授乳中にサプリメントは摂取できる?選び方と注意点【管理栄養士監修】
手軽に栄養補給ができるサプリメント。葉酸サプリにお世話になった方も多いのではないでしょうか。産後の回復などまだまだ頼りたい部分もありますよね。授乳中に摂取できるサプリメントはあるのでしょうか。
授乳中は、サプリメントを摂取しても大丈夫?
特定成分が凝縮されたサプリメント(以下、サプリ)は、必要な成分を手軽に摂ることができる一方で、過剰摂取が心配です。そこで赤ちゃんに母乳をあげているママが心配になるのが「授乳中にサプリを摂取しても大丈夫か」かと思います。
授乳中のサプリは使用してもいい
ビタミンやミネラルなどの栄養素を補うものならば、授乳中でもサプリを摂取することはできます。
この記事で紹介するような注意点を守って使うようにしましょう。
過剰摂取(飲みすぎ)には注意するように
健康維持に向け足りない栄養を補うためのサプリも、過剰摂取は禁物です。成分によっては体に負担を与えるものもあるので、目安となる量を守って摂取しましょう。
メインは「食事」、サプリメントは「補助」
日々大切にしていきたいのはあくまでも食事から摂る栄養です。
「赤ちゃんのお世話でなかなか自分の食事に手が回らない」「栄養が足りないと感じる」といった場合、まずは市販のお惣菜やデリバリーなども活用しながらバランスの良い食事を心がけましょう。
それでも、どうしても栄養を摂ることができず不安が残るという場合には、不足しがちな栄養やなかなか摂りにくい栄養を補う目的でサプリの使用を考えてもいいでしょう。
授乳中に摂らないほうがいいサプリは?
普段食事から十分な量を摂れていないビタミン・ミネラルをサプリメントで補うことは授乳中でも問題ありませんが、注意しなければならないサプリもあります。
大豆イソフラボンのサプリなどは避ける
大豆イソフラボンを含むサプリの使用は避けましょう[*1]。また、バランスの良い食事が必要な時期なので、ダイエット目的のサプリもお勧めできません。
授乳中にサプリや食事で摂りたい栄養素は?
食事を摂れていれば基本的にサプリを使う必要はありませんが、使う場合は、足りないと思われる栄養素を補いましょう。
貧血を予防する「鉄」
母乳は主にお母さんの血液を主成分として作られます。そのため授乳中も鉄分が不足しがちです。鉄欠乏性貧血予防のためにも鉄は意識して摂取したいですね。
鉄を食事で摂るならばこれ
鉄を多く含む食品にはレバーや牛赤身肉、マグロやカツオなどの赤身魚、アサリやシジミ、小松菜やほうれん草、納豆や厚揚げなどの大豆製品があります。食事でも鉄を多く含む物を考えてあわせてとれるようにしたいですね。
鉄分について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎鉄分の多い食べ物は?貧血予防に役立つ効率的な食べ方
産後の体にも大切な「葉酸」
葉酸は赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスク軽減のために妊娠前〜妊娠初期には特に意識して摂取すべき栄養素ですが、実は産後の体にも大切です。葉酸にはビタミンB12とともに血液中の赤血球作る働きもあります。
葉酸を食事で摂るならばこれ
ビタミンB群に含まれる葉酸は水に溶けやすく熱に弱いという特徴があり、加熱したり茹でたりすると多くの成分が減ってしまうので、野菜をたくさん食べることを意識したいですね。
葉酸を多く含む食品には、枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草、オクラ、かぼちゃ、いちご、アボカド、マンゴー、パパイヤ、サクランボ、きな粉、納豆、豆乳、ナッツ類などがあります。
普段から不足しがちな「カルシウム」
授乳期には母乳を介して赤ちゃんに大量のカルシウムを供給します。日本人の食事摂取基準によると、授乳期のカルシウム推奨量は650mg/日で、非妊娠時と比べても付加量はありませんが、平成29年の国民健康・栄養調査では20~40代女性のカルシウム平均摂取量は400mg/日と、基準を大きく下回っています。普段から不足しがちな栄養なので、意識して摂取していきたいですね。また、カルシウムはイライラを抑えて気持ちを安定させるのにも効果があります。
カルシウムを食事で摂るならばこれ
カルシウムを多く含む食材は牛乳、乳製品、小魚、小松菜、モロヘイヤ、厚揚げ、ひじきなどです。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンD(鮭、サンマ、ブリなどの魚類、干ししいたけ、卵)なども一緒に摂れるとよいですね。
授乳中のサプリの選び方は?
授乳中に積極的に摂りたい栄養素があり、一方で気をつけたい成分もあります。店頭やインターネットではたくさんの商品が並んでいて迷ってしまいますが、どのように選べばいいのでしょうか。
信頼できるメーカーのサプリメントを利用する
プリメントは、様々な種類のものが出ていますよね。選ぶのに困ってしまうこともあるかと思いますが、口コミや値段だけで判断せず、信頼できるメーカー・製品を選ぶようにしましょう。
「信頼できる」と判断できる一つの指針に「GMP(Good Manufacturing Practice)」があります。製造管理や品質管理がきちんと行われているかどうかの基準で、これに準拠して作られている製品なのかをメーカーのホームページなどで調べてから使用するとより安心でしょう。
かかりつけ医に相談してからがおすすめ
治療中の病気があるなどの場合は、医師や薬剤師にサプリの摂取について相談してください。
成分によっては、服用中の薬の作用を強めたり、逆に弱めてしまったり、副作用症状を引き起こしたりするものもあります。
まとめ
授乳中もビタミン・ミネラルをサプリメントで補うことは可能です。必要な栄養素をピンポイントで摂るサプリは便利ですが、全体の栄養バランスをとることも大切です。基本的には食事で栄養を摂取できるよう、バランスの良い食事を心掛け、どうしても足りない場合や気になるものを取り入れるといいですね。産後は体型なども気になるのでダイエットサプリや美容サプリも気になるところですが、まずは自身の健康と赤ちゃんの健康を第一に考えていきたいですね。
(文:宗政祥子 先生、監修:川口由美子 先生)
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