【医師監修】妊娠中の胸のトラブルと対処法、やっておきたいケアについて
妊娠中に起こる胸の不快感の原因・対処法について紹介していきます。
妊娠中によくある胸のトラブル
妊娠がわかった瞬間には、「ママになれる!」という喜びで幸せいっぱいになるのではないでしょうか。しかし妊娠というのは、女性にとって、心だけでなく体に起こる一大事でもあります。
ママになるための体の変化に困惑してしまうこともよくあります。たとえば、胸に関しては、張りを感じる、あるいは痒くなるといった悩みです。そこで今回はそんな胸に関する悩みの解決法、そして母乳の出を良くする方法を一緒に考えたいと思います。
胸が張る・痒くなる原因
胸が張っている、あるいは痒くなっている妊婦さん、この張り・痒みの原因となっているのはホルモンの変化によるものです。妊娠すると、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの働きにより乳腺(乳腺小葉、乳管)に変化が起きます。
具体的には、ホルモンによって乳汁を作り出す乳腺小用葉と乳汁の通る管である乳管が発達し、それによって乳房の張り・痒み、場合によっては痛みやだるさなどの症状が引き起こされるのです。
対処法
皮膚に痒みがある時は、保湿をしましょう。皮膚の伸展による痒みは、皮膚が乾燥することでひどくなるので、保湿すると和らぐことが多いです。乳房や乳首に痛みがある時は胸全体を刺激しないように、ゆったりとした服装、下着を身に着けるようにしてみてください。また、十分な睡眠・栄養バランスの良い食事、そして規則正しい生活によって症状が軽減することもあります。
ひどい痒みや湿疹の場合は産婦人科で対症療法的に軟膏を処方してもらえる場合もあるので、妊婦健診のときに相談をしてみましょう。また乳房の張りに関しては助産師さんに相談するとよいでしょう。
乳首が黒ずむ原因
妊娠すると体に様々な変化が起こりますが、その中でも乳首やデリケートゾーンの黒ずみを気にされる方も多いのではないでしょうか。そもそもなぜ妊娠するとお肌に黒ずみが発生してしまうのでしょうか。
妊娠初期を過ぎた頃から目立つようになる黒ずみは、乳房の張り・痒みと同様にホルモンバランスの変化が原因と考えられます。妊娠により急激に増加した卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンが、色素細胞(メラノサイト)を刺激し、皮膚の内側のメラニン色素を増やしてしまうのです。これにより乳首に限らず、皮膚の黒ずみが目立つようになります。
対処法
妊娠中に黒くなった部分は、産後徐々に薄くなっていきます。妊娠中の一時的な変化ですので、あまり考え過ぎないようにすると良いですね。
妊娠中に心がけたい胸の手入れ
妊娠中は、母乳を赤ちゃんに提供する準備のためのホルモンバランスの変化によって、乳房全体が大きくなるなどの変化が生じてきます。
乳房を締め付けず血行を良くする
最近では、妊婦さん用のマタニティーブラジャーが販売されています。これらの商品は、普通のブラジャーに比べて伸縮性を持たせてあるなど、ゆったりした作りになっているので、締め付けることが少なくお勧めです。マタニティーブラでもきつくなってしまった場合には、より締め付けの少ないハーフトップのブラを着用してみるのもよいでしょう。
乳首を清潔に保つ
母乳育児を希望する場合、乳首は、出産後赤ちゃんとおっぱいが接する大切な部分です。そのため妊娠中は常に清潔に保っておけると良いですね。
妊娠中、乳首から粘り気のある透明~淡黄色の分泌液が出ることがありますが、自然なことで心配ありません。ただ、分泌物は粘り気があるので、乾燥してかさぶたのようになり、栓や塊として付着してしまうことがあります。無理に取ろうとすると、傷がついたり、感染の原因になることもあります。入浴前にオイルを浸したコットン等を貼り、ラップをかけるオイルパックをした後に、綿棒などで拭き取るなど、工夫をしてみましょう。
まとめ
妊娠中には身体に様々な変化が起こります。生理的な現象で対処しようのない場合もありますが、妊婦健診やパパママ学級の際、乳房・乳首のケアについての指導があるので、気になることがあれば相談するのもいいですね。心と身体をいたわりながら、ママになる準備をしっかり整えていきましょう!
※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.06.18)
※記事の修正を行いました(2019.06.11)