断乳での母乳の搾り方はどうやるの? 搾乳するタイミングと搾りすぎのリスク|助産師解説
母乳育児を続けてきたママが断乳・卒乳をする時、おっぱいケアの方法は気になるところです。中でも搾乳は「しないほうがいい」「しなくちゃダメ」など両方の情報が入って来て混乱する人もいるようです。断乳中の母乳の搾り方について、助産師の坂田陽子先生に解説いただきました。
断乳の時、どんなタイミングで母乳を搾る?
授乳中の搾乳と違い、断乳中の搾乳は頻繁に行うわけではありません。なぜなら、母乳の産生を止めるために乳房内にためておく必要があるからです。
しかし、母乳が乳房に溜まったままだと、ママは張ってしまってつらい思いをします。そんな時、適度な搾乳が必要です。
断乳中はどのようなタイミングで搾乳するのか、具体的に見ていきましょう。
1. おっぱいが張ってつらい時
断乳後すぐに母乳が作られなくなるわけではないので、母乳が排出されず乳房に溜まった状態が続くと、おっぱいが張ったり痛んだりしこりができたりします。またひどくなると乳腺炎になることもあります。
母乳はずっと作られ続けるわけではなく、およそ3日間(72時間)乳房内に母乳を溜めた状態にしておくと、母乳を作り出す機能がなくなっていくとされています。なので、それまでは適度に搾乳して張りなどを緩和する必要があります。
■搾乳するタイミングは?
母乳の産生量によって搾る頻度が変わってくるので、「何時間おきに行う」などの決まりはありません。
ママの胸が張ったり痛んだりしてつらいと思うときに行いましょう。
■どのくらい搾乳する?
搾り切るようにやりすぎると、乳房が空になってしまうので母乳の産生が続いてしまいます。
この時期の搾乳は、「ママがスッキリする程度」にとどめておきましょう。
2. 搾り切る時
乳房の状態や母乳の分泌具合にもよりますが、適度な搾乳でおっぱいの張りを軽くしながら過ごした後、一度完全に母乳を出し切る搾乳をします。
■搾乳するタイミングは?
断乳開始から3日(72時間)経過した時が目安です。
■どのくらい搾乳する?
この3日間に行ってきた搾乳と違い、ここでは完全に母乳を出し切るように搾乳します。
断乳中の搾乳はいつものやり方でOK?
母乳をストックしたり、授乳間隔が空いてしまうタイミングなどで、授乳期間中に搾乳していた人もいるでしょう。では、断乳する際にする搾乳も同じ方法でいいのでしょうか?
断乳中は乳房全体を圧迫して搾る
授乳を続けているときの搾乳では、乳輪付近に指をおいて搾ります。乳輪部分を刺激すると、母乳を作るホルモンも分泌されます。
一方、断乳中の搾乳は、乳房の張りなどのつらさを軽減するために行うものであり、母乳自体はなるべく作られるのを抑えたいため、できるだけ乳輪部分に触れないように搾乳します。
両手のひらで乳房全体を包み、圧迫して搾るようにしましょう。
このやり方は断乳4日目以降に張りを感じた時の圧抜きにも使える方法です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
断乳の際は搾乳器ではなく手搾りがおすすめ
通常の搾乳の場合は搾乳器を使うこともありますが、断乳の際の搾乳では手で行った方が良いでしょう。
断乳中に搾乳をしない/しすぎるとどうなる?
断乳中は、適度に搾乳することが勧められますが、搾乳をしなかったり、逆に搾乳をしすぎてしまうとどんなリスクがあるのでしょうか。
搾らなかった場合|胸が張って痛いかも
搾乳しなくても張りや痛みを感じず、普段どおりに生活できるようであれば搾乳の必要はありません。
でも、断乳前まで授乳回数が多めだったママの場合では特に、全く搾乳をしないでそのままいるととてもつらかったり、乳腺炎になってしまうこともあります。必要に応じて、軽く搾れるといいですね。
乳腺炎の症状については以下の記事で詳しく解説しています。
搾りすぎた場合|断乳完了までの期間が長引くかも
母乳を溜めて産生を止めるはずが、頻繁に乳房が “空っぽ” の状態になると、その分母乳が作られるため、母乳が止まるまでの期間は延びることになってしまいます。
「のんびり断乳できればいいかな」と余裕がある場合は、搾乳しすぎてもそこまで大きなリスクではないでしょう。
まとめ
断乳の時はおっぱいが張ってしまうことが多いですが、そんな時、適度に搾ってあげると楽になります。特につらいはじめのうちは適度に搾り、断乳3日目にしっかり搾り切るのがよくある方法です。もし、痛みが引かず乳腺炎のような症状が見られたら、母乳外来や助産院などで助産師に相談しましょう。
(構成:マイナビ子育て編集部、文:坂田陽子先生)
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