
【医師監修】年子の妊娠を考えたときに必ずチェックしておきたい10のQ&A
年子を妊娠する状況や帝王切開後、授乳は?など、「年子の妊娠を考えたとき」にまず知っておきたいことをQ&Aでまとめました。妊娠中・産後の疑問もあるので、すでに年子で下の子を授かった人も、下の子の出産間近という人もぜひ参考にしてください。
年子の妊娠&育児に関するQ&A

年子を妊娠するのはどんな状況? 帝王切開後にも年子の妊娠は可能か、授乳のことなど、よくある年子の妊娠と育児の疑問についてまとめました。
Q1:年子を妊娠するのはどんなとき?
A1:出産翌々月~1年2ヶ月後までに妊娠すれば年子に
年子は「1歳ちがいの兄弟姉妹」のこと。1人目の産後2ヶ月で次の子を妊娠すると「およそ11ヶ月ちがい」、産後1年2ヶ月に妊娠すれば「1歳11ヶ月差」で年子になります。
妊娠するためには産後に「排卵が再開する」ことが必要です。最短で「産後ひと月以内」に排卵が再開する人もいます。ただこれは少数派で、排卵の有無の目安になる「生理の再開」は、「授乳していない女性」では産後3ヶ月までに起こる人が多かったというデータがあります[*1]。
産後はまず生理が起こってから排卵も再開する場合が多いのですが、産後初の生理の出血量が少ないと不正出血のように見えることもあり、生理がまだ再開していないと勘違いする人もいます。この場合、排卵も再開していると性交すれば妊娠します。また、中には生理より先に排卵から再開する人もいます。
一方で、母乳育児をしていると生理の再開まで1年以上かかることも珍しくありません。この場合は、排卵も再開していなければ妊娠しません。とくに、母乳育児をしている場合、
・産後6ヶ月以内
・完全母乳で、ミルクや果汁を与えていない
・昼間は4時間、夜間は6時間以上間隔をあけずに1日6回以上授乳している
・産褥期の出血(出産による子宮のダメージからの出血)が治まってから出血していない
のすべてを満たしていると、かなり高い確率で排卵しないと言われています[*2]。

Q2:年子なのに「学年が同じ」or「2学年差」があり得るってホント?

A2:あり得る!
年齢が1歳差でも、学年は1学年ちがいとは限りません。たとえば、以下のような場合では「同じ学年」や「2学年違い」になることがあります。
・同学年の例
「上の子が4月(4月2日以降)~5月ごろ生まれ」で、下の子が「翌年の4月1日までに生まれる」と同学年になります。
・2学年差の例
1歳11ヶ月差など年子でも2年近く差がある場合は、2学年差となるケースも珍しくありません。「上の子が早生まれ(1~4月1日生まれ)」で、「下の子が翌年4月2日以降に生まれた場合」、2学年差になります。
なお、日本の小学校は「4月1日~3月31日まで」を1学年で区切っています。そして満年齢になる日は「誕生日の前日が終了するとき(午後12時)」とされています。
これに当てはめると、「4月1日生まれ」は誕生日の前日である3月31日の終了時(午後12時)に満6歳になるので「早生まれ」となります[*3]。

Q3:帝王切開後でも年子を妊娠できる?
A3:できなくはないが産後1年以内の妊娠は勧められない
帝王切開の場合、子宮の縫合部分が完全に治る前に次の妊娠をすると、子宮が大きくなったときや分娩時に傷が破裂するリスクがあります。そのため、傷が完全に治るまで次の妊娠を待つ必要があります。
「帝王切開の場合、次の妊娠まで、産後1年程度は空けることが望ましい」と言われることが多いです。
もし産後1年おいてすぐに妊娠すれば、帝王切開後でも年子になる可能性はあります。ただ、体の回復には個人差があるので、場合によっては産院でもっと長い期間空けるように指導されることもあるでしょう。帝王切開の場合は、産後あまり早い時期に妊娠すると、リスクがあることに注意が必要です。
Q4:年子の妊娠に気づかない人が多いってなぜ?
A4:生理が再開しないまま妊娠する人も多いから
計画的に年子にしたわけではなく、気づかないうちに次の子を妊娠していて年子になった人も少なくありません。Q1で説明したように母乳育児の間は排卵が抑制されますが、状況によっては母乳をあげていても排卵が起こることがあります。
排卵が再開したタイミングですぐに次の妊娠をすると、産後の生理再開を見ないまま次の妊娠が始まることになります。そのため、年子では結果的に下の子の妊娠に気づかなかった、という人も多いようです。
Q5:年子の妊娠はリスクが高い?

A5:「産後1年以内の妊娠」は母子の健康リスクが高くなる
カナダの研究では、最低でも1年の期間を空けると母子の健康リスクが低くなるという結果を報告しています[*4]。
また、妊娠間隔が18ヶ月未満の場合、早産や胎児発育遅延、低出体重児、妊産婦死亡、新生児・乳幼児死亡のリスクが高まり、子宮破裂、胎盤剥離、前置胎盤、妊娠高血圧症候群、妊娠中の感染症、子癇前症、貧血のリスクが高くなることも指摘されています[*5]。
なお、WHO(世界保健機関)は「出産から次の妊娠まで、少なくとも24ヶ月空ける」ことを推奨しています[*6]。
いずれにしても、前回の出産が帝王切開の場合に限らず、1年未満の妊娠はさまざまな健康リスクが高くなるということは言えそうです。
Q6:妊娠中に上の子を抱っこできる?
A6:異常がなければできるけれど、くれぐれも無理はしないで!
妊娠中に重たいものを持ってはいけないといわれますが、医学的にいつまで、何kgまでといった基準はありません。また、「重たいものを持つと流産につながるのでは?」と心配になるかもしれませんが、流産の原因は多くが受精卵の異常なので、妊娠の経過に何か心配な点があると言われていない限り、その心配はほとんどいりません。
ただ、妊婦は転倒するリスクも高く、特に子供を抱えているときは転びやすくなります。腰痛やお腹の張り、出血がなければ抱っこはできますが、ママが疲れない範囲で、転倒に気をつけながら抱っこしましょう。また、切迫流産や早産のリスクを指摘されている人は、医師の指示に従ってください。
上の子が赤ちゃん返りをして抱っこをせがむこともあるでしょう。その際は「座って抱っこ」したり「横になって抱きしめたり」して、お腹に負担がかからない工夫を。立って抱っこする機会が減る分、スキンシップをたくさんとってあげると、上の子も安心できるかもしれません。
Q7:妊娠しても上の子への授乳は続けられる?
A7:基本的にはOK。ただし、やめたほうが良い場合も
妊娠中も上の子への授乳は基本的に問題ありませんが、「授乳によってママの体調に異変がみられた場合は、中止したほうが良い」です。
授乳の際、赤ちゃんに乳首を吸われるとその刺激によって、「オキシトシン」というホルモンが大量に分泌されます。オキシトシンは母乳を出すように体に働きかける一方で、実は「子宮を収縮させる作用」もあります。子宮が収縮すると流産や早産につながる可能性があります。
ただ、その影響はママの体調や妊娠経過によって異なるので、心配なときはかかりつけ医師に相談しましょう。とくに授乳の前後や最中に「おなかが張る、痛みがある」「性器出血する」などの異変が見られる場合は、授乳を継続しても問題ないか、医師の指示を仰ぐようにしてください。
なお、妊娠するとつわりで食べられなくなったり、ホルモンバランスが変化したりすることで、母乳が出にくくなることも考えられます。
念のため、ミルクやフォローアップミルクを哺乳瓶であげることに慣らしたり、月齢によっては離乳食を進める準備をしておいたりするのも一案です。母乳を控えることになったら、しっかり抱きしめるなどスキンシップをたくさんとって上の子をフォローしてあげましょう。
Q8:つわりが酷くても子育てできる?


A8:できるだけいろいろなサポートを頼って
つわりの程度によっては、公園に出かけるところを、庭やベランダで遊んで気分転換させるなど、工夫して乗り越えられる場合もあります。ただどうしても動くのが辛い場合は、パパやその他の家族などの協力が欠かせません。
実家が遠方で頼れない、パパも仕事を休めないという場合は、地域の子育てサポートサービスを積極的に利用しましょう。たとえば「ファミリーサポート」や「保育園の一時預かり」に上の子を預ける、「行政の家事・育児支援サービス」を利用するといったことです。地域でどんな支援があるのかは、すまいのある自治体の窓口に相談をしてみてください。
Q9:年子だと2人同時に抱っこするの?
A9:2人同時はなるべく避けて。バウンサーなどを上手に使おう
年子で下の子が生まれると、2人ともぐずったときや、上の子が歩かなくなったときなど、2人同時に抱っこが必要な場面も出てくるでしょう。ですがその度に2人を抱っこしていると、産後の体にかなり負担がかかってしまいます。
なるべく「バウンサーなどを利用する」「順番に抱っこする」「ソファに座って抱っこする」など工夫して、2人同時の抱っこは避け、体にかかる負担を減らしましょう。
低月齢の赤ちゃんは特に理由がなく泣き続けることもあります。それに対して上の子は、赤ちゃんにママをとられてしまうのでは、という不安から泣くことや、赤ちゃん返りをすることも。
まず、おむつなど下の子が泣いている理由がないかチェックし、問題がなければ一度おろして上の子を抱っこするなど、状況にあわせて対応を決めておけば慌てずに済みますし、上の子も落ち着くかもしれません。
Q10:2人分の授乳が必要になる?
A10:年子ではその可能性も大いにある。でも卒乳は焦らなくてOK
卒乳の時期は子供の成長や発達、離乳食の進み具合などによって異なり、個人差が大きいものです。上の子にいつまで母乳を与えるかは、それぞれのママと赤ちゃんが決めることで「〇歳までに止めなければいけない」と決まっているものではありません。「赤ちゃんが欲しがる」うちや「離乳食でまだ十分に栄養が摂れない」「ママの心と体が授乳できる状態」のうちは、母乳をあげていて問題ないのです。
そうはいっても、みんなだいたいどのくらいまで授乳しているのか気になりますよね。日本で行われたある調査では、保護者348人にアンケート調査を行ったところ、1歳6ヶ月健診を受診した時点で「卒乳していた子は67.2%」「まだ授乳している子は32.8%」だったと報告しています[*7]。
ママが止めたいと思ったら、それも立派な卒乳の理由です。進め方など、卒乳についてのさらに詳しい情報は下記の記事を参照してください。
なお、Q7で解説したとおり、とくに異常が起こらなければ妊娠中も授乳は可能です。年子だともっとも間隔が空いている場合で、上の子が1歳11ヶ月のときに下の子が誕生しますが、その時点で上の子の授乳が続いている場合もあるでしょう。
その場合、兄弟姉妹の2人の子供に同時に母乳を飲ませる「タンデム授乳」を知っておくと役立つかもしれません。この方法には、メリットもあればデメリットもあるので、詳しくは次の記事を参考にしてください。
まとめ

年子といっても、1歳も差がないこともあれば、2歳近く差がある場合もあり、それぞれで大変なことも変わってきます。ここでお伝えしたことのほかにも、心配や苦労は出てくると思いますが、年が近いことで子供同士遊びやすかったり、大きくなってからは勉強を教えあったりできるなどのメリットもたくさんあるかもしれません。ただ、年子の妊娠・出産では、産後間もないママの体に1年前後でまた大きな負担がかかるのは確かなので、年子以外の年齢差の可能性も考えて、家庭の状況にあわせた家族計画をたてていきましょう。
(文:佐藤華奈子/監修:直林奈月 先生)
※画像はイメージです
[*1]Postpartum contraception: Counseling and methods – UpToDate
[*2]日本ラクテーションコンサルタント協会「母乳育児Q&A」
[*3]文部科学省「4月1日生まれの児童生徒の学年について」
[*4]BBC「出産と妊娠の間は「1年空けるとリスク低下」=カナダ研究」
[*5]日本公衛誌第10号「妊娠間隔12か月未満における母親の育児負担感に関する研究」
[*6]WHO:Report of a WHO technical consultation on birth spacing: Geneva, Switzerland 13-15 June 2005
[*7]井出正道ら:「卒乳に関する保護者の意識調査」小児歯科学雑誌54(4): 462−469 2016
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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