思春期の「自己肯定感」の特徴|親が知っておきたい、ある年齢での「危機」とは
近年、目にすることの多くなった言葉「自己肯定感」。子供には自己肯定感をしっかり持てる人間に育ってもらいたい、というのが親心というものですよね。自己肯定感について気になる調査データがあります。その調査を読むと、今の若者の自己肯定感の実態が見えてきます。どのような結果だったのでしょうか。
若者の自己肯定感は年齢とともに低下
13歳から29歳の若年層を対象にした「子供・若者の意識に関する調査(令和元年度)」(内閣府)があります。この調査の中で「自己肯定感」に関する項目がありますが、興味深いことが見えてきました。10代~20代の子供を持つ親はもちろん、まだ子供が小さい親も知っておきたい、若者の「自己肯定感」の特徴をご紹介します。
なお、アンケートは、各項目について「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあてはまらない」「あてはまらない」のいずれかを選択する形式で行われました。
「今の自分が好きだ」は年齢とともに低下
「今の自分が好きだ」は、「あてはまる」よりも「あてはまらない」が多い結果となりました。半数以上が「今の自分が(どちらかといえば)好きではない」と考えているのは、多いといえるのではないでしょうか。
また、傾向として、10代前半と10代後半を境に、今の自分を好きだと思えない割合が増えていることがわかります。13~14歳では、「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計が6割であるのに対し、25~29歳では、4割強に減っています。
「いまの自分自身に満足している」は半数以下
また、「いまの自分自身に満足している」でも同様の傾向が見られました。
「13~14歳」で「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」(51.5%)が高い一方、「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」が最も多い年代は「25~29歳」(61.8%)でした。
10代後半や20代の子供を持つ親は、子供が今の自分を否定しすぎないように、接し方の工夫を心がけることも、必要かもしれません。
「自分は役に立たないと強く感じる」は特に20代前後で多い
「自分は役に立たないと強く感じる」では、「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」は「20~24歳」(54.8%)が最も高なっています。
また、他の年齢層との違いが顕著に見られたのが「13~14歳」。「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」(72.4%)が、他より20ポイント以上多い結果となりました。
10代後半から20代前半は成人を迎える時期でもあり、環境の変化などから自信を失うケースもあるのかもしれません。
「自分の親から愛されていると思う」は7割以上
「自分の親(保護者)から愛されていると思う」かどうかについては、「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答した人が7割以上という結果でした。自己評価に関する項目では、今の自分を認めていない人も少なくありませんが、親の愛を感じている人が多いことがわかりました。
なかでも「13~14歳」は全体と比べ、「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」(88.0%)が圧倒的に多くなっています。年齢的にまだ親子の距離が近い時期であるため、親の愛をより感じやすいのではないかと考えられます。
10代後半の子供がいる親は、もう少し意識的に愛情表現をするとよいのかもしれませんね。
「15~19歳」で自己肯定感が大きく減少
今回の調査結果を見ると、思春期の「13~14歳」と「15~19歳」の間で大きな変化が見られました。
「今の自分が好き」「今の自分に満足している」など、自己肯定感につながるものは、いずれも13~14歳が圧倒的に高いのですが、15~19歳になるとガクッと減少。年齢が上がるにつれ、「あてはまらない」が占める割合が高くなります。
子供の自己肯定感を高めてあげたいというのは、親の自然な気持ちだと思います。特に10代後半に自己肯定感が下がる傾向があるので、親は、そのままの子供を認めてあげる存在として、しっかりサポートできるといいですね。
調査概要
■子供・若者の意識に関する調査 (令和元年度)/内閣府
調査地域:全国
調査対象:13歳から29歳までの男女
調査時期:令和元年11月1日から12月2日まで
有効回答数:10,982サンプル
調査実施機関:オノフ
(マイナビ子育て編集部)
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