【写真で解決】「ラッチオン」のコツとは?うまくいってないサインとは?助産師が徹底解説
産後はおっぱいの悩みが多いもの。中でも、母乳を飲ませているとき、やたら乳首が痛いようでしたら「ラッチオン」に問題があるかもしれません。ラッチオンのコツと、赤ちゃんが上手く母乳を飲めているときのサインも解説します。
ラッチオンとは
ラッチオンとは「吸着(きゅうちゃく)」のこと。正しいラッチオンができていないと母乳を効率よく飲み取れなくなってしまいます。
赤ちゃんが乳首に吸い付こうとするのに合わせて、咥える角度や深さを調整して、乳輪全体を口で覆えるようにします。
ラッチオンは「スムーズな授乳のサポート」
よく誤解されがちなのですが、乳頭だけを吸ってもあまり母乳は出てきません。しかし、生まれたての赤ちゃんはまだ口が小さくて、ママも赤ちゃんも授乳に不慣れなこともあり、乳頭だけを吸ってしまうことがあります。
そのため、赤ちゃんが母乳を上手く吸えられるようにするため、乳頭だけでなく周辺の乳輪も一緒に咥えこめるようママがサポートしてあげる必要があります。つまりラッチオンとは、赤ちゃんは母乳を吸いやすく、ママは授乳時に痛みを感じず、より多く母乳をあげることができるために必要なことなのです。
ラッチオンがうまくいっていないサイン
母乳を欲しがるタイミングや1回に飲む量は、赤ちゃんによって個人差があります。そのため、授乳回数はこだわり過ぎず、赤ちゃんが欲しがるタイミングに合わせてあげるようにしましょう。
ただし、赤ちゃんの体重増加が少ない、授乳後も乳房の張りが軽減しない、授乳中に乳頭が痛いことが続く……といった場合には、ラッチオンが上手くできていない可能性があります。心当たりがあるようでしたら、授乳方法を見直してみてもいいかもしれません。
ラッチオンと赤ちゃんの抱き方のコツ
授乳では、ラッチオンとともに「ポジショニング」と呼ばれるママが赤ちゃんを抱く姿勢が重要になります。ここでは、ラッチオンとポジショニングの方法とコツをお伝えします。
ラッチオンがうまくいかないと、乳頭の痛みの原因に
赤ちゃんが乳頭だけ口に含んで吸っていると、ママは乳頭に強い痛みを感じます。この状態が続くと、人によっては乳頭に傷が着いたり出血したりすることもあります。
授乳中に乳頭に痛みを感じるようなことがあれば、ラッチオンの方法をチェックするといいでしょう。
まずは、赤ちゃんを正しく抱けているかチェック
授乳姿勢については、自分にとって楽な状態をキープできる姿勢で座ります。この時、リクライニングシートを倒している時くらいの傾斜で後方にもたれるといいでしょう。前かがみの状態が続くと腰痛や肩こりの原因になりますので、クッションや足台を使って調整しましょう。
ママの体勢が整ったら、赤ちゃんを胸の上に乗せるようにして抱きます。この時、赤ちゃんのお尻を支えるようにして抱きかかえると、赤ちゃんの体も安定しやすくなります。
赤ちゃんの基本的な抱き方でもある「横抱き」は、赤ちゃんの首の後ろ側にママの肘の内側を添えるようにして抱きかかえることで、赤ちゃんの頭が少し後ろに傾いて、下側から乳輪を口に咥えやすい体勢になります。この時、ママは後方にもたれかかりながら少し胸を張ることで乳頭が外側を向くようにして、赤ちゃんがより乳輪を口に含みやすくなるようサポートしてあげましょう。
赤ちゃんを正しく抱けているか心配な方は、パパや家族に確認してもらいながら微調整するのもいいと思います。
上手なラッチオンの方法
赤ちゃんが大きく口を開けたら、親指と人差し指で乳房を挟むように支えながら口元に乳頭を持っていき、赤ちゃんが大きく口を開けるのを待ちます。赤ちゃんの口に合わせて乳房を軽く潰してあげると、深く口に入りやすいためです。
手の形は写真のように、横抱きの場合はUホールド、フットボール抱き(脇抱き)や縦抱きの場合はCホールドにします。
赤ちゃんの下顎が乳房、下唇は乳輪と周辺部位との境目を捉えているか確認しましょう。この2点を押さえていれば、赤ちゃんは上唇で上唇側の乳輪までを捉えやすくなります。
下顎をかぶせてから上顎がかぶる
ラッチオンのやり方とコツを指導する時は、乳房全体をハンバーガーに見立てて説明しています。ハンバーガーを口の大きさに合わせて潰して食べるように、乳房をくわえるときに赤ちゃんの口を下から上へかぶせるようにサポートします。
ラッチオンは、練習するうちに少しずつ上手くなっていくものです。できなくても落ち込むことなく、徐々にコツを掴んでいきましょう。
しっかり飲めているときの音
ラッチオンがうまくいき赤ちゃんがしっかり母乳を飲めていると、赤ちゃんの嚥下音が聞こえてくるようになります。「ゴクッゴクッ!」というよりも「コクッコクッ」くらいの、授乳中のママに聞こえるくらいのささやかな音です。
まとめ
ラッチオンは、赤ちゃんがより母乳を飲みやすくなるよう、乳輪全体を口で覆うようにするための吸着のことです。ラッチオンがうまくいかないと、赤ちゃんは十分な母乳を飲めず、ママも乳頭に痛みや傷を負う原因になります。
授乳時は、クッションなどを使って楽な姿勢を維持しながら、赤ちゃんが乳輪を加えやすいよう乳房の形や角度を調整してあげましょう。
ラッチオンは、やり続けるうちに赤ちゃんもママも次第にコツがつかめて上手くなってくるものです。どうしてもうまくいかない時には、かかりつけの産婦人科助産師に相談しましょう。
(文:本河美佳/監修:坂田陽子 先生)
※画像はイメージです
[*1] 水野克己 著「これでナットク母乳育児」へるす出版(2009)
[*2] 水野克己ほか「母乳育児支援講座」(南山堂)
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、監修を経た上で掲載しました
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