【医師監修】羊水検査でわかることとは?
我が子の健康を願わない妊婦さんはいません。出産前にお腹の赤ちゃんのことを知る手段があるなら検討したいと考えるご夫婦もいらっしゃると思います。羊水検査でわかること、受ける時期や費用についてご紹介します。
羊水検査は、胎児の染色体や遺伝子に異常がないかを調べる「出生前診断」の1つです。ただ、この検査で全ての先天異常や病気がわかるわけではありません。また、流産・早産につながるリスクもまれにあるとされています。羊水検査とはどんな検査なのか紹介します。
羊水検査とは?
お母さんのお腹に針を刺して羊水を採取し、そのなかに含まれる成分や胎児の細胞を調べることで、胎児に関する詳しい情報を得るための検査です。ここでは、胎児の遺伝子や染色体の異常などの有無を確認する出生前診断としての羊水検査について述べていきます。
具体的な検査方法
羊水には胎児の皮膚や粘膜などが剥がれ落ちたものが浮遊しています。羊水検査では、超音波で胎児や胎盤の位置を確認しながら、お腹から針を刺し、子宮内の羊水を15mlほど抜き取ることで赤ちゃんに由来する細胞を採取します。採取された細胞は培養して数を増やしたうえで、染色体の構造や数を調べるのに使われます。
羊水検査のリスク
羊水検査は子宮の中まで針を通しますので、流産のリスクが0.3%程度あると言われます。また、感染や子宮収縮による破水、出血などのリスクがあります。
胎児が順調に育っている場合、母体にも胎児にもリスクのある羊水検査が行われることはありません。近年は超音波検査(エコー検査)や、母親の血液検査などで主な染色体異常の可能性をチェックできるようになりました。これらの検査で陽性反応が出た場合の確定診断のために羊水検査が行われます。
必ず遺伝カウンセリングを
「検査方法があるのなら、自分たちの赤ちゃんのことを知っておきたい」という気持ちが起きるのは自然なことです。検査で異常がないことがわかれば、妊娠中の不安が減るかもしれません。
日本産科婦人科学会は、出生前診断は専門家による「遺伝カウンセリング」を行った上で、パパとママが十分に納得して行うべきであるということ、さらに、羊水検査などリスクのある検査は、パパとママのいずれかが遺伝する病気をもっている場合や高齢出産の場合など、胎児が先天異常をもっている確率が通常より高い場合に限って実施するべきだという見解を公表しています。
※遺伝カウンセリングとは、遺伝性疾患に関する悩みや不安を専門家に相談し、説明を受け理解したうえで問題解決に向けた支援を受けることです。専門家から検査意義や、遺伝疾患があった場合の子供の予後、治療の効果など適切なカウンセリングを受けた上で、夫婦で話し合って検査を行うかどうかを決めましょう。
羊水検査でわかること
羊水検査では主に、染色体の数と構造の異常を診断することができます。ヒトは46本(22対+性染色体2本)の染色体を持っていますが、たとえばダウン症の場合、21番目の染色体が3本になっています(21トリソミー)。羊水検査では、胎児の細胞を調べることで、このような染色体の異常を発見することができます。
羊水検査は胎児の細胞を直接観察するので、超音波検査や、母親の血液検査などに比べて、確度の高い結果を得ることができます。検査の感度は、ほぼ100%と言われています。
羊水検査を受ける時期
出生前診断で羊水検査を受ける場合、妊娠15~16週以降に行われるのが一般的です。羊水検査の結果が判明するまでは2週間ほどかかります。
出生前診断にかかる費用
出生前診断は基本的に健康保険が適用されないため自費診療となります。医療費控除も対象外です。羊水検査は病院によって金額が異なりますが、おおよそ10~20万円ほどかかることが多いようです。また、羊水検査を受ける前に、あらかじめ専門の外来で遺伝カウンセリングを受診する必要もあります。
まとめ
羊水検査でわかることと、リスク、受ける時期・費用などについてご紹介しました。近年はさまざまな出生前診断の手法が登場していますが、お腹の赤ちゃんの病気を予め知るというのは、とても重い意味を持つことです。家族や知人に勧められたからといって軽い気持ちで受けるのではなく、検査したいと考えたらまずは遺伝カウンセリングを受け、検査でわかることや検査を受けることによるリスクを十分に理解したうえで、検査結果が出たあとどうするかなどについても夫婦でよく話し合い、受けるかどうかを決めてくださいね。
※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.27)
※記事の修正を行いました(2019.06.12)