
若者の2人に1人は社会生活につまずいた経験あり!特に10代後半からの急増が目立つ
何歳であっても人間関係の悩みはなくならないもの。何かをきっかけに社会生活をスムーズに送れなくなることもあり得ます。特に、10~20代は環境の変化が大きい時期です。では、実際に「社会生活が円滑にいかなかった経験がある」という若者はどのくらいに上るのでしょうか? 調査データから見ていきます。
社会生活につまずいた経験のある若者はどのくらい?

今回は、10代前半~20代後半の子ども・若者が、社会生活や日常生活を円滑に送ることができなかった経験やその理由を、内閣府発表の「子供・若者の意識に関する調査」から紐解いていきます。
5割の人が円滑に送れなかった経験あり

内閣府「子供・若者の意識に関する調査(令和元年度)」より
13歳から29歳までの男女を対象に、今までに社会生活や日常生活を円滑に送ることができなかった経験があったと思うか尋ねたところ、「あった」「どちらかといえばあった」と答えたのは、全体の49.3%でした。年齢別でみると、「25~29歳」が52.3%と最も高くなりました。
一方、「13~14歳」では、そうした経験はなかったという人が56.0%と多くなっています。15歳以降に、社会生活や日常生活を円滑に送れない経験をする人が増えていく傾向があると言えるでしょう。
理由は「人づきあいが苦手だから」が突出

内閣府「子供・若者の意識に関する調査(令和元年度)」より
続いて、社会生活や日常生活を円滑に送ることができなかった経験をした理由として、【自分自身】について尋ねました。
全体で最も高いのは、「人づきあいが苦手だから」(55.4%)で、半数以上に上りました。このあとに「何事も否定的に考えてしまったから」(32.4%)、「悩みなどを相談できなかったから」(29.4%)、「精神的な病気だったから」(21.9%)と続いています。
年齢区分別でみると、「13~14歳」は「人づきあいが苦手だから」と回答した割合は41.7%ですが、「15~19歳」になると、58.4%と大きく増えています。15歳以降の若者で、人づきあいで苦手意識をもつ人が多いようです。
家庭の問題は「不和や離別」が理由に

内閣府「子供・若者の意識に関する調査(令和元年度)」より
次に、【家族・家庭】における理由について尋ねると、「家族内の不和や離別があったから」(15.6%)、「親(保護者)への反発があったから」「家庭が貧しかったから」(12.2%)と続きました。
年齢区分別でみると、「家庭内の不和や離別があったから」は年代が上がるにつれて高くなり、最も低いのは「13~14歳」(6.9%)ですが、「25~29歳」になると18.0%まで上昇します。
一時期「熟年離婚」という言葉が流行しましたが、子供の成人を機に離婚を考えるといったことも関係しているのかもしれません。
学校については「集団行動が苦手」などの理由も

内閣府「子供・若者の意識に関する調査(令和元年度)」より
続いて、問題を経験した理由について、【学校】に関して聞いてみたところ、「集団行動が苦手だったから」(23.6%)、「友達との関係が悪かったから」(21.6%)「いじめられたから」(18.6%)、「成績が悪かったから」(15.4%)という結果でした。
年齢区分別でみると、全体と比べて特徴的だったのは「15~19歳」であり、「友達との関係が悪かったから」(26.2%)、「成績が悪かったから」(20.0%)などが、他の年齢層と比べて高くなっています。
高校受験による中学校時代との環境の変化や、大学受験という大きな人生のイベントがある年齢ですが、そうしたことが関係していることも考えられます。
学校での生活を親に話す機会も、中学生のときより減りがちですが、親子の日常会話で学校のことも自然と話題にしていると、何かあったときに気づきやすいかもしれません。
問題は「自分自身」にあったと考える人が多数
問題を経験した事柄の中で、特に影響が強かったと思うことについて聞くと、全体で最も高いのは、「自分自身の問題」(66.8%)でした。次いで「学校の問題」(29.6%)、「家族・家庭の問題」(26.9%)となっています。
多くの人が、社会生活を円滑に送れなった経験の原因は、第一に自分にあると考えていることがわかりました。
15~19歳で問題が訪れやすいことに注意したい
「社会生活や日常生活を円滑に送ることができなかった経験」は、13~14歳では「なかった」が圧倒的に多いですが、「15~19歳」になると逆転し、15歳以上の年齢では「あった」が「なかった」よりも多くなっています。
このことから、「15~19歳」は社会生活がうまくいかない経験をする、最初の時期になりやすいといえるでしょう。
人づきあいは大人でも難しいテーマです。進学で環境が変わり、人間関係も広がりを見せる時期である15~19歳という年齢ならば、はなおさらでしょう。子供の悩みに寄り添い、必要とあれば手を差し伸べることができる親でありたいものですね。
調査概要
■子供・若者の意識に関する調査 (令和元年度)/内閣府
調査地域:全国
調査対象:13歳から29歳までの男女
調査時期:令和元年11月1日から12月2日まで
有効回答数:10,982サンプル
調査実施機関:オノフ
(マイナビ子育て編集部)
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