ミックスナッツはダイエットに効果的?おすすめの種類や量は?
ナッツは「脂質のかたまりだからカロリーが高くて太りそう」なんて思っていませんか? 確かにナッツは栄養豊富ですが、食べる量や食べ方に気をつければダイエットのサポートもしてくれるんです! ダイエット中におすすめの種類や量を紹介します。
ナッツって太らない?
ナッツを使ってダイエットに成功しましたか?
◆アンケート情報 調査時期:2021年4月17日 調査対象:マイナビニュース会員、既婚女性 調査数:150名
調査方法:インターネットログイン式アンケート
※記事内で紹介している回答は、食品などを利用したダイエット経験があると回答した人114名の結果から抜粋したものです。
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※ここで紹介したダイエット方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。効果的な減量方法や結果の出方は個人により異なります。
脂質が多くてカロリーが高く太りそうなイメージの「ナッツ」。まずは、ナッツのカロリーと脂質について紹介します。
気になるナッツのカロリーと脂質
ナッツは木の実の種子の胚や仁(胚乳)です(※)。 種子植物が発芽し、発育するために必要な栄養分が貯えられている部分で 、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが非常にバランスよく含まれています。
※ピーナッツは種子ではなく豆類ですが、脂質含量が高く、一般的にナッツに分類されています
そして、たしかにナッツは脂質を豊富に含みます。脂質は、たった1gで9kcalもある高エネルギーな栄養素ですが、それぞれのナッツに含まれる脂質とエネルギーはどのくらいなのでしょうか。主なナッツの100g当たりのカロリーと脂質は以下の通りです[*1]。
ナッツの種類 | エネルギー | 脂質 |
---|---|---|
アーモンド(いり・無塩) | 608kcal | 54.1g |
カシューナッツ(フライ・味付け) | 591kcal | 47.6g |
ピスタチオ(いり・味付け) | 617kcal | 56.1g |
クルミ(いり) | 713kcal | 68.8g |
マカダミアナッツ(いり・味付け) | 751kcal | 76.7g |
バターピーナッツ | 609kcal | 53.2g |
これを見ると、アーモンド100gでご飯お茶碗1杯(150g)のなんと2.6倍のカロリー、2.2倍の脂質が含まれることになります 。
これほど高カロリーなナッツですが、ダイエットに活用できるという話をよく目にしますよね。それはどうしてなのでしょうか。このあとくわしく解説します。
ナッツがダイエットによいといわれる理由
脂質が多くて高カロリーなナッツですが、ダイエット中のおやつにおすすめされることがあります。なぜ、ナッツがダイエットによいのかを解説します。
ナッツの脂質は消化吸収されにくい
ナッツには実際、多くの脂質が含まれますが、ナッツを食べてもそれがすべて体に吸収されるわけではないようです。
ナッツは硬くて食物繊維も豊富なため、よく噛まないと栄養成分が消化吸収されにくい食べ物です。実際、いろいろなナッツで調べたところ、ナッツを食べることで5~20%以上も便中の脂質が増えていたという報告があります[*2]。
また、ピーナッツでは、ピーナッツバターやピーナッツオイルよりもそのままの形で口にしたほうが便中に排泄される脂質の量が多かったという報告もあるのだそう[*3]。
ダイエット中にナッツを食べるなら、ペースト状などに加工してあるものより粒のまま口にしたほうが良さそうです。
ナッツに含まれる脂質は健康に役立つ
なお、ナッツに含まれる脂質は、近年さまざまな健康効果で 注目されている「不飽和脂肪酸」 を多く含んでいます[*4, 5]。
不飽和脂肪酸は、体内で合成できる「一価不飽和脂肪酸」と体内で合成できない「多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)」に分けられます。
ナッツの中でも、クルミは多価不飽和脂肪酸の1つである「α-リノレン酸」が豊富。青魚の脂質に多く含まれるEPAやDHAと同じ「オメガ3系脂肪酸」で、EPAやDHAをつくり出す素(前駆体)でもあり[*6]、体内に入ったα-リノレン酸は、その一部がEPAやDHAに変換されます。
オメガ3系脂肪酸は、心臓病の予防に役立ったり、体内で中性脂肪を下げる働きがあると報告されています[*7]。
また、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ペカンナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオなど の脂質には、一価不飽和脂肪酸の「オレイン酸」が豊富に含まれます。オレイン酸はオリーブオイルの主成分として知られる脂肪酸ですが、血液中の悪玉(LDL)コレステロールを下げる効果があります[*5,8]。
食物繊維豊富で便秘予防に役立つ
食物繊維には不溶性と水溶性の食物繊維の2種類がありますが、ナッツには不溶性食物繊維が豊富に含まれます[*9]。不溶性食物繊維は水分を吸収して便を増やします。便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになり、便秘の予防に役立ちます[*10]。
代謝を促すビタミンB群も豊富
ナッツには、ブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要なビタミンB1、糖質やたんぱく質、脂質の代謝をサポートするビタミンB2、アミノ酸や脂質の代謝に関わるビタミンB6など、ビタミンB群も豊富に含まれています[*11-13]。
よく噛むので満腹感が得られる
かたいナッツはよく噛んで食べる必要があります。ゆっくり噛んで食べることは、肥満対策に役立ちます[*14]。1口30回噛むことで脳の満腹中枢が刺激され、満腹感を感じやすくなり、食べすぎを防ぐといわれています[*15]。
実際、咀嚼との関係は不明なものの、クルミやアーモンドに空腹感と食欲を抑える効果があったと報告している研究もあります[*16, 17]。
おすすめのナッツは?種類別の特徴と期待できる効果
「ナッツといっても種類がたくさんあるからどれを選んだらよいかわからない」という人のために、買いやすいナッツ5種類の特徴と期待される効果についてお伝えします。
アーモンド
アーモンドに多く含まれるビタミンE は、「抗酸化作用」があり、老化、免疫機能の低下、がんや動脈硬化などの原因となる活性酸素の過剰なはたらきを防ぐ効果があります[*18] 。
また、肥満の人が摂取カロリー制限中にアーモンドを食べると、体重減少と血圧低下を助ける可能性があるという研究報告や[*19, 20]、アーモンドにはビフィズス菌やラクトバチルス菌などの腸内の善玉菌を増やすのを助け、腸内環境をととのえる可能性があるという報告もあります[*21]。
カシューナッツ
カシューナッツは、他のナッツに比べて脂質が少なく、比較的カロリー低めなのが特徴 。
また、メタボリックシンドロームの人が食事にカシューナッツを多く取り入れたところ血圧の改善が見られたり[*22]、カシューナッツは食事の抗酸化力を高める可能性があることが報告されています[*23]。
ピスタチオ
ピスタチオには、免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力を増進する「ビタミンB6」が豊富に含まれています [*1,13]。
また、ピスタチオと炭水化物を一緒にとると、食後の血糖値の上昇を抑えるのに役立つ可能性があることが報告されています[*24]。
クルミ
すでにお伝えした通り、クルミには体内で合成できず、食事から摂取しなくてはならない必須脂肪酸の多価不飽和脂肪酸が他のナッツと比べてとても多く含まれています [*1]。
いくつかの研究では、クルミを食べることが総コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールを低下させるのに役立つと報告しています[*25]。
マカダミアナッツ
マカダミアナッツの脂質の多くは、悪玉(LDL)コレステロールを減らすオレイン酸をはじめとした一価不飽和脂肪酸 です[*1,5]。
実際、食事にマカダミアナッツを加えることで、悪玉(LDL)コレステロールが低下する可能性があると報告されています[*26]。
バランスのよいミックスナッツもおすすめ
どのナッツを選んでよいかわからない人には、いろいろなナッツがバランスよく含まれているミックスナッツもおすすめです。
ダイエット中のナッツの食べ方・注意点
体によい栄養素がたくさん含まれているナッツですが、アレルギーには注意。ピーナッツアレルギーの人は、三大アレルゲン(卵、牛乳、小麦)の次に多いことがわかっています [*27]。また、最近ではアレルギー症状を起こす人が増えていることから、アーモンドがアレルゲン表示に追加されました[*28]。
食物アレルギーのなかでもナッツによるアレルギーは、比較的重い症状を引き起こすことがあると言われています。ナッツを食べて体調に異変を感じたら軽く見ず、症状に応じて受診してください。
1日の目安量を守って食べる
ナッツは脂質が多い食品。少量でも高カロリーであることも忘れないようにしましょう。一般的に、間食は1日に200kcal程度が適量といわれています[*29]。
これはアーモンド(いり・無塩)でいうと、30g程度。ばらつきはありますが、一粒1g程度と考えると30粒ほどに当たります。ただ、30粒すべて食べるというより、間食したいときに少しづつ食べるのがおすすめ。 小分けされたナッツを選んだり、計量してから食べることが大切です。
無塩・素焼きのナッツを選ぶ
ナッツにも塩味がついたもの、オイルで揚げたものなど、さまざまな種類のものが売られています。ダイエット中は、無塩・素焼きのナッツを選びましょう。塩分や脂質のとり過ぎを防ぐことができます。
よく噛んで食べる
前述したように、よく噛んで食べることで満腹を感じやすくなり、食べすぎを防げます。ナッツも1口30回噛むことを意識して食べてみましょう。
夜は避けて!朝に食べるのがおすすめ
夜は食べたものの栄養素が消化吸収されやいため、夜間に食べ過ぎると太りやすいといわれています[*30]。夕食後に小腹がすいたからといってカロリーの高いナッツを食べるのは避けたほうがよいでしょう。朝や日中の間食に食べるのがおすすめです。
まとめ
ナッツの栄養素とダイエットにおすすめの食べ方について、まとめました。ナッツはカロリーの高い食品ですが、それがそのまま体に吸収されるわけではないようです。また、豊富な食物繊維がお腹の健康に役立ったり、満腹感を出すのにも一役買ってくれそうです。さらに、さまざまな効果の期待されている脂質が健康的な体づくりもサポートしてくれるでしょう。とはいえ、やはり食べ過ぎには要注意! 適量をおいしく摂取して、ダイエットに役立ててくださいね。
(文:木下ともえ)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂):第2章(データ)1 穀類 5 種実類 脂肪酸成分表編 第2章 脂肪酸成分表
[*2]SY Tan et al.: A review of the effects of nuts on appetite, food intake, metabolism, and body weight, Am J Clin Nutr. 2014 Jul;100 Suppl 1:412S-22S.
[*5]厚生労働省:e‐ヘルスネット 不飽和脂肪酸
[*6]カルフォルニアくるみ協会:ナッツ類でダントツ1位!くるみのオメガ3脂肪酸含有量
[*7]日本人の食事摂取基準(2020年版) 脂質 p.139
[*8]日本ナッツ協会・ナッツについて
[*9]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂):炭水化物成分表編 第2章 炭水化物成分表
[*10]長寿科学振興財団:健康長寿ネット 食物繊維の働きと1日の摂取量
[*11]長寿科学振興財団:健康長寿ネット ビタミンB1の働きと1日の摂取量
[*12]長寿科学振興財団:健康長寿ネット ビタミンB2の働きと1日の摂取量
[*13]長寿科学振興財団:健康長寿ネット ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量
[*14]厚生労働省:eヘルスネット 速食いと肥満の関係
[*15]吉松博信:1.肥満症の行動療法 日本内科学会雑誌第100巻 第4号
[*16]Olivia M Farr, et al.: Walnut consumption increases activation of the insula to highly desirable food cues: A randomized, double-blind, placebo-controlled, cross-over fMRI study Diabetes Obes Metab. 2018 Jan;20(1):173-177.
[*17] Tan SY et al.: Appetitive, dietary and health effects of almonds consumed with meals or as snacks: a randomized, controlled trial, Eur J Clin Nutr . 2013 Nov;67(11):1205-14.
[*18]厚生労働省:eヘルスネット 抗酸化ビタミン
[*19]Dhillon J et al.: Almond Consumption during Energy Restriction Lowers Truncal Fat and Blood Pressure in Compliant Overweight or Obese Adults, J Nutr. 2016 Dec;146(12):2513-2519.
[*20]Wien MA et al.: Almonds vs complex carbohydrates in a weight reduction program, Int J Obes Relat Metab Disord. 2003 Nov;27(11):1365-72.
[*21]Liu Z et al.: Prebiotic effects of almonds and almond skins on intestinal microbiota in healthy adult humans, Anaerobe. 2014 Apr;26:1-6. doi: 10.1016/j.anaerobe.2013.11.007. Epub 2013 Dec 3.
[*22]Schutte AE et al.: Modulation of baroreflex sensitivity by walnuts versus cashew nuts in subjects with metabolic syndrome, Am J Hypertens. 2006 Jun;19(6):629-36.
[*23]Davis L et al.: The effects of high walnut and cashew nut diets on the antioxidant status of subjects with metabolic syndrome, Eur J Nutr. 2007 Apr;46(3):155-64..
[*24]Kendall CWC et al.: The impact of pistachio intake alone or in combination with high-carbohydrate foods on post-prandial glycemia, Eur J Clin Nutr. 2011 Jun;65(6):696-702.
[*25] Banel DK et al.: Effects of walnut consumption on blood lipids and other cardiovascular risk factors: a meta-analysis and systematic review, Am J Clin Nutr . 2009 Jul;90(1):56-63.
[*26] Griel AE et al.: A macadamia nut-rich diet reduces total and LDL-cholesterol in mildly hypercholesterolemic men and women, J Nutr. 2008 Apr;138(4):761-7.
[*27]日本小児食物アレルギー学会食物アレルギー委員会:食物アレルギー診療ガイドライン2016ダイジェスト版 食物アレルギーの原因食物の内訳
[*28]消費者庁 消費者庁:食物アレルギー表示に関する情報 アレルゲンを含む食品に関する表示について(令和元年9月19日消食表第322号)
[*29]厚生労働省:e-ヘルスネット 間食のエネルギー
[*30]健康・栄養研究所:なぜ夜遅い時間の食事は太りやすいのですか?
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