中学受験を通じて「伸びる子」の特徴ってなんだろう?|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと
中学受験を終えた親御さんから「せっかく合格したのに、中学で伸び悩んでいる」という話を聞くことが度々あります。せっかく時間をかけるわけですから、受験が終わった後も自らの力で伸びていく素地を養ってほしいですよね。では、中受験を通じて伸びる子って、一体どんな子なの?教育ジャーナリスト・中曽根陽子さんと考えてみましょう。
考え抜いて、わかる。感動する。
中学受験を通じて伸びる子の特徴って?
―― 以前、最難関校に多くの合格者を出している中学受験専門塾の先生に尋ねたことがあります。その先生は次のようにおっしゃいました。
「伸びる子たちの多くは、解けない問題にぶつかったときに、本気で考え抜いていますね。
そして、わかった瞬間に『なるほど、そうか!』と感動した表情を浮かべます。
その瞬間、子どもはぐんと成長していきます」
反対にすぐに答えを知りたがる子は、「成長の瞬間が少ない」と先生。
伸びる子とそうでない子の違いのひとつに、自分で考えて「わかった!」という体験の質量があるのでしょう。
あれこれやってみて、「わかった!」
前述の先生に具体的にどうすればいいかを聞くと、
「例えば算数でわからない問題にぶつかったら、解答例を読んでひたすら類題を解くのではなく、解法を1行1行ていねいに読みながら、そこにあるヒントを頼りに、実際に手を動かしながら解いてみることです」
とおっしゃっていました。
やってみる=試行錯誤した結果、自分で正解にたどり着き「なるほど、そうか!」という体験をすることが大事ということでしょう。
昨今は、新型コロナウイルスの影響で遅れてしまった学習を取り戻さねばと焦っている親御さんが多いように見えます。
しかし、遅れを取り戻すことに躍起になってアレコレ詰め込むよりも、じっくり考え、ていねいに振り返るほうが、伸びるのかもしれません。
親は目先の問題につい目がいきがちですが、子どもが考えているプロセスにも眼差しを向けたいものです。
伸びるための素地を養うには
前述の先生の話でもうひとつ印象的な話がありました。
「テストで点を取れるようにするのは、ある意味簡単なんです。
答えと解法を教えて、あとはたくさん問題を解かせれば点は取れます。偏差値も上がります。
しかし、それは本当の意味でアタマが良くなることにはつながらないのです」
そして、本当の意味でアタマの良い子に育てたかったら、次の3つを生活の中に取り入れることが効果的だと教えてくださいました。
1)いろいろな大人と会話する
2)文章を書く
3)読書
一見すると、受験と関係がないようですが、結果的に「視野が広がり、語彙が増え、自分で考えたことを表現する力に繋がるので、受験でも良い結果につながりやすい」と語ります。
確かに、自分が伝えたいこと、あるいはわからないことを相手にわかるよう考えて伝える力は、何事においても必要な力です。
「書くのが苦手という子には日記がおすすめです。
実際、1行書くのがやっとだった子にお父さんとの交換日記をすすめたところ、数ヶ月で1ページを軽々と書くようになりました」
4年生までにこうした訓練をしておけば、5年生以降に記述問題を解きながら、 論理的思考力を高められるそうです。
今後学校教育でも、これまで以上に思考力が求められるようになっていきます。
中学受験の過程には、その力を伸ばすチャンスがありますが、結果を急ぎ過ぎることで子ども伸びを阻害する可能性もあります。
子どもが「自分でわかった!」という体験をする後押しするには?
親御さんにはぜひ考えてほしいと思います。
中学受験ナビの連載『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています元の記事はコチラ。