや執着の強さ、みんなと同じように行動できないなどの問題はありましたが、民間の療育に行けと言われるほどうちの子供はひどかったのかと、目の前が真っ暗になりました。一緒に訓練を受けていた子たちの多くは普通に幼稚園に入園するのに。
次男の発達障害を認めたくはなかったけれど、このまま認めなければもっと事態はひどくなるかもしれないと思った私は、言われるままリハビリセンターの小児科を受診&民間の療育を申し込みました。
4月になり幼稚園に入園、加配の先生つきで過ごさせていただきました。適応訓練ではできなかったリズム遊びも参加できるようになりましたが、お友達とのコミュニケーションが難しい、制作の指示が入っていないようだと、担任の先生より指摘を受けました。それを受けてもう一度リハビリセンターの先生に相談した結果、自閉症スペクトラムとの診断を受け、約一年、感覚統合療法を受けることになりました。感覚統合療法では眼球運動がうまくいっていないことや前庭感覚が育っていないことなどが指摘され、それらの訓練を中心に進んでいきました。
できないことばかりじゃない!できることもいっぱいあると気づく
感覚統合療法を1年間受けてわかったことがあります。実は次男は運動神経がよかったこと、数の感覚が優れていたこと、図形パズルが大好きで、基本集中力がなかった次男がその時だけはすさまじい集中力を発揮したこと。
私は今まで次男の「できないこと」にばかり注目していました。でも、「できること」もたくさんあるということに気づきました。「得意を伸ばす」ことを考え、運動神経を生かしてラグビーを始めました。また、自閉症スペクトラムの子は習慣づけをするときっちり物事をこなすので、毎日プリントをこなすくもんを始めました。作戦は成功。
自閉症スペクトラムの子にとって得意なことは何か、悪い面ばかりを見るのではなく、特性を逆手にとっていい方向に導くことができればそれは強みになるのかもと感じました。
強みを生かして個性にできればいい
人間、苦手もあれば得意もあります。発達障害の子はそれが人より極端で凸凹があるために生きづらさを感じやすいです。でもそれだけに得意が目立つので、そこをうまく伸ばせば素敵な個性になるのかもしれないと今は思います。
次男は現在、特別支援学級に在籍する小学2年。そして算数とお絵かきとゲームが好きなラグビー少年に成長しています。コミュニケーション等、大変な部分はまだまだありますが、それらの得意分野をどう伸ばすかを考えることが楽しみになりつつあります。