断乳・卒乳後の生理再開はいつごろ?なかなかこない場合の受診の目安【助産師解説】
断乳や卒乳をして、授乳することがなくなってから生理(月経)が再開するまでの期間はどのくらいなのでしょうか? また、再開しない場合はどうすればいいのでしょうか。今回は母乳育児だったママが断乳・卒乳した後の生理再開の目安などについて、助産師の坂田陽子先生に解説いただきました。
断乳・卒乳した後、どのぐらいで生理が再開する?
妊娠して以降は止まったままだった生理も、しばらくすると再開します。産後の生理の再開時期について解説しましょう。
授乳をしていると生理が再開しにくい
授乳中は母乳を作るため「プロラクチン」というホルモンが多く分泌されています。このプロラクチンは 卵巣の機能を抑える作用があるため、授乳をしている女性は産後の生理再開の時期が授乳していない女性に比べて遅くなります。
個人差は大きいものの、授乳をしていない女性の場合は早いと産後1〜2ヶ月で生理が再開しますが、授乳をしている女性の場合は1年以上生理が来ないこともあります。
断乳後1〜3ヶ月経ってから生理再開が目安
卵巣の機能を抑える作用があるプロラクチンは、授乳をしないままでいると1ヶ月ほどで妊娠前の状態に戻ります。プロラクチンが正常値に戻るとともに、ホルモンの状態も妊娠前の状態に戻っていき、断乳後1〜3ヶ月ほどで生理が来ることが一般的です[*1]。
また、ある調査では対象となった女性全員(42名)が「断乳後3ヶ月以内に生理が再開した」と答えました[*2]。
授乳中に生理が再開する人も
こうやって見てみると、授乳している限り生理が来ないように思えますが、そうではありません。ママの体の回復が進み、特に授乳回数が少なくなってくるなどすると、授乳中にも関わらず生理が再開することもあります。
断乳しても生理が来なかったら受診したほうがいい?
多くの場合で授乳をやめた後3ヶ月ほど経つまでには生理が再開するようですが、それでもなかなか生理が来ないケースもあります。
ストレスや疲れのほか、疾患などで生理が来ないことも
産後は慣れない育児で慢性的な睡眠不足や疲労感、ストレスに悩まされる女性は少なくありません。これらはママの体調だけでなく、生理周期にも影響を及ぼします。
また、生理周期が整わない原因の背景に婦人科の疾患などがある可能性も否定できません。
断乳後数ヶ月経っても生理が来なければ受診を
生理再開の時期には個人差があるものの、授乳をやめてから数ヶ月経っても生理が来ないようであれば産婦人科で相談しましょう。
定期的に医師や助産師と顔を合わせていた妊娠中と違い、産後は自分の体のことで相談する機会が減ってしまいます。生理を含めなにか不安なことがあれば、早めに医療機関で診てもらうのが一番です。
次の子を妊娠している可能性もある
なお、ストレスや疾患以外にも、産後の生理が再開しない理由が考えられます。それは妊娠です。
産後は排卵の時期が予測しにくいものです。生理が再開する前に排卵していることもあり、「生理がまだ来ないから必要ない」と思って避妊しなかったら、すぐに次の子を妊娠したというケースもあります。
産後の排卵・妊娠については以下の記事も参考にしてください。
産後の生理、痛みや量に変化はある?
出産後、生理が再開してから「あれ? 以前となんか違う??」と思う女性もいるようです。例えば、生理痛が以前より重くなったり、経血量が増えたり……。こんな変化は問題ないのでしょうか。
異常があれば医療機関で原因を調べる必要がある
産後はホルモンバランスが整うまで生理不順になりがちです。また、産後のストレスなどが影響して生理痛がひどくなる場合もありますが、疾患の影響で生理痛がひどくなっているケースもあります。
生理周期や期間に関して
・生理期間が長くて、経血の量が多い(過長月経/過多月経)
・生理期間が短くて、経血の量が少ない(過短月経/過少月経)
・次の生理が来るまでの期間が短く、24日以内に始まる(頻発月経)
・次の生理が来るまでの期間が長く、39日以上来ない(頻発月経)
などがあれば、受診して原因を調べる必要があります。
産後の生理痛・経血量の変化については以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
断乳や卒乳をした後3ヶ月程度経つまでには多くの場合で生理が再開します。それ以降もなかなか生理が来ない場合や、生理が再開しても経血量や期間、間隔、痛みなどに異常がある場合は、産婦人科で相談しましょう。
(文:マイナビ子育て、解説:坂田陽子先生)
※画像はイメージです。
[*1] 柳田隆「産後の避妊法」(日本産婦人科医会)
[*2] 中野七福子ほか「長期間の授乳が産後の月経再来に及ぼす影響」(京都大学医療技術短期大学部紀要 第16号 1996)
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます