ダイエット中の麺はNG? おすすめの麺やこんにゃく麺など代用麺も紹介
糖質が多くて太りそうだからと、ダイエット中には麺類を避ける人も多いのでは? 。実は種類や選び方、食べ方を間違えなければ、ダイエット中にも麺類は食べられます。ダイエット中におすすめの麺や代用麺、食べ方について解説します。
ダイエット中はNG? 麺が太るといわれる理由
麺の工夫でダイエットに成功しましたか?
◆アンケート情報 調査時期:2021年4月17日 調査対象:マイナビニュース会員、既婚女性 調査数:150名
調査方法:インターネットログイン式アンケート
※記事内で紹介している回答は、食品などを利用したダイエット経験があると回答した人114名の結果から抜粋したものです。
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※ここで紹介したダイエット方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。効果的な減量方法や結果の出方は個人により異なります。
よく「ダイエットには不向き」といわれる麺類。まずはその理由について解説します。
糖質に偏りがちになる
小麦、蕎麦など穀類を原料とする麺類は、主要な栄養素が「糖質」です。主な麺類のエネルギーと糖質量は次のとおりです[*1]。
主な麺類の「100g当たり」のエネルギーと糖質量
エネルギー | 糖質量 | うどん(ゆで) | 95kcal | 20.3g |
---|---|---|
干しうどん(ゆで) | 117kcal | 25.1g |
そうめん・ひやむぎ(ゆで) | 114kcal | 24.9g |
中華めん(ゆで) | 133kcal | 26.4g |
マカロニ・スパゲッティ(ゆで) | 150kcal | 29.2g |
そば(ゆで) | 130kcal | 23.1g |
主食の適量とされる「ご飯100~150g」は「エネルギー156~234kcal」「糖質量35.6~53.4g」です。これと比べると、上記の麺類のエネルギー・糖質量はそれほど多くない、むしろ少なめに見えるかもしれません。
ところが、「麺類の1食分は普通100gではない」のが大きな落とし穴。麺類では、通常200g程度を1食とすることが多いのです。
ゆでた麺類「1人前(200~250g)」のエネルギーと糖質量
エネルギー | 糖質 | |
---|---|---|
うどん(ゆで) | 190~238kcal | 40.6~50.8g |
干しうどん(ゆで) | 234~293kcal | 50.2~62.8g |
そうめん・ひやむぎ(ゆで) | 228~285kcal | 49.8~62.3g |
中華めん(ゆで) | 266~333kcal | 52.8~66.0g |
マカロニ・スパゲッティ(ゆで) | 300~375kcal | 58.4~73.0g |
そば(ゆで) | 260~325kcal | 46.2~57.8g |
このように、麺類は1食分で見ると、白米のごはんに比べカロリーも糖質も高めになります。
また、麺類は定食などと違って単品で食べてしまいがち。シンプルなかけうどんやかけそば、ざるうどん、ざるそば、そうめんなどであれば、ほとんど麺とつゆしかなく、野菜や肉、魚などから糖質以外の栄養素を十分に摂ることができません。その結果、筋肉量などが維持できず、太りやすくなるといわれるのです。
早食いしがちになる
スープや付け汁と一緒に食べる麺類は、あまり噛まずにつるつると食べてしまいがち。とくに、そばやそうめんなどはのど越しの良さが風味のひとつと言われることもあり、自然と早食いになってしまいます。また、温かい麺類だと麺がのびる前に食べてしまおうと、早食いになってしまう人もいるのではないのでしょうか?
しかし、早食いの習慣がある人には肥満の多いことがわかっており、ゆっくり噛んで食べることは、肥満対策の一つとしても期待されています [*2]。一口30回噛むことを目指すと食事時間は長くなり、早食いを直すことができます。また、噛むことにより満腹感の形成が促されて過食の防止につながることも報告されています[*3]。
このように、ついつい早食いになってしまうことからも、麺類はダイエットには不向きといわれるのです。
太りやすい調理法のものが多い
ラーメンはスープに風味として油をたっぷり入れることが多く、パスタもソースには油が多く使われています。油脂は1gあたり約9kcalと高エネルギー。このように油脂を多用する調理法のものが多いことも、麺類が太りやすいといわれる理由のひとつです。
太りやすい製品が多い
手軽に食べられるインスタント食品が数多くそろう麺類ですが、こうした製品はほとんど麺だけにもかかわらずそれにしては比較的カロリーが高いのも、麺類が太りやすいと思われる理由のひとつかもしれません。
カップ麺は、調理の際、短時間で乾燥した麺を戻すために、油で揚げた麺が使われていることが多いのですが、その分脂質の量が多くなり、カロリーが高くなる傾向にあります。
カップ麺(1食77g)の栄養成分の一例[*4]
エネルギー 357kcal
たんぱく質 10.3g
脂質 15.0g
炭水化物 45.4g
ダイエット中でもおすすめの麺類とは
ここまで、麺類が太りやすいと言われる理由をお伝えしました。しかし、イコールダイエット中に麺類を食べてはいけないということはありません。太りにくい麺類の食べ方もあります。そこで、ダイエット中に選びたいおすすめの麺類を紹介します。
こんにゃく麺やしらたき、えのきで代用!
こんにゃくは100g当たり5kcal、しらたきも100g当たり7kcal[*5]と低カロリーなので、麺類を置きかえたり、半分だけこんにゃく麺やしらたきを混ぜると、無理なくカロリーをおさえることができます。どちらも、1パック100円前後で購入できるので、お財布に優しく続けやすいのもポイント。
また、形状の似たえのきを麺類のかわりに入れるのもおすすめです。ゆでたえのきは100g当たり34kcalと、ゆでたスパゲッティ100gの1/4のカロリーです[*1, 6]。
パスタ
主食のなかではGI値が低めで、アルデンテにすることで噛み応えも出せるパスタは、実はダイエット中におすすめの麺類。
「GI値」とは、食後血糖値の上昇を示す指標で「グライセミック・インデックス(Glycemic Index)」の略です。グルコース(ブドウ糖)を100とした場合、GIが70以上の食品は高GI食品、56~69の間の食品は中GI食品、55以下の食品は低GI食品と定義されています[*7]。
GI値が高い食品を食べると急激に血糖値が上昇し、多量のインスリンが分泌されます。インスリンは血中の糖を細胞に取り込むことにより血糖値を下げますが、脂肪の合成を高め、脂肪分解を抑制する作用もあり、脂肪が蓄積されやすくなります。
GI値が低い食品を選ぶと、血糖値の急上昇を避けられるので過剰なインスリンの分泌の抑制が期待でき、脂肪もつきにくくなると考えられています。
代表的な主食のGI値[*8]
食パン 75程度
白米 75~76程度
玄米 62程度
うどん 62程度
そば 59程度
ラーメンの麺(タイのもの) 57程度
スパゲッティ 46程度
スパゲッティは、上記のように他の主食、また麺類に比べGI値が低めです。そのため、血糖値を急上昇させにくく、ダイエット中にもおすすめなのです(ただし、食べ過ぎてしまうと意味がありません)。
そば
そば(ゆで)の食物繊維は、100g当たり2.9gで、これはうどん(ゆで)1.3gの2倍以上、そうめん・ひやむぎの0.9g、米粉めんの0.9gに比べても多めです[*1]。
食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、溶けない「不溶性食物繊維」とに大別されますが、そばに多く含まれる不溶性食物繊維は、便の量を増やし、排便をスムーズにする作用があります。また、有害物質を吸着して、便と一緒に体の外に排出するのを助けたり、腸内環境を整える働きがあるといわれています[*9]。
そばは、食べたものを効率よくエネルギーに変えるなど多くの役割がある「マグネシウム」も、ほかの麺類に比べて多く含まれています[*10,11]。
十割そばなど、そば粉の割合が多いそばを選ぶのが、これらの栄養成分を十分に活用するポイントです。
うどん
うどん(ゆで)1人前200~250gは190~238kcal で、中華めん(ゆで)やパスタ(ゆで)の約6~7割と、比較的カロリーが低め [*1]。
うどんには、さまざまな種類がありますが、コシが強いものを選べば早食いになりにくいのでよりダイエット中におすすめです。
ダイエット中に麺類を調理するときのポイント
ダイエット中に麺類を調理するときのポイントを説明します。
全粒粉入りのものを選ぶ
ダイエット中には全粒粉入りのパスタやうどんを選ぶとよいでしょう。「全粒粉」とは、小麦の粒をまるごと挽いたもの。通常の製粉では除かれる小麦の表皮や胚芽が含まれることから、食物繊維が豊富で、マグネシウム、鉄分、亜鉛など、現代人に不足しがちなミネラルも多く含まれています[*12]。
そばの場合は、「三番粉」と言われる黒っぽい粉を使用した「藪そば」や「田舎そば」が小麦で言う全粒粉使用のものに近いです。そばの場合も殻の下にある甘皮に栄養が豊富で、殻に近い部分から挽き出された三番粉は、タンパク質やビタミン、ミネラルをより多く含んでいます。
麺の量は少なく具材を多く
麺類のメニューは麺がメインとなるので、主菜や副菜を揃えた定食と比べて糖質に偏り栄養バランスが悪くなりがち。麺でおなかを満たすのではなく、麺は少なめにして、具材のトッピングを多くしましょう。野菜とたんぱく質がとれる具材をプラスすることで栄養素のバランスを整えられることに加え、具材と一緒に食べることでよく噛まなければならず、早食いの防止にもなります。
最初に、ゆでた麺類1人前は200g程度が多いと説明しましたが、糖質量から考えたとき、ご飯1食分(100~150g。糖質量35.6~53.4g)と同等の麺類の量の目安を以下に紹介します[*1]。ダイエット中なら、麺の量は下記を上限として、野菜や魚・肉などの具を増やすことで満足感を出しましょう。
ご飯1食分と同等の糖質量が含まれる麺類の目安量
■うどん
・ゆでうどん: 170~260g(糖質量34.5~52.8g)
・乾麺(ゆでる前):50~80g(糖質量34.8~55.6g)
・生うどん(ゆでる前):70~100g(糖質量37.2~53.2g)
■パスタ
・ゆでパスタ:120~180g(糖質量35.0~52.6g)
・乾麺(ゆでる前):60~80g(糖質量40.6~54.2g)
■そば
・ゆでそば:150~230g(糖質量34.7~53.1g)
・乾麺(ゆでる前):60~80g(糖質量37.8~50.4g)
・生そば(ゆでる前):80~100g(糖質量38.8~48.5g)
油の量を控えめにする
パスタの場合は、たっぷりのオイルを使うことが多くなります。体に良さそうなイメージのあるオリーブオイルも「大さじ1杯で約100kcal」と高カロリー[*13]。ダイエット中はオイルの量を減らしましょう。市販のソースを使う場合は、栄養成分表示を見て脂質の少ないものを選ぶのがポイントです。
外食で麺を食べるときのポイント
外食で麺を食べる時のポイントを紹介します。
野菜やたんぱく質も一緒にとる
麺類単品は避けて、野菜や肉や魚などのサイドメニューを一緒にとったり、下記のように比較的ヘルシーな具材が多めのものを選んでみましょう。
■そば・うどん
山菜そば・うどん、月見そば・うどん、おろしそば・うどん
■パスタ
きのこスパゲッティ、ペスカトーレ
■ラーメン
もやしラーメン、五目ラーメン
冷たい麺を選ぶ
麺類には小腸では消化・吸収されにくい「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」が含まれています。レジスタントスターチは、「血糖値の上昇を穏やかにする」「腸内環境の改善」「脂質代謝の改善」「満腹感の向上」などに役立つと期待されています。スパゲッティをアルデンテにゆでたり、麺を冷やして食べることでレジスタントスターチによる効果が期待できるといわれています。
ただし、東洋医学では冷たい食べ物は内臓を冷やすともいわれています。日ごろから冷えを感じやすい人の場合は、冷たい麺は避けて、温かい麺を選ぶとよいでしょう[*15]。
スープは全部飲まない
ラーメンのスープには高カロリーな脂が多く含まれるうえ、塩分も高いのでできるだけ残すようにしましょう。
健康な大人が目標とすべき1日の食塩摂取量は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされ、ラーメンのスープを全部飲んでしまうと、それだけで6g近い食塩をとってしまいます[*16]。
食塩の摂り過ぎは体に悪いだけでなく、ダイエット中はとくに避けたい「むくみ」の原因にもなります。そば・うどんのつゆやパスタソースの摂り過ぎにも同様に気を付けましょう。
まとめ
ダイエット中の麺の選び方や食べ方をお伝えしました。麺は確かに糖質が多いですが、量を調整したり、他の食品と組み合わせて食べたりすれば、必ずしもダイエットの敵ではありません。麺が好物であれば「食べちゃダメ」と極端に考えることはストレスになります。お伝えしたいくつかのポイントを意識して、上手に麺類を食べてくださいね。
(文:木下ともえ)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章データ 穀類
[*2]厚生労働省:eヘルスネット 速食いと肥満の関係
[*3]吉松博信:1.肥満症の行動療法,特集 肥満症 診断と治療の進歩,日本内科学会雑誌第100巻第4号
[*4]日本即席食品工業協会 インスタントラーメンナビ /
[*5]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章データ いも及びでん粉類
[*6]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章データ きのこ類
[*7]Glycemic Index Foundation:About Glycemic Index
[*8]THE UNIVERSITY OF SYDNEY:Search for the Glycemic Index
[*9]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「食物繊維のはたらきと1日の摂取量」
[*10]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「ビタミンB1の働きと1日の摂取量」
[*11]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「マグネシウムの働きと1日の摂取量」
[*12]日清製粉グループ:ウェルナビ 全粒粉・小麦ブランとは
[*13]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章データ 油脂類
[*14] 後藤勝:レジスタントスターチの開発,日本家政学会誌 Vol. 65 No. 4 197 ~ 202(2014)
[*15]テルモ体温研究所 冷え性対策「食」編
[*16]厚生労働省:e-ヘルスネット 高血圧
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