【2022年10月】絵本のプロが選ぶ 0~5歳年齢別おすすめ6冊『へび ながすぎる』ほか
東京は神保町にある絵本専門店「ブックハウスカフェ」が全面協力! プロが選ぶおすすめの絵本をセレクトして、紹介します。
0歳向け
『おおきいちいさい』(作・絵:たけうち ちひろ/BL出版)
おおきいカブトムシとちいさいアリ。
おおきいスイカとちいさいさくらんぼ。
おおきいゾウとちいさいネズミ。
次はどんなおおきいものとちいさいものが登場するかな?
ページの左にはおおきいもの、右にはちいさいものが並んで、大きさの対比が楽しい絵本です。しかも大きさ比べは見開きでは終わらず、次のページへとつながっていきます。たとえば、おおきいトラックとちいさい車の次のページには、空を飛ぶおおきい飛行機とちいさいヘリコプターが。前のページで大きかったトラックが地上を走っているけれど、飛行機に比べるととってもちいさい。「ちいさいけれど、おおきい」「おおきいけれど、ちいさい」比べ方によって見方が変わる面白さも教えてくれます。
作者のたけうちちひろさんは巻末に「まだちいさいあかちゃんだけど『こんなにおおきくなったね』とおもうきもちもこめました」とつづっています。はじめは小さかった赤ちゃんが、どんどん大きくなっていく。そんな赤ちゃんの成長を祝うプレゼントとしてもおすすめです。
1歳向け
『ぼうし』(作:こみね ゆら/講談社)
野原に落ちていたステキな青いぼうし。
だれのぼうし? ぞうさんにはちいさい。
だれのぼうし?やぎさんのつのがひっかかっちゃった。
だれのぼうし? ねずみさんにはすっぽり入っちゃうくらい大きかった。
すると誰かがやってきました。帽子をかぶってみると、あらぴったり。
一体だれのぼうしだったのでしょう。
小さな絵本に、胸がキュンとなるほど愛らしく描かれた動物たち。ひとつの帽子を通して、動物の大きさを感じられる一冊です。ぞうさんは小さい帽子に困惑している様子。ろばさんはちょっとびっくりしたかな?うさぎさんはちょっぴり嬉しそう!動物たちの表情をみていると、さらに一歩、絵本の世界へ入り込めそうです。
動物たちがそれぞれ手にしているのは、楽器。どうやらこれからみんなで演奏するみたい。芸術の秋にもぴったりな作品です。ぜひこの季節にお楽しみください。
2歳向け
『ねずみさんのくらべっこ』(作:多田 ヒロシ/こぐま社)
ねずみさんがくらべっこ。まずはどちらの風船が大きいかくらべっこ。
ねずみさんがくらべっこ。次にどっちのつみきが高いかくらべっこ。
どっちが早いか、どっちが多いか、どっちが長いか……
太っちょねずみと細っちょねずみがくらべっこ。
「ねずみさんがくらべっこ」とリズミカルな言葉に合わせて、「大きい」「高い」「早い」「多い」「長い」と様々な測り方で、くらべっこしていきます。2匹のねずみの様子を見てみると、どうやら勝ち負けではなく、それぞれ「違う」ことを楽しんでいるみたい。
それから、風船が割れちゃったり、つみきが崩れちゃったり……様々なハプニングが起こることで、大きかったものが小さくなったり、高いものが低くなったりと、くらべっこにも変化が。
さらにくらべっこの最後にあるハプニングが起こって「おんなじ おんなじ」と2匹とも大笑い!くらべっこで違いを見るのも楽しいし、変化するのも面白いし、同じも嬉しい。仲良しねずみコンビと一緒にいろんなくらべっこで遊んでみましょう!
3歳向け
『へび ながすぎる』(作:ふくなが じゅんぺい/こぐま社)
「へびながすぎ…だれもこれがへびだなんてきづかない」
ねずみたちはえっチュらおっチュらと運んですべりだいにして、うさぎはぴょんぴょんぴょ〜んと縄跳びにして、ゴリラはウッホホーとターザンごっこ。みんなが楽しく遊んでいる緑色のながいもの。どうやら、これはへびのようです。でも誰もこれがへびだって知らずに、みんな楽しそう。
気付かない動物たちは、さらにへびで遊び続けますが……。
ねずみやうさぎやゴリラが思う存分遊んでも、頭もしっぽも見えないへびって、どれだけ長いんでしょう。正体不明のへびに「最後はどうなるんだろう!?」とドキドキ。一方で、へびとは気付いていない動物たちの愛嬌いっぱいの表情とポーズがおかしくて、思わずクスリと笑ってしまう一冊。横長の装丁は、なが〜いへびを味わうにはぴったり。
最後には、子どもも大人も「え〜~~!」とへびのように長い声が出ちゃうくらい、びっくりする展開が待っていますよ!
4歳向け
『まめまめくん』(文:デヴィッド・カリ、絵:セバスチャン・ムーラン、訳:ふしみ みさを/あすなろ書房)
生まれた時から豆粒みたいに小さな男の子、まめまめくん。お人形のくつを借りたり、マッチ箱のベッドで寝たり、洗面器のプールで泳いだり。
小さくてもまめまめくんは元気いっぱい。岩登りや綱渡り、車の運転もなんでもできた。
でも学校に行ってはじめて気が付いた。学校で何をするにも、まめまめくんは小さすぎるってことを。
『まめまめくん』の原題『Petit Pois』はフランス語で「グリンピース」という意味。鮮やかな緑と、手のひらにおさまる小さなサイズがタイトルにぴったりハマる可愛らしい絵本です。
蓮の葉っぱに寝転んだり、ミニトマトに登ったり、バッタに跨ったり、まめまめくんの低い視線で描かれる世界が、この絵本の見どころのひとつ。ぜひ自分とまめまめくんのサイズ感をくらべて読んでみてください。小さくても好奇心いっぱいのまめまめくんに、とてもパワーをもらえます。子どもたちにはもちろん、大人にもおすすめです。
5歳向け
『はなのあなのはなし』(作:やぎゅう げんいちろう/福音館書店)
ぼくの鼻の穴とあつこちゃんの鼻の穴を比べると、僕のほうが大きい。おじいちゃんと比べると、ぼくは負けてしまう。鼻の穴は、大きさや形が色々ある。ほとんどの動物には鼻の穴が2つあるけど、イルカの鼻の穴は頭の上にひとつあるんだって。
鼻の穴って一体なんだろう?鼻の穴をしっかり膨らませて、鼻の穴について一緒に解き明かしましょう!
あなたは「鼻の穴」について考えたことがありますか?どんな役割をしているんだろう、他の動物の鼻の穴はどうなっているんだろう?などなど、鼻の穴に関する疑問に大活躍するのがこちらの絵本。鼻の穴は呼吸をするため、においを感じるため、言葉を上手く話すために大切な役目を担っていることや、鼻毛や鼻血について詳しく教えてくれます。また、アザラシやカバのように水の中で生きる動物たちの鼻の秘密にも触れています。
充実した内容の中でも、絵本の序盤に描かれる色んな人の鼻の穴の形の絵はとっても印象的。このユーモアたっぷりなページで「自分の鼻の穴はどんな形なんだろう?」と興味が湧いてくるはず。ぜひ親子で鼻を見せ合いっこして、形や大きさの違いを楽しんでみてください!
まとめ
今回は、大きさや長さ、形の違いや対比が面白い絵本をご紹介しました。
比べることの面白さは優劣をつけることではなく、違うということ自体を楽しんだり、違う中にも同じところを見つけて喜びを感じたりすることだと思います。
読書の秋は絵本をたくさん読んで、いっぱい「違う」と「同じ」を見つけてみてください!
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