【初マタ出産記】Vol.4 破水したのに陣痛が来ない!? ひとりで迎えたハラハラの初出産~森下さんの場合~
妊娠・出産は一大イベント。特に初マタだと夫や家族への報告、妊婦検診、職場への報告や引き継ぎ、産前の準備などなど、初めてのことで大忙しです。 妊娠出産は人それぞれといいますが、それでも先輩ママたちの経験を聞くと心強いもの。本連載では働く「初マタママ」の妊娠から出産までの体験記をご紹介します!
今月の初マタママのプロフィール
【妊娠初期】挙式後すぐに妊娠! ママ上司のサポートで気が楽に
体調
生理が比較的規則正しかったので、「来ないのはもしかして……」と思い、妊娠検査薬で確認。産婦人科を受診したところ、妊娠が発覚。つわりはあったものの比較的軽いほうだったようで、朝起きるとムカムカする、空腹になると気持ち悪くなる、といった症状でした。空腹にならないよう、少しずつ食べる工夫をしていたのですが、仕事に没頭してしまい、帰宅時に気持ち悪くなることもしばしば。この時期は、主にフルーツ(特にパイナップル)とアイスクリームを食べて過ごしていました。というより、これしか口にすることができませんでした。
仕事
ありがたいことに仕事への影響はほとんどありませんでした。妊娠前と変わらず、普通に残業もしていました。
ただマネジメント業務をしていたこともあり、後任を検討してもらう必要があったので、上司には早めに伝えました。上司が女性でママだったこともあり、何も言わなくても「体調、辛いよね」と声掛けてもらえて、とても気が楽になりました。また、早めに報告したことで仕事を調整して平日に健診に行くことができたこともよかったです。
プライベート
挙式し、マイホームを購入・引っ越しした矢先に妊娠が発覚したので、驚きました。でも結婚前から子どもは欲しいと夫婦で思っていたので、予想以上に早く授かることができ、とてもうれしかったです。
両親への報告
お互い父の誕生日がたまたま近い日で、それぞれに誕生日のお祝いを予定していたので、そのときに報告しました。思わぬ誕生日プレゼントに、両方の父はとても喜んでくれました。
産院選び
家から徒歩圏内にちょうどいい産婦人科があったことや、犬を飼っていたこともあり、里帰りせずに現在住んでいる地域で産むことにしました。セミオープンシステム(※)を利用することにし、妊娠期間中の初期・中期は主に最寄りの産婦人科で、後期からは地域周産期医療センターでもある大型病院で診てもらい、短時間かつスムーズに健診ができるようにしました。
※妊娠の異常や合併症のない妊婦の場合、妊婦健診は妊婦にとって利便性のいい診療所で受け、32~34週ころからの受診や分娩は周産期医療センターで行うシステム。
【妊娠中期】体調が安定。安産祈願や旅行など夫婦の時間を楽しむ
体調
つわりが落ち着き、食欲が増し始めました。
なぜかお刺身やお寿司など生魚が無性に食べたくなり、我慢していた記憶があります。また年末年始を迎えるタイミングだったので、暴飲暴食しないよう体重管理を気つけました。安定的を迎えられたことへの安心感もあり、元気に過ごせていました。
仕事
妊娠初期と変わらず、普通に業務をこなしていました。
ただ私自身の休職だけではなく、メンバーの退職や組織変更の発表など予想外の出来事が起きたので、迷惑をかけずに産休に入れるのか不安でした。不安な点は同僚や上司に相談して、それを汲んでもらって、どういう組織がベストなのか一緒に考えてもらいました。
周囲に打ち明けるタイミングは、組織変更に関するミーティングあったので、そのときに話しました。
プライベート
体調が落ち着いていたので、安産祈願や初詣、旅行など夫婦の時間を楽しむようにしていました。
年末年始に中期に入ったこともあり、友人に報告する機会も恵まれました。先輩ママでもある友人からは、「お下がりでよければ!」とベビー服などを譲ってもらえて、とてもありがたかったです。
お腹が大きくなりはじめる前に、マタニティ用の下着やパジャマ、タイツなどを買い始めました。真冬だったので、下半身が冷えないよう120デニールという極厚のマタニティタイツを愛用していました。
【妊娠後期】自宅で破水! しかし陣痛がなかなか来ず……
体調
お腹が大きくなったことで寝つきが悪くなりました。抱き枕やシムス位など寝る姿勢を工夫したものの、私には合わず……。夜寝られない分、産休に入ってからは昼間にソファーにもたれながらウトウトすることが多かったです。
また胎動が激しく、お腹をしょっちゅう蹴られていたせいか、お腹が頻繁に張るように。マタニティヨガやマタニティウォーキングに挑戦したかったのですが、お腹の張りの影響でほとんど運動できませんでした。
仕事
産休間際に緊急事態宣言が出て在宅勤務になり、通勤がなくなったぶん体調面ではラクでした。一方で新体制がスタートしたばかりで慌ただしかったため、細かな引継ぎが難しい状態でした。抜けや漏れがないか不安でしたが、上司からは「どうにでもなるから大丈夫!」と優しく心強い言葉をかけてもらいました。恵まれた環境に感謝の気持ちでいっぱいでした。
プライベート
寝込むことはなかったものの、お腹の張りやコロナの影響のため家でのんびりと過ごしていました。産休に入れば自炊を積極的にできると思っていたのですが、お腹が張るため、あまりできず……。その分、夫が作り置きをしてくれたり、冷凍食品を買い込んでくれたりしたので、ラクをさせてもらった気がします。
情報収集
コロナ禍で、両親学級をはじめとした講座にひとつも参加することができなかったため、子育て情報サイトや本で情報収集をしていました。私が住んでいる市では、妊婦に対し個別面接(本来は対面だが、当時は電話)を行っていたので、電話で相談。体調や心配に思っていることなどを相談したほか、市の新生児訪問や産後サポートサービスを紹介してもらいました。
ベビーグッズの準備
産休に入ってから本格的に始めました。先輩ママの友人たちからお下がりのベビー服などを宅配便で送ってもらえ、本当にありがたかったです。ほかに足りないものはまとめて買う、ネット通販を利用するなど工夫しました。荷物が増えすぎないよう、ベビーベッドはレンタルを利用することに。
出産エピソード
出産は37週0日で迎えることに。私は陣痛ではなく、破水から始まりました。
36週6日目の夜、寝付けず、横になりながら動画を見ていたところ、深夜3時頃にお股からヌルっとした生暖かい感覚が。
慌ててトイレに行くと下着がびっしょり。色やにおいなど特徴的に破水だと思い、産院に連絡したところ、すぐ来ること、そして入院の準備をするよう指示されました。
夫は仕事で当直(泊りがけの勤務)のタイミングだったので、自分で陣痛タクシーを呼ぶなどしてひとり黙々と準備。もっと慌てるかと思っていましたが、実際は思った以上に冷静に対処できました。
産院に到着すると、歩けるものの車椅子に乗せられて、処置室へ。検査してもらうと、子宮口はまだ1cmしか開いていなかったため、経過を見ることになりました。
3食ご飯をしっかり平らげつつ、陣痛を促進できるようスクワットや産科フロアの散歩、足浴などしましたが、結局入院当日に出産には至りませんでした。
入院後、陣痛室で過ごしていたのですが、先に陣痛が始まった妊婦さんの痛みに苦しむ声を聞くことになり、自分も同じようになるのかと思うと、不安にかられました。
翌日、37週0日の朝の健診でも変化が見られず、「今日陣痛が起きない場合は、促進剤を投与する」と言われました。ただ、その検診後から徐々に痛みが。助産師さんからスクワットか散歩を進められて散歩したところ、本格的な陣痛が始まりました。自分ひとりのお産を迎えることは不安でしたが、助産師さんが側でマッサージをしてくれていたので、心強かったです。今となっては、痛みに悶えている姿を夫に見られなくてよかったのかも、と思います。
出産前に準備しておいてよかったこと
●陣痛&入院バッグの準備
陣痛バッグはトート型のマザーズバッグを、入院バッグはキャリーケースを利用しました。実際ひとりで病院に向かう際、キャリーケースを組み合わせたのは移動しやすさの面で正解だったなと思いました。
●陣痛タクシーの登録
自家用車がなかったこと、夫が不在の可能性が高かったこともあり、登録しました。会社によっては登録に1週間ほどかかるところもあるようですし、私のように予定日より早い可能性もあるので、何事も早めに準備しておくのがいいのだなと実感しました。
●ペット(犬)のお世話
私が入院、夫が当直で帰宅できない際のペットのお世話が不安だったので、早めに夫婦で話し合いました。結果としては、片道1時間ほどのところに両親が住んでいたので、お願いすることに。実際破水で急遽入院が決まった際も、慌てずに済みました。
【産後】順調な妊娠中と比べて、壮絶な授乳トラブルに疲弊
体調
とにかく授乳で苦労しました。飲ませ方(抱き方)にもさまざまな方法があることを出産してから知りました。私は「出過ぎるおっぱい」だったようで、強い射乳で娘がむせてしまいがちに。助産師さんから授乳前に軽く搾乳するようアドバイスをもらい、実践していたのですが、なかなか改善しませんでした。娘もむせないよう浅く飲むのか、自分の胸の形による問題なのか、乳首に傷ができやすく、また産後1ヶ月以内に乳腺炎も2度経験しました。
事前搾乳、慣れない授乳、寝不足、胸の傷や母乳が作られる痛みなどから、授乳の時間が苦痛で、気がつくと泣くことが増えていました。母乳をあげている最中に勝手に涙が出てくる状態です。なんとか乗り切ろうとWebで調べたり、週1で母乳外来に通ったりしていましたが、気持ちはどんどん疲弊していきました。生後2ヶ月ころに娘の体重の伸びが悪くなり、精神的にも母乳を続けることに限界を感じたため、断乳を決意。「断乳は娘と笑顔で過ごすため」と思って決めたはずでしたが、「身勝手なのではないか」「母親失格なのではないか」という罪悪感が次第に大きくなり、断乳が完了するまで本当によく泣いていました。ミルク育児に切り替え、気持ちが落ち着き始めた際、夫にマタニティーブルーズが酷くて申し訳なかったと伝えたところ、「あれは産後うつ病だ」と言われたのが衝撃でした。
授乳以外にもマイナートラブルが続いていました。出産後、足のむくみが酷くゾウのように腫れ、さらにむくみの影響からか足指の間にかゆみやプツプツした湿疹(汗疱)ができました。
また、骨盤ベルトを途中まで誤ったつけ方をしていたためか、骨盤周りに違和感・歩く際に痛みがあり、生後10ヶ月まで骨盤ベルトが手放せない状態でした。骨盤矯正に通ったものの改善されず、時間の経過と産後ヨガで徐々に緩和していきました。
妊娠中は体調面であまり悩んでいなかったこともあり、産後はこんなにもツラく大変なのかと途方に暮れましたが、夫や家族の支え、我が子への愛でどうにか乗り切りました。
仕事
もともとの部署で子育てしながら仕事ができるか、とても不安でした。急ぎの対応が必要なことも多く、メンバーに負担を強いてしまうのではないか、また同じポジションにママがひとりもいなかったことも悩みでした。そのため、ポジション変更や別部署に異動したほうがいいのではと考えていました。
復職面談で素直に悩みや自分の考えを伝え、後日部署異動を提示いただきました。異動先は自分が考えていた部署ではありませんでしたが、異動先の上司は「チーム全体でフォローするから大丈夫。あなたが働きやすい方法で仕事すれば何だっていい!」と不安を受け止めてくれました。また仕事内容的にも自分がチャレンジしてみたかったことに近かったので、異動を決心できました。
もともとの部署の上司も希望を汲み、異動先の調整をしていただけたので、感謝の気持ちでいっぱいです。今は週1~2回ほど在宅し、残りは出社というスタイルにしています。娘の急な体調不良もありますが、自分なりのペースが徐々に掴めてきたところです。
プライベート
家族のサポート
産後3ヶ月まで、夫が当直で不在のときに両親に週2~3回ほど来てもらっていました。あとは夫が当直明けか休みだったので、常に誰かが側にいてくれる状態に。授乳のことで病んでいたときは、誰かそばにいてくれるだけでありがたかったので、ひとりにならず済み本当によかったと思います。授乳で悩んでいるときは、両親も夫も「次はこうしてみようか」「こういう方法もあるよ」と一緒に考えてくれたことに救われました。
また娘にかかりきりだったので、ペットの犬が寂しがらないか心配でしたが、実父が面倒を見てくれたのも助かりました(それでも犬は娘に嫉妬していましたが)。
夫との役割分担
我が家は家事も育児も、特に役割分担は決めていません。ありがたいことに夫の家事能力が私よりも高いので、気がついたら率先してこなしてくれます。私がズボラなので、夫が家事をしているほうが多いかもしれません。夫が不在のときは必然的にワンオペになりますが、きっちりやろうという考えは持たないようにしました。どちらかの負担が大きくならないようにすることは注意しています。
新たに購入したグッズ
●授乳グッズ、ベビーカー
退院直後はなかなか外出できないので、翌日届くことの多いAmazonやアカチャンホンポの通販はかなり利用しました。またベビーカーはB型を購入。A型はレンタルしました。
出産後、失敗したこと
●出産のお返し
1番の盲点だったのが、この内祝い。お互いの両親はじめ、職場や友人、親戚にたくさんお祝いをいただきましたが、うれしかったものの、産後睡眠不足で頭が働かないなか、お返しを考えるのが大変でした。今思えば、出産前の時間があるときに、値段別にいくつか候補を挙げておくべきでした。最終的に、両親には高級カタログギフト、職場・友人・親戚にはお菓子をお返ししました。
保活
8月ころから意識し始めました。認可・認可外含め6園ほど直接見学に行きましたが、コロナの影響で見学自体行っていなかったところが多く、保育園の玄関前で簡単に話を伺うことが多かったです。そんななか、市立認可の園長先生が「倍率は気にせず行きたい順に希望を出す、通勤に便利かが大切!」とアドバイスしてくれました。結果、通勤経路が普段とほぼ変わらない第二希望の園に入園することができましたが、復職してからは「アドバイス通りに、通勤に便利な園に希望を出しておいてよかったな」と実感しています。
最後に、初マタのみなさんへ
初めてのことだらけで不安かと思いますが、自分の中にため込まず、打ち明けることが大切です。たいていのことは解決します!!
また赤ちゃんの個性は、生まれる前から本当に十人十色です。情報収集は大切ですが、それがすべて・基準ではなく、参考程度にしたほうがいいと思います。比較しすぎると、気づかぬうちに自分を追い詰めてしまいがちです。
一番は、ママ自身が元気に笑顔でいること! 残りの時間を「自分のために」めいっぱい楽しんでください!!
(文:森下由紀さん、編集:マイナビ子育て編集部)